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【BFC56】世界王者アスクレンが、ヒエロンを覚醒させる?!

Askren29日(土・現地時間)にカンザス州カンザスシティ・メモリアルホールで行われるBFC56 。メインはBFC世界ウェルター級王者ベン・アスクレンが、シーズン4ウェルター級トーナメントを制したジェイ・ヒエロンの挑戦を受ける。

【写真】 打撃の防御、ステップなどMMAファイターとしての完成度は決して高いといえないアスクレンだが、そのレスリング能力で今までの対戦相手を圧倒してきた(C) KEITH MILLS

北京五輪フリースタイルレスリング74キロ級米国代表のアスクレンは、五輪後の翌年にMMAに転向し、現在まで8連勝中だ。BFCシーズン2ウェルター級トーナメントでライアン・トーマスを2度、決勝でダン・ホーンバックルを破り優勝すると、去年の10月に初代王者ライモン・グッドに勝利してベルトを巻いた。

現在はウィスコンシン州ミルウォーキーのデューク・ルーファスのジムで打撃も学ぶアスクレンだが、最大の武器は圧倒的なレスリング力とグラウンドコントロールになる。指の第一関節を二本、対戦相手のヒザ裏に引っかけただけで倒すことが可能なテイクダウン能力は、現在のMMA界でも断トツの強さといっても過言でない。


柔術的には決してタイトでなくスペースがある抑えは、リバーサルを許すことはあっても、最後は上を取る力をホーンバックル、グッドに続き、ニック・トンプソンという実力者を相手にしても、まざまざと見せつけてきた。

そんなアスクレンにとって、ヒエロンはキャリア最強の対戦相手であることは間違いない。05年10月にUFCをリリースされた後、IFL、アフリクション等で13勝2敗の戦績を挙げ、ストライクフォースに参戦開始。ジェシー・テイラー&ジョー・リッグスを下してなお、リリースの憂き目にあう。レスリングをベースに、柔術+打撃を身につけた実力者だが、余りにも試合が地味に映ることで、MMAの裏街道を歩むこととなった。

Hieron【写真】MMA通算戦績は22勝4敗、結果を重んじる北米MMAにあっても、厳しい評価を受けることも少なくない地味強=ジェイ・ヒエロン(C) KEITH MILLS

シーズン4トーナメントでも、準決勝&決勝はあまりにも戦術を駆使し、負けない試合に徹した印象が残るヒエロン。彼が地味に勝つのは、その牙城を崩すファイターがいなかったから。打撃でリードすれば、あとは足を使って攻撃を受けない。テイクダウンを奪えば、トップキープに徹する。そんな持ち味を消されると、ヒエロンは試合を決めに行くファイトを展開できるのか。

アスクレンのテイクダウンとトップコントロールが、ヒエロンを覚醒させる――そんな世界戦を期待したい。

また、今大会ではヘビー級トーナメント準決勝2試合が行われるが、補欠戦で勝利したチアゴ・サントスが、負傷欠場したメイク・ヘインズに代わり、初戦でそのヘインズに敗れたネイル・グローブと対戦することになっている。

■BFC56主な対戦カード

<BFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ベン・アスクレン(米国)
[挑戦者]ジェイ・ヒエロン(米国)

<ヘビー級トーナメント準決勝/5分3R>
エリック・プリンドル(米国)
ロン・スパークス(米国)

<ヘビー級トーナメント準決勝/5分3R>
チアゴ・サントス(ブラジル)
ネイル・グローブ(南アフリカ)

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