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【Pancrase261】北岡悟〈01〉 「パンクラスのデカゴンの中で戦い、勝ちたいという気持ち」

Satoru Kitaoka【写真】9月より新しいロケーションで新装開店となった──八隅孝平代表曰く「玄関がホテルのロビーのようになった」──ロータス世田谷にて(C)MMAPLANET

5日(日)東京都江東区のディファ有明で開催されるPancrase261で、北岡悟がリッチー・ウィットソンと対戦する。

約1年振りのパンクラス登場は北岡にとって、初めてのケージとユニファイド・ルールとなる。J-MMAの屋台骨、北岡悟の下を訪ねた。

──北岡選手をMMAPLANETで取材させてもらうのは、2012年4月の北米トレーニングの出稽古の旅以来となります。J-CAGEという国内のケージ大会を扱うコンテンツを立ち上げたことで、今回の取材を実現できることとなりましたが、この2年5ヶ月の間、北岡選手はMMAPLANETの主たる取材対象である海外MMAから遠い場所で戦い続けてきたこととなります。そして、あのトレーニングの旅に参加した選手で、MMAPLANET再登場に最も時間を要したのが北岡選手で、一人前がGRANDSLAMに出場した伊藤健一選手でした。個人的にもここで北岡選手の話を聞けることが嬉しいです。

「ハイ、ありがとうございます。僕はケージやユニファイドに遠いところにいましたけど、まだ現役やっています(笑)。」

──そんななか9月20日、UFN52で金原正徳選手のセコンドに就かれていましたが、どのような印象を持ちましたか。

「UFC全般ですか?」

──はい。

「僕、金ちゃんの試合しかアリーナにいることがなくて、モニターしか見ていないんです。だから何とも言えないですけど、金ちゃんの試合は長年の想いが実った瞬間を共有させてもらい、凄く光栄でした」

──『ありがとう、UFC』というセリフがとても印象に残っています。

「彼は……不良上がりだとは思うのですが(笑)、本当に明るい性格だし、良いですよね」

──UFCに関して、特に感じ入るモノはなかったですか。

「いや、でも素晴らしいと思いましたよ。控室にいても、そういう風に思えました。日本人選手が多かったですけど、そこは日本を代表する指折りの選手ばかりなので、取り組み方だったり、意気込みも高い。日本のトップの人たちばかりだから。やっぱり、そういうモノに触れたり、同じ空間にいられることは心地よかったですね」

──UFC JAPANが終わってから2週間後にはVTJとパンクラスという国内有数のケージ大会が開催され、ここにきて北岡選手がパンクラスでケージ、そしてユニファイド・ルールに挑みます。

「う~ん、去年の年末のラマザン・エセンバエフ戦も、4月の宮崎(直人)戦もヒジ有りだったので、リングでの試合でしたが徐々に寄っていっているというのは有りました。ただ、DEEPはタイトル戦なので、サッカーボールキックも有りなんですよね。そこもDEEPに関しては、菊野戦以外はタイトル戦なのでリングで戦うということは外せない要素だったんです。一時期、選手が同意すればケージでもタイトル戦が行われるようになりそうなこともあったんですが、結局のところタイトル戦はリングに拘るという風に落ち着いたようですし。ただ、今後もルールに関してはユニファイドに寄せるようになるとは聞いています」

──ではケージという部分については、どのように考えられていますか。

「ケージに関しては、意識して練習はしてきました。でも、たまたま……ですよね。海外に戦場を求めなかったこと以上にたまたまです」

──今回出場するパンクラスが、たまたまケージを使用していると?

「パンクラスで戦うこともたまたまに近いかもしれないです。去年の9月に出て、また出たいとは思っていたんですけど、それは遣り甲斐でもあるし、生きるためでもある。両方ですよね、ハイ」

──その想いがあっても、DEEPのチャンピオンということもあり、なかなか実現には至らなかったわけですが。

「難しい時期もありました。電撃和解というか茶番劇というか……でも、良かったと思います。選手の立場からすると、試合の機会が明らかに増えるわけですから」

──何れにせよ、和解劇(笑)が北岡選手のパンクラス出場という形で表れたのであれば、それはファンにとっても歓迎すべきことですしね。

「僕だけでなく、いわゆる中堅どころの選手が、行き来できるようになっています。両団体がストックしている選手のなかにも、やっぱり対戦カードとか扱いが難しくなってくる状況の選手がいても、パンクラスとDEEPの交流によって目新しい顔合わせが生まれることは本当に良いことですよ。それに若くてやる気のある選手なんて、めちゃくちゃ試合経験を積めるわけですしね」

──ここに修斗、あるいはVTJが加わるとさらに良い状況になりますよね。

「VTJなら階級も同じですしね……。でも、僕が出ていないところの話は……(苦笑)」

──現状、北岡選手は戦い勝手の良い場所で戦っていくということでしょうか。

「何とも言えないです。戦い勝手の良い……、何だろうなぁ。DEEPに関してはチャンピオンですから、タイトル戦が中心になるはずです。ファイトマネーの額からも、頻繁には使い辛いだろうし、それはパンクラスも同じことで。でも、ディファ有明で外国人、僕が出るからワールドスラムも復活したというのもあるだろうし、よくこの場を与えて下さったと思います。そこは本当に感謝しています」

──トーナメントとなると、またDEEPライト級王座防衛戦とスケジューリングのバッティングが起きないよう、団体間での調整も必要になってくるのかと。

「優先順位としてはDEEPですよね、チャンピオンですから。ただ、究極的には僕の気持ち次第です」

──このところ、選手を拘束したいのであれば、契約が必要という意見が多く聞かれるようになりました。

「DEEPとは一度、防衛をすれば自由にして良いということになっています。返上しても良いけど、僕が防衛戦を行う気持ちでいるなら、挑戦者に関しても佐伯さんのなかでは意中の選手はいるようです」

──それが決してTDCホール大会のようなビッグショーではないと。

「今年は4月にすでに防衛しちゃっていますからね。う~んパンクラス出場が決まっていなかったら、TDCホール大会に出ていたかもしれないです」

──昨年9月のパンクラス再出場の要因の一つには20周年記念大会ということもありました。今大会もパンクラスに出場することで、特別な思い入れは持たれているのですか。

「去年の9月にパンクラスで戦い、『またパンクラスで見たい』と言ってもらえたし、それ以上に僕自身も『また、ここに出たいな』という気持ちもありました。その両方の部分とプロとして……、スイッチというか、DEEPとパンクラスの両方に出ることで注目もされますしね。それとパンクラスのデカゴンの中で戦い、勝ちたいという気持ちもあります」

──10角形のケージで戦うことで、戦い方にアジャストは必要だと感じていますか。

「相手のリアクションという要素はありますが、何といっても広いですしね。修正すべき点は出てくると思います、格闘技に関しては僕もバカではないので考えてはいます(笑)。やってみないと分からない部分はついて回りますし、そういう怖いもの見たさのような興味もあります」

<この項続く>

■Pancrase261対戦カード

<ウェルター級/3分3R>
マンモス谷(日本)
ロン“ザ・ケイブマン”スローター(米国)

<スーパーフライ級/3分3R>
小林優(日本)
松場貴志(日本)

<ネオブラッドTフェザー級決勝/3分3R>
清水ダイキ(日本)
牛久絢太郎(日本)

<ネオブラッドTバンタム級決勝/3分3R>
井関遼(日本)
コンボイ升水(日本)

<ネオブラッドTスーパーフライ級決勝/3分3R>
荻窪祐輔(日本)
小宮稔大(日本)

<ネオブラッドTフライ級決勝/3分3R>
早坂優瑠(日本)
神部建斗(日本)

<ワールドスラムT準決勝ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
リッチー・ウィットソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
馬場勇気(日本)
ナム・ファン(米国)

<バンタム級/3分3R>
才賀紀左衛門(日本)
ライダーHIRO(日本)

<フライ級/5分3R>
阿部博之(日本)
武蔵幸孝(日本)

<ウェルター級/3分3R>
高木健太(日本)
KEI山宮(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
清水俊一(日本)
獅庵(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
上田将竜(日本)
井島裕彰(日本)

<バンタム級/3分3R>
藤井伸樹(日本)
合島大樹(日本)

<バンタム級/3分3R>
なおKING(日本)
CORO(日本)

<フェザー級/3分3R>
阿仁鬼(日本)
横山恭典(日本)

<パンクラスゲート・プロ昇格Tフェザー級決勝/3分2R>
河村康博(日本)
桂爽淳(日本)

<パンクラスゲート・プロ昇格Tバンタム級決勝/3分2R>
小野隆史(日本)
松下祐介(日本)

<パンクラスゲート・フェザー級/3分2R>
齋藤拓矢(日本)
山口亮(日本)

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