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【PFC42】14年振りのMMA……いや初陣、蔵田家工房47歳「世界一強い便利屋にはなれるんじゃないか」

【写真】この後、ロータリークラブの会合があるという蔵田。ビシッとしています(C)MMAPLANET

11日(日)、札幌市北区のPODアリーナで開催されるPound 4 Pound Fighting Championship=PFC42で藏田家工房が、岡村栞汰と対戦する。
Text by Manabu Takashima

藏田はかつて名古屋の名門ALIVEで梅村寛、日沖発、杉江アマゾン大輔らと汗を流し、2002年にプロ修斗デビューしている47歳だ。その後、生まれ故郷の北海道に戻りALIVEの支部を開いて2012年9月までプロ修斗で戦ってきた。

そして14年の年月を経て、復帰する。岡村戦を前に蔵田に話を訊くと、これは復帰戦ではなく便利屋「おうちの御用聞き家工房」蔵田の初陣だということが明確に伝わってきた。


『元プロシューターの便利屋で、ミット持ちいかがですか』と

――2012年9月に今はGFGを主宰する藤田成保さんとの試合を最後にMMAを引退した蔵田選手。次の日曜日に実に14年振りの実戦を戦います(※取材は8日に行われた)。

「そうですね、試合という部分では、2013年にBOUTという札幌のキック大会に出て、KO負けして以来ですね」

――誰もが「なぜ?」と思うはずですが、47歳になっての復帰というのは?

「もう、試合に出ることはないと思っていました。これはもうPODの山本(喧一)会長に感謝しかないです。今、自分は独立して便利屋をやっていて。その一環としてPODジムでミット持ちの募集があった時に、山本会長に連絡を取らせてもらったことが始まりですね。

『元プロシューターの便利屋で、ミット持ちいかがですか』と。最初は冷やかしと思われていたみたいですが(笑)、面接を受けてミットを持たせてもらって報酬をいただくということになりました」

――便利屋を独立してということは、以前は違っていたわけですか。

「はい、もともと名古屋のALIVEに所属していたのですが、2006年に父の健康上の問題で北海道に戻ってきました。実家が酒屋を営んでいまして、実家のスペースを使って格闘技のジムも開きました」

――ALIVE真狩からのALIVE俱知安ですね。

「ハイ、そうです(笑)。でも、まぁ経営者としてジム運営は全く上手くいかず、結婚して、長女が生まれたのが引退理由です。最後のキックの試合は引退を決めていて、妻が生後半年の娘を抱いて見に来てくれたなかでKO負けし、ジムも閉めました。そこからハウスクリーニング会社に営業マンとして就職し札幌に引っ越しました」

――サラリーマン生活を?

「ハイ。結構、売り上げは貢献できたと思うのですが、外壁塗装の会社に転職し、そこでは支店長もさせてもらいました。クリーニングの時は実務もやっていましたが、外壁塗装は営業のみでした。ちょうど1年前、去年の9月に独立して便利屋を始めました」

――家工房というリングネームになっていたので、工芸品を創ったりしているとか想像していたのですが、便利屋さんだったのですね。そもそも便利屋というのは、ミット持ちまで含まれているのですか……。

「ハハハハ。何でも屋なので、何でもやる。基本はハウスクリーニングでエアコンのお掃除だとか、細々としたことですね。工事になると、外注をするという風にしています。今日は庭の木を二本切ってきました(笑)。ただ、まだ始めたばかりなので、屋根の塗装とか基本的なことが多いです。そのなかで今年の初めに山本会長に営業をさせてもらいました」

――その時に体を動かしたいという気持ちは?

「正直、全くなかったです。ミット持ちを始めた初日に、会長が『やっても良いよ』と言ってくださって、練習に参加させてもらいました。運動するのも引退して以来で、全然体力もなく、体も全く動かなかったです。でも本当に楽しくて、楽しくて(笑)。それからは試合に出ることなんて全く考えていなくて、ただ楽しんで練習に参加していました」

――それがなぜ、運動復帰半年強でMMAの試合をすることになったのですか。

「キックのクラスの後にMMAクラスが始まるので、ちょっと参加するようになったんです。道場生は打撃の先生だと思っているから、組み技なら勝てるという風にかかってきました(笑)。そうしたら結構、技を覚えていて……」

『子供たちに格好良い姿を見せたことがないから、頑張っているところを見せたい。見に来てくれるよね』

――ヒールフックが出ましたか(笑)。

「アハハハ。そうですね、ヒールもやりました(笑)。で、極めるものだからビックリされてしまって。営業をしていた時に色々な営業のスキルを指導してもらって。その一つに、目標達成の技術というものがありました。PDCA(Plan=計画。Do=実行。Check(評価)。Action(改善)を回すとか。そういうことをやってきたことが、MMAにも生きたと思います。現役の頃にこれができていたら、ベルトに絡めたかもしれないって思えました。

そういう風に格闘技に取り組むことで、年を取ってからも上手くなることを証明できれば価値があるかと。それと今、3人娘がいて、試合を見せたいという想いもあって山本会長に相談し、試合に出ることになりました」

――山本会長らしいとも……言えます。

「僕は格闘技を始めたのは、新日本プロレスがきっかけで。人生の転換期が1995年の10月9日だったんです(笑)」

――新日本とUインターの対抗戦ですか……。

「ハイ。そこに出ていた山本会長ですから。もう、縁としか思えないです」

――山本会長はともあれ、ご家族の反応は?

「相談ではなく、決まってからカミさんには伝えました。『子供たちに格好良い姿を見せたことがないから、頑張っているところを見せたい。見に来てくれるよね』と」

――おお!!

「そうしたら、『なんで?』って言われました(笑)」

――アハハハハ。格闘技の試合に出なくても、家族のために働く姿が格好良いと奥さまは思われていたのですよ。

「あぁ、ありがとうございます。まぁ、そうやって言われても楽しさが勝っちゃって、試合には出ていたはずです。本当に、格闘技が楽しくて(笑)」

――仕事面でも、良い影響がありましたか。

「ハイ。72キロあった体重が、60代前半まで落ちて体が動きます。そうなると1人で便利屋をやっているので、現場でも良く動けますし、件数も増やすことができました。仕事面でもパフォーマンスが上って、単価にも反映される。凄く役立っています」

――蔵田圭介でなく、藏田家工房の名で戦うのは?

「もちろん、宣伝です(笑)。チラシを配るのにも、それ相当のコストが掛かりますしね」

――今、インタビュー中で初めて悪い顔になりましたね。

「アハハハハ」

言ってもALIVE出身なので。高校野球で例えるなら、愛工大名電のようなモノじゃないですか

――今回の復帰戦に向けて、ご自身の技量というのは体力面も含め14年前と比較してどれぐらいだと感じていますか。

「僕の解釈でしかないですけど、あの時より強くなっていると思っています。問題を解決する術というか、そういう面で仕事の経験が生きています。明確に自分の問題点をあぶり出し、集中して解決する。そこに成長が感じられています。もちろん昔の自分と戦うことはできないので、どっちが強いかは正確には分からないです。でも、昔も大して強くなかったので、今の方が強いんじゃないかと勝手に思っています(笑)」

――対戦相手の岡村選手はデビュー戦だと聞いています。

「ハイ。相手選手の研究もしました。トータル、総合力で戦いたいと思っています。言ってもALIVE出身なので。高校野球で例えるなら、愛工大名電のようなモノじゃないですか。そこで7番でレフトを守っていたぐらいなので。年を取ったけど、北海道のその辺の人には負けない。正直、そう思っています」

――なるほどです。では今後のMMAとの付き合い方はどのように考えていますか。

「負けたら、もう出ません。ただ勝っている間は出させてもらって、色々と成長させてもらえればなと思っています。それこそ試合に出るのも営業生活で学んだランチェスター戦略の一環で」

――ランチェスター戦略ですか? 一体、どういう戦略なのでしょうか。

「弱者と強者では戦い方が違います。弱者の戦いは、正面から挑んでも勝てない。一カ所にリソースを集中させて一点突破です。

僕は格闘家としては、全くナンバーワンになれなかったです。去年から始めて、便利屋界の世界一になれるとも思ってもいないです。でも世界一強い便利屋にはなれるんじゃないかと。何かインパクトの残ることをすれば仕事にも繋がると思いながらやっています(笑)。

だから復帰という感覚はなくて。もう僕は引退している人間で。プロの便利屋として、プロMMAの試合を受注したので戦う。そういう感覚でいます」

――では最後に日曜日には、どのような試合をしたいと思っていますか。

「打・投・極です」

――ここで、その言葉が!!

「シューターなんで。ALIVEで関わった皆さんが、本当に良くしてくれました。格闘技だけでなく、人生の土台をALIVEの方々に創ってもらいました。その恩返しを少しでもしたいです」


■視聴方法(予定)
10月11日(日)
午前11時00分~PFC公式YouTubeチャンネル・メンバーシップ

■PFC42対戦カード

<バンタム級/5分2R+1ex>
青木大地(日本)
中西テツオ(日本)

<グラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
池田貴一(日本)
レッドドラゴン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
藏田家工房(日本)
岡村栞汰(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
佐藤陽向(日本)
星川陸(日本)

<グラップリング無差別級/5分2R+1ex>
ディルバーグ・ペイトン(米国)
鈴木淳斗(日本)

<ストロー級/5分2R+1ex>
早坂優瑠(日本)
佐々木晨悟(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
小黒英一(日本)
賀集龍喜(日本)

<73キロ契約/5分2R+1ex>
伊藤尚司(日本)
清田大地(日本)

<グラップリング・フェザー級/5分2R+1ex>
渡部修斗(日本)
レッドドラゴン(日本)

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