【Pancrase258】石渡伸太郎 「もっと強くならないと話にならない」
【写真】勝利が決定しても笑顔を浮かべることなく、青コーナーで椅子に座ったまま立ち上がらないワードを睨みつけていた石渡伸太郎 (C)MMAPLANET
11日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase258。昨年より世界標準を標榜するようになったJ-MMAの老舗は、今大会より10角形ケージ=デカゴンを使用し、国内主要プローションとして初の完全ケージ化を果たした。ルールも3分×3R戦が大半を占めたもののユニファイドルールを採用、そんな記念すべき大会の事実上のメインにバンタム級キング・オブ・パンクラシスト石渡伸太郎が出場し、トレバー・ワードと対戦した。
<バンタム級/5分3R>
石渡伸太郎(日本)
Def.1R終了時by TKO
トレバー・ワード(米国)
当初の対戦相手シーザー・グレイシー門下ファカード・シャリボフの代役の代役となったワードは185センチの長身で、キャリアは4戦4勝。バンタム級としては規格外の上背を誇り、フィニッシュ率は100パーセント、その勢いが不気味な相手となった。序盤、長身のワードが前蹴りや後ろ回し蹴りで牽制し、右ハイから右ミドル、さらに首相撲に捉えてヒザを突き上げる。ガチャガチャとした打撃戦のなかで、右を受けた石渡。先手を取られた形となるも、まずは蹴りを見切るとテイクダウンしトップを奪う。
【写真】足の長いワードだが、石渡はしっかりと足を効かせないよう腰を殺してパウンドを落していった(C)MMAPLANET
長い足を利して三角絞めを狙ったワードだが、石渡は腰を浮かして頭を抜くと立ち上がってローを見せる。レフェリーがブレイクを命じ試合がスタンドに戻ると、石渡が右ストレートをヒット。パンチの振りも大きくなり前かがみで突っ込んできたワードをすかすようにして、石渡は再度、寝技に持ち込む。警戒するのは三角のみ、右ヒザでワードの左骨盤を押すようにして下からの仕掛けを潰した石渡は、小気味良くパウンドを落とし、初回が終了した。
オープンスコアによると、ジャッジ3者とも石渡の10-9のラウンドとした。と、ワードのセコンドがタオルを投入し、石渡の1R終了時TKO勝ちが決まった。序盤の打撃戦で拳を負傷したというワード、呆気ない結末に勝者・石渡は笑顔もなく、「消化不良で申し訳ないです。また強くなって出直してきます」と話しデカゴンを後にした。ここからは控え室に戻った石渡の試合後のインタビューをお届けしたい。
──TKO勝ち、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──かなり不満そうな表情を浮かべていました。
「不満ですね。これからぶっ飛ばそうと思っていたので……」
──対戦相手が2度も変更されたことで、調整は難しくなかったですか。
「そうですね。対策を練ると代わって、また対策を練ると代わって。『なんだよう』というところはありました」
──最終的に対戦相手となったトレバー・ワードはシャリポフの170センチとはまるで違う185センチの長身の持ち主でした。
「そんなに背の高さは感じなかったですけど、メチャクチャ打ってきた時に思わぬところからパンチを貰ってしまいました」
──首相撲からのヒザは打点が高かったです。
【写真】セコンドコンタクトぐらいまでのガチャガチャとした展開のなかではパンチも被弾した石渡だが、すぐにワードの攻撃を見切っていった(C)MMAPLANET
「あれは全然大丈夫でした。ラウンドの後半には見切った形だったんですけど……。最初に上を取った時に、三角絞めを極められることはないと分かりました。1Rの終わりのパウンドも手応えがあって、意識が飛ばせるかなと思いました。アゴをちゃんと狙うよう意識して殴ると、何発が当たっていたので。セコンドの声で、残り時間が分かっていたので、残り30秒で思い切り攻めて仕留め損ねるよりも、2Rにはあの態勢からボコボコにしようと思っていたんです。殴られたので、あそこからぶっ飛ばしたくて」
──試合前のドタバタも含め、どのような意義のある試合でしたか。
「この試合でやろうと思っていたことで、出来たことと出来なかったことが色々と見えたので、経験にはなりました」
──ところで、今大会からパンクラスはデカゴンに完全移行しました。
「まぁ練習は壁を使うことが多いので、やることは変わりないですね。もうリングの方が特殊なんじゃないですか。ただ、一度サッカーボールキックは蹴りそうになりました(笑)。そういう部分は、癖になっているのでしっかりと意識して直していきたいです」
──ケージ導入、ユニファイドルールの採用、今後パンクラスでどのような試合をしていきたいですか。2月には佐々木憂流迦選手の挑戦アピールなどもありましたが……。
「憂流迦ですか……、まぁ流れですね。そんなに魅力を感じる相手じゃないですけど、そういう流れになれば別に、自分は逃げないです。今日のような相手にパンチを貰ってしまったんで、偉そうなことは言えないですけど、どんどん強いヤツを倒してきたいです」
──海外挑戦やWSOF JAPANへの参戦などについては?
「今すぐどうこうはないです。もっと強くならないと話にならない。それでも、ちょっとずつ良くなっているんで、一歩一歩積み上げていくだけです」
<第20回ネオブラッドTウェルター級1回戦/3分3R>
佐藤天(日本)
Def.3R2分36秒 by RNC
川和真(日本)
<第20回ネオブラッドTライト級1回戦/3分3R>
アンドリュー・ロバート(米国)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
チャンタモ(日本)
<第20回ネオブラッドTフェザー級1回戦/3分3R>
島村裕(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
渡辺謙明(日本)
<第20回ネオブラッドTフェザー級1回戦/3分3R>
牛久絢太郎(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
平山学(日本)
<第20回ネオブラッドTフライ級1回戦/3分3R>
神部建斗(日本)
Def.3-0: 30-27, 29-28, 30-27
大津ヒロノブ(日本)
<バンタム級/5分3R>
石渡伸太郎(日本)
Def.1R5分00秒 by TKO
トレバー・ワード(米国)
<アテナルール・バンタム級/5分3R>
中井りん(日本)
Def.3-0: 30-26, 30-26, 30-26
サラ・ダレリオ(米国)
<フェザー級/3分3R>
田村彰敏(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
宮路智之(日本)
<ライト級/3分3R>
伊藤崇文(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
上山龍紀(日本)
<ライト級/3分3R>
児山佳宏(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
中村晃司(日本)
<スーパーフライ級/3分3R>
安永有希(日本)
Def.2-1: 29-28, 28-29, 29-28
北方大地(日本)
<フライ級/3分3R>
武蔵幸孝(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
宇都木正和(日本)
<ウェルター級/3分3R>
レッツ豪太(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
高木健太(日本)
<バンタム級/3分3R>
齊藤曜(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
藤井伸樹(日本)
<ライト級/3分3R>
太田駿平(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
小林裕(日本)