【UFC MACAO】強さとは――板垣恵介×岡見勇信 特別対談(03)
【写真】グラップラー刃牙シリーズの作者・板垣恵介氏が、UFCファイター岡見勇信のトレーニングを見て、存分に語りあった (C) MMAPLANET
11月10日(土・現地時間)のUFC MACAO開催に際し、UFC.COM×UFCモバイル×スポーツナビ×MMAPLANETのコラボレーション企画を、この1カ月間行ってきた。そんなコラボ企画も、UFC MACAOウィークまで1週間を切り、最終章へ。
ここではグラップラー刃牙シリーズで格闘技ファンの間でも高い人気を誇る漫画家・板垣恵介氏と、アジア人最強UFCファイターの岡見勇信のスペシャル対談を4回に渡り、お届けします。
刃牙シリーズを通して、最強を求め続けてきた板垣氏とUFCで最強を目指す岡見、他で聞くことができない深いUFC談義、第3回は岡見が自らの経験と盟友チェール・ソネンの敗北を通して、アンデウソン・シウバの強さを語った。
<特別対談 板垣恵介×岡見勇信 パート01はコチラから>
<特別対談 板垣恵介×岡見勇信 パート02はコチラから>
板垣 そこを聞きたかったんですよ。随分と違っているわけですね、じゃあ。
岡見 全く違いますね。アンデウソンっていう人間は。
板垣 日本で戦っている時は、そんなに強くなかったよねぇ(苦笑)。どこで、何が彼にあったのでしょうね。
――「獣のよう」という表現を岡見選手もされていましたが、自分は記者として彼と長く接してきて、凄く丁寧だし、ミノタウロとの友情など人間味のあるところも見てきました。ただ、フッとしたときの表情や居住まいに「人に非ず」という風に感じられることがあるんです。
板垣 前にも、ソレ聞いたんだけど……、「どうせ、俺らのことなんか眼中にない」っていう風に感じることがあるって。
高島 そうですね、相手にされていないなって感じることがあります。UFCで大物になる前からです。
【写真】これをされると、相手にされていないと感じてしまうアンデウソンのお辞儀 (C)MMAPLANET
岡見 ソレ、感じます……。丁寧なんだけど、あのお辞儀から感じます(苦笑)。
板垣 あぁ、アレ、アレは嫌だねぇ。
岡見 あんなのお辞儀をするつもりなんて、全くないですからね。
板垣 アレは慇懃無礼、それですらないぐらいバカにした行為だよね。
――そういう部分が、7月のチェール・ソネン戦から、かなり全面に出てきているような気もします。
板垣 1試合目があったから、そうなるんだろうけどチェール・ソネンの自信って凄かったじゃない? 言葉でアレだけアンデウソンを侮辱して、『負けたら引退する』とまで言って……。あのプロモーションを見ているうちに、僕も本当にドキドキしてきて、期待が高まっていってね。とんでもないモノが見られるかもしれないと思ったら、2Rになって……ああいう終り方をした。
アンデウソンの神通力的なモノを話してきたけど、獣というか人に非ざるモノをチェールも見てしまったのかなぁって。怖気づいたみたいだったよねぇ。
岡見 僕はよくチェールを知っているので、彼があんな姿をみせたことに驚きました。ああいうタイプの人間じゃないので。
板垣 あの顔つきからして、気性の激しさ、心が折れないだろうっていう人が――。ずっと折れない人生を歩んできた顔をしているじゃないですか、チェール・ソネンは。
【写真】バランスを崩したチェール・ソネンが、立ちはだかるアンデウソンを見上げる。この時、彼の胸に去来した想いは? (C) ZUFFA LLC
最後のグラウンドのヒザを顔か胸かっていう論議になったけど、そんなのどっちでも良い。ソネンがああいう顔になってしまったんだから、どっちでも関係ない。顔か胸かなんて問題ならない、それぐらい顔つきが変わっちゃっていましたね。
あの豹変振りは、アンデウソンと向き合ったことがある岡見選手には、「アレだな」って思い当たる節があるんですか。
岡見 う~ん、ちょっと分かる気がしますね。
板垣 スピニングバックフィストでバランスを崩して、ケージ際でしゃがみ込み、アンデウソンを見上げた時って、どんな気持ちになるのかなぁって。
岡見 その前から動きがおかしかったんですよ。凄く焦っていたんですよね。2Rにテイクダウンを仕掛けたときに、金網に突っ込んで、そこから投げようとしたんですよ。ああいう無理やりな投げって、本来彼はしないんですよ。あの投げを見た時に、チェールの動きじゃないなって感じました。そのあとにバックハンドを失敗して、転がってしまって。
【写真】2Rに入ってからのソネンの動きは普段見られるものではなくなっていったという岡見。アンデウソンの前では、誰もが恐怖を口にしてしまうが、果たして…… (C) ZUFFA LLC
板垣 1Rは意に介さず、サッと倒したじゃないですか。ソネンがすぐにテイクダウンを奪った。ビックリするほど、呆気なく。それが、2Rになると変わっていた。あんなに1Rと2Rが違うモノになるのかって。倒されまいと思ったアンデウソンは、もう違うモノになってしまうのですかね。
岡見 1Rもアンデウソンは、倒されないように対処はしていたと思います。組まれてすぐに手を差し入れていたので。ただ、打撃かテイクダウン狙いか、どっちに来るのか考えていた節はあります。
それが2Rは打撃でこないと確信し、反応が良くなっていました。最初の試合では打撃でダウンし、あれだけ挑発されていたから打撃でくるのかっていう気持ちを1Rは持っていたと思います。
板垣 チェール・ソネンの打撃は強い?
岡見 巧いですね。一発で仕留めるタイプではないのですが、手数と技術は相当なものです。
板垣 アンデウソンと比較しても?
岡見 アンデウソンと比較すると、それは何ともいえないですけど、タイプの違う打撃ですね。テイクダウンにつなげる打撃が素晴らしいです。
(この項続く)
■UFC MACAO「Franklin vs Le」対戦カード
<ミドル級/5分5R>
リッチ・フランクリン(米国)
カン・リー(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
スタニラフ・ネドコフ(ブルガリア)
チアゴ・シウバ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
パウロ・チアゴ(ブラジル)
キム・ドンヒョン(韓国)
<ライト級/5分3R>
五味隆典(日本)
マック・ダンジグ(米国)
<バンタム級/5分3R>
アレックス・カサレス(米国)
カン・ギョンホ(韓国)
<ライト級/5分3R>
ジョン・タック(米国)
ジャン・ティエカン(中国)
<フライ級/5分3R>
漆谷康宏(日本)
ジョン・リネケル(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
福田力(日本)
トム・デブラス(米国)
<バンタム級/5分3R>
水垣偉弥(日本)
ジェフ・ホウグランド(米国)
<ライト級/5分3R>
イム・ヒョンギュ(韓国)
デビッド・ミッチェル(米国)