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【UFN75】極めが強いK太郎&粕谷、勝負の鍵はスタンド戦に掛かってくる

Kasuya & K-taro【写真】極めの強さでは定評のある両者だけに、そこに持っていく展開を作れるか如何によってUFC初勝利を挙げることができるかがかかってくる(C)MATSUNAO KOKUBO/GONGKAKUTOGI & MMAPLANET

27日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるUFC Fight Night JAPAN 「Barnett vs Nelson」=UFN75。ここでオクタゴン初出場となるのが、粕谷優介。そして中村K太郎は7年7カ月ぶりのUFC参戦となる。

ストラッサー起一の代役としてオクタゴン出陣となるK太郎は、2006年12月から2008年2月にかけて3度UFC出場経験があるが、ブロック・ラーソン、ドリュー・フィケット、そしてロブ・エマーソン戦と3連敗でリリースされた過去を持つ。あれから7年、ウェルター級からライト級、そしてウェルター級に戻し国内の同階級では最強といっても過言でなくなった。

裸絞め十段の異名を取るK太郎は、その名の通りRNCを得意としているが、それは寝技に持ち込み、パスのプレッシャーを掛けてバックを制すという試合を確立しているからに他ならない。他方、一時期はボクシング転向に色気を見せたほど立ち技のセンスの良さも浸透していた。しかし、その両輪の融合という部分で難があり打撃は打撃、組は組と連動性が見られない時期も長かった。

この部分で改善点がみられるようになり、ライト級での過酷な減量から解放されたK太郎は、蹴り技も駆使し、両構えでスタンドを戦うようになり、キャリア最強のオールランダー振りを発揮している。そんな彼と対戦するリー・ジンリャンはチャイナ・トップチーム所属、元散打系という典型的な中国人MMAファイターだ。まだまだ歴史の浅い中国のMMA界だが、リー・ジンリャンはTUF CHINA出場選手よりも実力は上、特に飛び込みながら振り回してくるフックはKOパワーを秘めており厄介だ。

K太郎としてはしっかりと距離を取って、この振り回し系フックを受けないように戦い、一気に距離を詰めて胸を合わせていきたいところだ。胸が合うと、リー・ジンリャンは散打系ファイターの習性のように首投げを狙ってくる。ここでバックを取ることも可能だが、リスクも高いのでその可能性を残しつつ、まずはしっかりと削っていきたい。

K太郎がJ –MMAを代表するファイターなら、日本の格闘技界にあっても粕谷の知名度は決して高くない。修斗新人王からアジア太平洋に目を向け、レジェンドFCでキャリアを積み、PXCで実績を残しUFCで戦うことを目標としてきた。今年3月にそのPXCグアム大会でアジア太平洋を代表する実力者──K太郎も下しているフランク・カマチョから一本勝ちし、粕谷は今回のUFC出場権を得た。

本来、今大会にはカマチョの盟友でグアム出身のジョン・タックがライト級マッチに出場という話もあったが、負傷で流れたという経緯がある。タックの代わりに粕谷の名前が挙がったのか、あるいは対戦相手のニック・ハインの登用となったのか不明だが、とにかくグアムと縁が感じられる粕谷のUFC初出場だ。

彼と対戦するハインは、奥方が日本人ということで6月のドイツ大会での勝利後に日本語で日本大会出場をアピールした変わり種。粕谷としては、左ミドルを蹴り込んで試合を優勢に進めたいところだが、柔道ベースで強いフィジカルの持ち主は粕谷と同じサウスポーの選手。これまでのように腹を効かせることができるかが、大きく勝敗の鍵を握ってくる。

粕谷、ハイン揃って実力&ポテンシャルは未知な部分が残っている。フィニッシュ至上主義の粕谷だが、総合力&3Rを使って競り勝つスタイルのハインに対し、最終的に一本を狙う──つまりしっかいとバックを制する展開を作ることが大切になってくる。そんなタフファイト必死の粕谷×ハイン戦となろう。

■UFN75対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
ロイ・ネルソン(米国)
ジョシュ・バーネット(米国)

<ミドル級/5分3R>
ユライア・ホール(米国)
ゲガール・ムサシ(オランダ)

<フライ級/5分3R>
チコ・カムス(米国)
堀口恭司(日本)

<バンタム級/5分3R>
ジョージ・ループ(米国)
水垣偉弥(日本)

<フェザー級/5分3R>
ディエゴ・ブランダォン(ブラジル)
菊野克紀(日本)

<ROAD TO UFC JAPANフェザー級T決勝/5分3R>
廣田瑞人(日本)
石原夜叉坊(日本)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
中村K太郎(日本)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ニック・ハイン(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
ケイジャン・ジョンソン(カナダ)
小谷直之(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ロジャー・ザパタ(米国)
安西信昌(日本)

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