【Pancrase273】バンタム級選手権試合は、打撃&極めの挑戦者ヘンリー×打撃&削りのチャンピオン石渡
【写真】ヘンリーの打撃とサブミッションの相関関係を石渡が如何に切り崩すか(C)MMAPLANET
今週末、13日(日)に東京都江東区ディファ有明で開催されるPANCRASE 273。都内で開催される最後の大会のメインイベントは日本のMMAシーンで実現した至極の一戦。バンタム級王者・石渡伸太郎が”日本人キラー”ビクター・ヘンリーを挑戦者に迎えて行われるバンタム級タイトルマッチだ。
昨年7月、Grandslamで日本初上陸を果たし、大方の予想を覆し所英男をパンチでマットに沈めたビクター。今年2月には再びGrandslamに参戦して上田将勝を膝十字で斬って落とし、パンクラス初参戦となった3月には中島太一とのタフファイトに競り勝った。
そしてタイトル挑戦が見えてきた10月の福島秀和戦ではギロチンチョークで一本勝ちし、対日本人4連勝という日本人キラーぶりを発揮。いよいよ日本最後の砦ともいえる石渡との対戦に辿り着いた。
ジョシュ・バーネットに師事し、膝十字やフロントチョークでフィニッシュする力を持つ。そんなジョシュのサブミッションレスリングの系譜を受け継ぐビクターだが、そこばかりにフォーカスすると、ビクターの真の強さを見逃してしまうことになる。
どんな態勢からサブミットできる武器を持っていること。これを試合をフィニッシュする以外、MMAの試合全体で見れば、レスリングやスクランブルの攻防でトップを取ることにこだわらなくてもいいことにつながる。そうなれば自ずとスタンドの攻防で、組みを意識しないフルスイングの打撃を繰り出すことが可能になり、この思い切りのいい打撃が過去の試合でもビクターの勝機につながってきた。
ビクターの蹴りの重さに驚いた所は試合中にゲームプランの変更を余儀なくされ、試合途中までペースを掴んでいた上田は、ビクターのパンチで鼻骨骨折に追い込まれ、そこから勝負の流れが変わった。ビクターがサブミッションという大きな武器を持っているからこそ、警戒すべきはその打撃だ。
武道系を匂わせる発言をしていながら、実はビクターの打撃はややアップライトに構えて蹴りも使う純キックボクシング系のスタイル。ある意味、ベーシックで綺麗に構える打撃を使うタイプだけに、石渡としてはただ打撃で向き合うだけでなく、そこに組みを絡めたアプローチで攻略の糸口を掴みたい。そこで重要になるのが”深追いしない”ことだ。
タイトに組みついてトップキープまで意識したテイクダウンはビクターにサブミッションに捉えるチャンスを与えることにもつながる。だからこそあえてトップキープまではいかず、相手の構えやバランスを狂わす程度の深追いしない=崩すテイクダウンのアプローチから打撃につなげることで、ビクターの正統派な打撃を攻略したい。
TEAM OTOKOGIで植松直哉の指導を受ける石渡は、かつてビクターとタイプは違えど超サブミッション型の齊藤曜相手にギロチンチョークの体勢にならないよう、深入りしないポジション取りで削り勝ったことがある。今回も石渡陣営は入念なビクター対策を練って試合当日を迎えることだろう。
ビクターのサブミッションが大きな武器であればあるほど、そこに付随する打撃・スタンドの攻防が重要になる。打撃&極めのビクターに対し、石渡が打撃&組みで削り勝てるか。 石渡があえて深追いしない──そして、攻めすぎないことが勝機につながりうる2015年国内MMA最高の一戦だ。
■Pancrase273 対戦カード
<バンタム級K.O.P.T./5分3R>
[王者] 石渡伸太郎(日本)
[挑戦者] ビクター・ヘンリー(米国)
<ライトフライ級王座決定戦/5分5R>
神部建斗(日本)
武蔵幸孝(日本)
<フライ級/5分3R>
清水清隆(日本)
神酒龍一(日本)
<フェザー級/5分3R>
タクミ(日本)
田村一聖(日本)
<フライ級/5分3R>
安永有希(日本)
マモル(日本)
<ミドル級/3分3R>
川村亮(日本)
ジバゴ・フランシスコ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
長岡弘樹(日本)
ガブリエル・ミランダ(ブラジル)
<フェザー級/3分3R>
稲葉聡(日本)
渡慶次幸平(日本)
<フライ級/5分3R>
山本あつし(日本)
仙三(日本)
<ミドル級/5分3R>
一慶(日本)
ボブ・アームストロング(ニュージーランド)
<ウェルター級/3分3R>
佐藤天(日本)
エリック・マイケル・フォート(米国)
<フライ級/3分3R>
荻窪祐輔(日本)
上嶋佑紀(日本)
<ストロー級/3分3R>
松永義弘(日本)
潤鎮魂歌(日本)
<ライト級/3分3R>
伊藤崇文(日本)
松岡嵩志(日本)
<フェザー級/3分3R>
工藤修久(日本)
佐藤ヒデキ(日本)
<バンタム級/3分3R>
村田康大(日本)
論田愛空隆(日本)
<バンタム級/3分3R>
大橋悠一(日本)
前野辰一(日本)
<フライ級/3分3R>
中村龍之(日本)
渋谷和樹(日本)