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【UFN43】日沖発、オリヴェイラ戦を振り返る――〈前編〉

2014.07.21

Hatsu Hioki, Bob & Mirror Knight

【写真】ボブ・アームストロングのセコンドに就いた日沖発。チームメイトの勝利にしっかりと握手を交わす。試合前だというのに、しっかりと自分の敗戦を分析、語ってくれた(C)MMAPLANET

13日(日)に東京都江東区のディファ有明で行われたGRANDSLAM「Way of the Cage」にALIVEからボブ・アームストロングが出場、YOUSUKEを相手に31秒KOと圧倒的な強さを見せつけた。そのボブのセコンドに日沖発が就いていた。

6月28日のUFN43でシャーウス・オリヴェイラにキャリア初の一本負けを喫してしまった日沖。控え室ではチームメイトと明るい顔で談笑している彼に、オリヴェイラ戦を振り返ってもらうと、その表情は一気に厳しいモノとなった。

――シャーウス・オリヴェイラ戦から3週間が経過しました。もう敗北は引きずっていないですか。

「もう、大丈夫です」

――アナコンダを極められ一本負けとなってしまいましたが、内容的には最近のUFCでは見られない素晴らしいグラップリングマッチでした。

「アナコンダを狙っていることは最初から分かっていたんです。左手の方を取ってバックへ行くという対策を練っていて、1Rはそれが成功したんです。2Rはあの態勢に入った瞬間に足を組まれてしまったので、ちょっと外せなかったです」

――頸動脈なのか、首折り系なのか、どちらの痛さだったのでしょうか。

「頸動脈の方ですね。絞められました」

――あの技をオリヴェイラが掛けた瞬間、日沖選手の勝ち負けを忘れ、『凄い』と思ってしまいました。そして、あの技でタップするのはしょうがないと感じました。あの仕掛けについて、予備知識はあったのでしょうか。

「う~ん、何たら(※ジョナサン)・ブルッキンスと戦った時もオリヴェイラは、全く同じ形ではないですけど、アナコンダのグリップから、クローズドに固めて取っているので警戒はしていました。アナコンダ・グリップに関しては、相手のヒジを持って、背中を巻くようにして体をずらすと外すことはできるんです。ただ、クローズドを取られると、その対応はできなくなります。引き込まれなければ、ディフェンスはできるようにはしていました」

――オリヴェイラが日沖選手を極めた時は、クローズドというよりも、左足を自らの左腕に重ね、ペルヴィアン・ネックタイと同じような組み方になってしました。

「そうでしたね。腕を越えながら、三角絞めみたいな感じで組んでいましたね。あの時は腕を越えられた形だったのですが、組まれる位置はあまり問題じゃないんです。足を組まれるか、ハーフガードで片足に絡まれるとか、要は僕の動きを固定してくることに気を付けないといけなくて。1Rに2度、アナコンダを仕掛けられましたが、1回目は引き込んでなくてがぶりの状態だったので、逆にバックが取れたんです。2回目の仕掛けは引き込まれたんですけど、自分がクルっと回るようにして外していたんです。

対して、2Rに取られた時は完全に固定されて、動けなくされてしまいました。オリヴェイラががぶった状態で、時間を掛けて仕掛けてくれば対処できたと思うのですが、あの時は動きが速かった。そこに対応できていなかったと、あとで映像を見て感じました」

――直前に日沖選手がバックマウントを取ってRNCを仕掛け、そこで前方に落された時に亀になり、一瞬動きが止まったように見えました。あれだけ激しい動きを繰り返していたので、1Rと比較して反応や瞬発力的な動きは落ちていたということはありますか。

「それはありますね。やっぱり、もうちょっと先にペースを掴んでおけば、ああいう形にならなかったので……。ちょっとバックで無理していたのかと。無理しないで下がっておいても良かったかなぁと……。でも、後付けではありますけどね。その時の感覚を信じているところがあるので。自分で行けるという感覚があり、そこで行ったのですが……。相手のディフェンスが上手かったということになります」

――そうですよね。その感覚を信じて勝利するときもあれば、相手が上回ることがある。そしてUFCには強い選手が多い。

「後から考えれば、あの時に違う判断をしておけば良かったのでしょうけど……。あのまま下がって、RNCでなくバックキープに専念しておくとか。そうしておけば良かったんだろうなとは思います」

<この項続く>

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