【on this day in】11月24日──2012年
【写真】イ・ウンスにダウンを奪われると、乱打戦の展開から大山はマットに沈んだ (C)MMAPLANET
Road FC10
@韓国・プサン、BEXCOオーデトリアム
「大山峻護が放った左ストレートに、イ・ウンスが右クロスを合わせる。この一発をモロに食らって前方に崩れ落ちた。そんな強烈な一発にも、彼は懸命に起き上がろうとしたが、意識が朦朧としているのか、イ・ウンスに背中を見せていた。正面を向きなおしたところで、左右のフックを受けて再びダウン。それでも再び立ち起き上がった大山は強烈な右から左を被弾する。そして、今度はゆっくりと前方に倒れながらパンチを受け続け、ついに目を見開いたままキャンバスに沈み、2月にその腰に巻いたRFCミドル級王座を失った。この後、大山はパンクラスで1勝2敗という結果を受け、引退を決意。12月6日に最後のケージに足を踏み入れる。殴られたら殴り返す、そして打ち負ける。勇気がなければ打ち返せないことは、百も承知だ。ただし、自分の打撃より相手が優っているのであれば、その戦い方はあまりにも危険になる。本人もそういう試合から脱却を誓い、トレーニングを重ねていた。それでも、一発もらうとカッとなり、間合いもディフェンスも関係なく殴りに行く。きっと大山は、真っ向から殴り合って勝てる格闘家になりたかったんだろう。でも、そんな選手は世界に一握り、いや一握りも存在しえない。最後の試合、大山君はどんな風に戦い、どのようなメッセージを自らが戦う姿で皆に伝えてくれるのだろうか」
on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。