【UFN53】変則も戦いを重ねれば正則。グンナー・ネルソン×リック・ストーリー、それぞれの対策は??
【写真】フィジカルが優れテイクダウンを軸に技を回転させるストーリーとの対戦は、ネルソンの今後を占ううえで以上に重要な試合となるだろう(C)GONGKAKUTOGI
日本大会からラスベガスのビッグショーを経て、今週末はスウェーデンとカナダで2大会開催という過密スケジュールのUFC。4日(土・現地時間)はスウェーデンのストックホルムでUFC Fight Night 53「Nelson vs Story」、そしてカナダのノバスコシア州ハリファックスでUFC Fight Night54「MacDonald vs Saffiedine」が行われる。
ハリファックス大会に先立つこと7時間、ストックホルムのエリクソン・グローブアリーナで開かれるUFN53のメインはスカンジナビアからアイスランド人グンナー・ネルソンが抜擢され、リック・ストーリーと対戦する。スタンドでは沖縄剛柔がベース、組技はヘンゾから受けたグレイシー柔術黒帯の腕前を如何なく発揮してきたネルソンは、これまでUFCで4連勝、キャリア全体でも13勝0敗1分とニアパーフェクト・レコードを残している。
一方、ストーリーは現ウェルター級世界王者のジョニー・ヘンドリックスに土をつけた経験もあるが、最近では勝ったり負けたりを繰り返し、一時は7勝1敗だったオクタゴン戦線も11勝6敗と勝率も下降気味だ。それでもストーリーは、ネルソンがこれまで勝利してきた相手とは異質の強さを持っており、このマッチアップはスタイル的にもネルソンがトップ5のレベルに迫っていくことができるかどうか、スケールとなるように思われる。
ネルソンの打撃はスイッチを多用し、横蹴りや回し蹴りを駆使しつつ、遠い間合いからパンチを振るっていくというモノ。このような戦い方は、今もMMAでは独特なスタイルと認識されている。ただし、過去4戦でネルソンのパンチは当たればKOパワーを秘めているが、その実、テイクダウンへの伏線が主目的だと分かってきた部分がある。勢いはある、だから対戦相手の注意を集めることが可能になる。特にそれまでの蹴りなど、変則的な動きに目を奪われてきた相手の選手は、まずネルソンのパンチに対しバックステップや上体を反らしてかわそうとする。目の前の敵が重心を高くし、後ろ足に体重が乗りがちな状況が訪れると、ネルソンは試合を決めることができる寝技に持ち込むために、テイクダウンを仕掛けていくのだ。
さらにいえば、テイクダウンを奪うことができなくとも、テイクダウンがあることを餌にレンジの外から、蹴りを当てて印象点を稼いでいく。そんなネルソン流MMAの必勝法だが、ストーリーでなくても、UFCで戦う世界のトップファイターなら、5戦目ともなれば対策を練ってきて然り。ネルソンの動きに惑わされることなく、大きな振りのパンチが来れば、逆に踏み込んで小さな構えからストレート系のパンチ、あるいはアウトに外して被せるような右フックを繰り出す──そんな反応が見られても不思議でない。
当然、パンチからテイクダウンに対しても対処はしてくるだろう。純粋シュートボックスでは防御ともにテイクダウンの技術は上と予想されるストーリーを相手にするだけに、ネルソンもテイクダウンに失敗したときの戦いを頭に描く必要がある。これまでほとんど見せていないガードワークなど、ネルソンの二の矢、三の矢が見られる可能性もあり、そこも楽しみな一戦といえる。
■ UFN53対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
グンナー・ネルソン(アイスランド/12位)
リック・ストーリー(米国)
<フェザー級/5分3R>
アキラ・コラッサーニ(スウェーデン)
マックス・ホロウェイ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
イリル・ラティフィ(スウェーデン)
ヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)
<フェザー級/5分3R>
ニクラス・バックストルム(スウェーデン)
マイク・ウィルキンソン(英国)
<ミドル級/5分3R>
マグナス・セデンブラド(スウェーデン)
スコット・アスカム(英国)
<ウェルター級/5分3R>
ニコラス・ムサケ(スウェーデン)
アレキサンダー・ヤコブレフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
デニス・シヴァー(ドイツ/11位)
チャールズ・ロサ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
カホル・ペンドレッド(アイルランド)
ガサン・ウマラトフ(ロシア)
<ミドル級/5分3R>
トル・トローエン(スウェーデン)
クシシュトフ・ヨッコ(ポーランド)
<ウェルター級/5分3R>
マイルベク・タイスモフ(オーストリア)
マーチン・バンデル(ポーランド)
<フェザー級/5分3R>
ズベア・トホゴフ(ロシア)
アーネスト・チャベス(米国)