【写真】今年の世界柔術で自ら50/50ガードを取る執念を見せたコブリーニャ。前半5分はポイントのないADCCで今が旬のEVI勢との対決は実現するか(C)MMAPLANET

28日（金・現地時間）から30日（日・同）にかけて、ブラジル・サンパウロのジナーシオ・マウロ・ピンヘイロにてアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の、世界サブミッション選手権が行われる。2年に1度、世界最高峰の組業師たちを集めて行われるこの大会。今年もグラップラーの祭典と呼ぶに相応しい強豪たちが集まった。本日より、各階級ごとの見所を紹介したい。

【66キロ以下級】

2009年大会より、ハファ・メンデスとコブリーニャことフーベンス・シャーレスの一騎打ちと化していたこの階級。例年に劣らぬ死闘となった前回大会決勝は、テイクダウンを狙い続けたコブリーニャがレフェリー判定ながらついにハファに勝利、優勝を飾っている。

そのハファは、上述の敗戦以外はあいかわらずの恐るべき強さで連戦連勝を続け、今年の世界柔術の決勝においてもコブリーニャを寄せ付けずに圧倒的な優勝。だが今回のADCC大会は「今は家族との時間を大切にしたい」と欠場を表明した。しかし、これで今回コブリーニャの連覇は堅いと断言はできないほど、エントリーリストには新旧の強豪が揃っており、見逃せない階級となっている。

ベテランのビッグネームとしては、タンキーニョことアウグスト・メンデスとブルーノ・フラザトがエントリー。タンキーニョは、13年の世界柔術でギィとハファのメンデス兄弟相手に強固なベースと基本技術で対抗、見事に競り勝って優勝を収めており、今のところギあり柔術でハファを倒した最後の選手となっている。フラザトは、アトス柔術におけるチームメイトのメンデス兄弟とともに50/50等を披露し、モダン柔術の元祖と言うべきテクニシャンだ。さらに00年代半ば移行の米国西海岸グラップリングシーンを代表する人気者、ジェフ・グローバーも参戦。稀代のショーマンは、今回も（ときに自滅を招く）遊び心に溢れた動きを披露するのか、それとも怖さを見せてくれるのか。

彼らベテラン勢に対抗する若手勢の活躍も楽しみだ。まず、前回大会3位のジャスティン・レイダーが出場。強力なレスリングベースを持つレイダーは、前回大会の3位決定戦にてジョアオ・ミヤオの下からの攻撃を凌ぎ続けて勝利してみせた。その前回4位のジョアオも当初はエントリーされていたが、先日急遽欠場が決定。残念な限りだが、同系統のモダン柔術の使い手としては米国のジャンニ・グリッポの名がリストにある。

このグリッポ、昨年のコパ・ポジオのスーパーファイトにてジョアオと延々とダブルガード合戦を展開。あまりの展開の変わらなさに、時間無制限ルールであったにもかかわらず主催者が一時間経過時に試合をストップ、ドローを宣告するという前代未聞の結末を迎えている。プロとしてその戦い方の是非はともかく、ミヤオに劣らぬダブルガードゲームの使い手であることは証明済みだ。今年はギありでパン大会とワールド・プロの両方を制して世界トップの一角に食い込んだグリッポのノーギでの戦いぶりは楽しみなところ。その反面、世界柔術の時のようにアリアンシの大先輩コブリーニャに勝ちを譲る可能性もあることは否めない。

さらに米国の若手勢、エディ・カミングスとジオ・マルティネスの2人にも注目したい。エディ・ブラボー主催のEBI（エディ・ブラボー・インビテーショナル）等、近年米国で急速に盛り上がっているサブミッション・オンリー大会で活躍する両者。「ヘンゾ道場の頭脳」こと名伯楽ジョン・ダナハーの弟子のカミングスは、足関節マスターとして名を馳せる選手。先日のEBI4大会でも、決勝で（ジョアオ・ミヤオを延長で下して勝ち上がった）UFCタイトル挑戦経験もあるジョー・ソトを極めるなど、全試合を足関節技で極めて完全制覇している。

また、エディ・ブラボーの弟子のマルティネスは、10th Planet所属らしく極めて柔軟な体を持ち、下からのバック取りなどを得意とする。EBI1でジェフ・グローバーを延長で下し、EBI2ではハビエル・バスケスやファビオ・パッソスといったビッグネームを足関節で極めて連続優勝して名を挙げた。ミヤオ、グリッポらよりさらに最新の組み技シーンの申し子と言える彼らが、ベテラン勢とどのような闘いを演じるのか、グラップリング界の未来を占う闘いとなるだろう。なお日本からは、5月のアジア予選を勝ち抜いたテクニシャン平尾悠人が出場。強豪ひしめく大会における奮闘を期待したい。

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