【on this day in】9月10日──2005年
【写真】今も変わらぬノヴァの十八番、肩固めでシウバを破ったシャオリン(C)MMAPLANET
Cage Rage13
@英国ロンドン、ウェンブリー・カンファレンスセンター
「英国在住シュートボクセ・アカデミー所属のブラジリアン=ジーン・シウバを2R4分18秒、得意の──というよりもノヴァウニオンのお家芸といっても過言でない肩固めに捉え、ヴィトー・シャオリン・ヒベイロがCage Rageライト級チャンピオンの座に就いた。修斗世界ウェルター級(※70キロ)に続き、2つ目のMMAのベルトをその腰に巻くことになったシャオリン。MMA戦績を13勝1敗とした。競技柔術のトーナメントに出場し、黒帯の世界チャンピオンクラスの柔術家でMMAでも最も成功を収めたのはBJ・ペンであり、現在進行形ではジャカレ・ソウザだろう。今から10年前の今日、英国でチャンピオンとなったシャオリンこそ、当時UFCを離れライトヘビー級やヘビー級で戦っていたBJと並び、ノヴァが生んだ成功のMMAファイターになると信じて疑わなかった。シャオリンは道着を着てなお、レスリング的なテイクが強かった。グラップリングでもトップを取ると今でいうダースチョーク、ガードからもワキを潜ってバックに回り込むという、上と下からの別々の技にシャオリンという名がつけられるほど、現代MMAの象徴スクランブルに適合した技術に先鞭をつけていた。しかし、JZ戦での目の負傷も影響しただろうが、米国に拠点を移すと修斗やHERO’Sでらしさを見せたのとは対照的に、柔術ベースの力強いMMAは影を潜めるようになった。柔術家時代、ノーギ・道着に関係なくシャオリンと名勝負を繰り広げたのがレオジーニョだった。その一方で、同じレヴィ級の強豪マーシオ・フェイトーザとの戦いは手に汗は握ったものの後世に語り継がれるという戦いとはならなかった。青木真也のミドルに敗れたシャオリン。つまり、そういうことだったんだな、と。ノヴァのMMAファイターが打撃派とケージ・レスリング派に分かれ、柔術の香がしなくなった今、シャオリンは今週末、英国のサブ・オンリー大会=ポラリスで中村大輔と道着マッチを行う。先人をリスペクトする、柔術社会にホッコリする今日この頃だ」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。