この星の格闘技を追いかける

【on this day in】2月04日──2006年

04 02 06【写真】イベント名はケージ・レイジ、つまりCage Rage。でも、どこにも金網は見られないのが、このイベントらしいユニークさだった (C)MMAPLANET

Cage Rage15
@英国ロンドン、ウェンブリー・カンファレンスセンター
「あのLIVE AIDが開催された(知らない?)ウェンブリー・スタジアムに隣接された収容人員3000人ほどのコンベンションセンターに、メルビン・マフーヌ、ミノワマンにジョゼ・ランジ・ペレ。クリス・ライトルもいれば、ポール・デイリーやブラッド・ピケットも戦っていた。そして、9カ月後に現役を退くジェイソン・デルーシアの試合も組まれていた。この3年半ほど時を遡った02年9月に産声を挙げたケージ・レイジは一見、その名の通り六角形のケージを使用しているように思われるが、近づいてみるとビックリ。金網でなく黒い紐で編まれたネットが張り詰められていた。選手の体に掛かる負担を和らげるというマット・ヒュームの案だった。アンダーグランドから出てきたといっても何ら不思議でない形相のプロモーター2人=デイビッド・オドネルとアンディ・ギアが花道を歩く選手の背中を叩き、拍手で送り出す。その先にはリングガールやスチール・カメラマンが待ち受けており、試合前からリングガールが選手の横について、記念撮影が待っている。そんなMMA大会は、僕の取材歴で後にも先にもこのケージ・レイジだけだ。まだ、危険以上に残忍というイメージが付き纏い、社会に認められていなかったMMAをより安全に、より激しく、何よりも『より楽しく』見せていた。プロモーターがはしゃぎまくる微笑ましい空間。ライバル・プロモーションで活動していたマイケル・ビスピン、25カ月後にMMAデビューを果たすコナー・マクレガー、彼らの今がUFCが英国に定着していなければ存在しなかったのであれば、ケージ・レイジも決して無関係でないはず。UFCの向こうを張ったエリートXCコングロマリットのプロエリートに買収され、活動を停止したが、この愉快なイベントが英国MMAの基礎を作ったといっても過言でない」

on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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