【ADCC2015】アンドレ・ガルバォン、スーパーファイト王座防衛。レジェンド対決はリボーリオがスペーヒー下す
【写真】世界柔術を欠場しADCCのスーパーファイトに掛けていたガルバォンがスーパーファイト王座防衛を果たした (C)GLEIDSON VENGA
8月29日(土・現地時間)から30日(日・同)にかけて、ブラジル・サンパウロにてアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション選手権が行われた。2年に1度、世界最高峰の組業師たちを集めて行われるこの大会。今年もグラップラーの祭典と呼ぶに相応しい強豪たちが集まった。実質上ギ無しグラップリングの世界最強決定戦といえるこの大会、今回はスーパーファイト2試合の模様を紹介したい。
<スーパーファイト/20分1R 延長10分×2R>
ヒカルド・リボーリオ
Def. by レフェリー判定
マリオ・スペーヒー
かつてカーウソン軍団にて一時代を築いた元盟友同士の一騎打ちは、トップポジションを狙う両者が、延々とスタンドレスリングの攻防を繰り広げる展開となる。双方譲らぬままスタンドでの争いがなんと40分続いた末、試合はレフェリー判定に。ここで大会リングアナのブルース・バッファーが突然マット上に現れてリボーリオの名を絶叫! と同時に、あたかも世界王座戦に勝利したかのように両手を掲げ、膝を付き天を仰いで喜びを表現するリボーリオ。さらにATTの面々が飛び込んできてリボーリオを取り囲む。しばらく抱擁したまま感涙にむせんでいた彼らは、やがて自分たちの将を担ぎ上げた。
白髪の二人による展開のない攻防が延々と続いた後のここまでの喜びようは、この攻防に退屈しきっていた者の目にはほとんどパロディコントのように映っただろうが、本人達は大真面目。現役を退いて長い時間が経ったレジェンド2人には個人的な確執があり、妥協なく勝利のみを求め続け、限りなく頑固な姿勢で戦い続けた40分間。彼らの生き様を忠実に写し出したものだったといえる。
<スーパーファイト/20分1R 延長10分×2R>
アンドレ・ガルバォン
Def. 6-0
ホベルト・サイボーグ・アブレウ
前回ブラウリオ・エスティマをチョークで下してスーパーファイト王座に就いたアトスの闘将ガルバォンに、前回の無差別級で地上最強の柔術家ブシェシャに雪辱を果たして優勝したサイボーグことアブレウが挑戦したこの試合。体格で勝るサイボーグをガルバォンがどう攻略するか注目されたが、試合開始早々、ガルバォンはシングルレッグでサイボーグの足を抱えて、あっさりテイクダウンに成功。サイボーグはスクランブルから立つことに成功するが、またしてもガルバォンが同じようにテイクダウンし、今度は背中を見せたサイボーグのバックに付いた。
サイボーグはフックこそ許さないものの、なかなかガルバォンのバックコントロールから抜けられない。懸命に体をずらしてのスクランブルを試みるサイボーグだが、その上半身をタスキがけでがっちりと固定したガルバォンはそれも許さない。まだ試合開始から10分経過していないので得点こそ入っていないが、ガルバォンが一方的に攻める展開だ。やがてついにサイボーグが体をずらすことに成功したが、上をキープしたガルバォンは怒涛のパス攻勢に。担ぎで煽ってサイボーグに背中を向けることを余儀なくさせると背後に付き、両足フックを完成。この時点ですでに10分経過していたため3点を先制した。
その後ガルバォンは、一度外されたフックをもう一度入れ直して6-0とリードを広げる。やがてサイボーグは、ガルバォンを背中に乗せたまま腰を浮かせると、そこから前転してスクランブルを仕掛け、さらに体をずらして向き直り、ついに上を取ることに成功。この日はじめて攻勢に転じることのできたサイボーグは、低く体重をかけてのパスを見せる。ガルバォンは両腕の強固なフレームを用いた得意のエビで対抗。サイボーグの頭を手で押し腰を引いて距離を作ったガルバォンは、そうはさせじとサイボーグが前進してきたところで、その腰を足で跳ね上げて隙間を作って見事に立ち上がってみせた。
こうして千載一遇のチャンスを失ったサイボーグに対し、その後もガルバォンはスタンド戦を支配。サイボーグのタックルを防ぎつつ、逆にシングルレッグで転がしてみせるなど、試合を支配したまま終了を迎えた。終わってみれば階級下のガルバォンがスタンドでも寝技でも強さを見せつけて完勝。その心技体の充実ぶりはまさにアトス闘将の面目躍如といえるものだった。