【UFC129】マクドナルドがバックスローで価値ある圧勝劇
<ウェルター級/5分3R>
ローリー・マクドナルド(カナダ)
Def.判定3-0:30-27、30-26、30-26
ネイト・ディアズ(米国)
PPVラインナップでもおかしくない今大会屈指の注目カード。低い姿勢で左、右ハイを見せるマクドナルド。ネイトは、今やストックトン・スタイルと呼ばれるようになった胸の開いた構えで、「来い、来い」とマクドナルドを挑発する。ネイトがプレッシャーを掛けると、マクドナルドはケージを背にして右ハイをヒットさせる。左右のフックから組みついたネイト。態勢を入れかえたマクドナルドがボディにヒザを突き上げ、ダブルレッグへ。
ネイトのスイッチをさらに切り替えし、マクドナルドはバックに回りこもうとする。だがネイトは、距離を取って向き合う。ロー、前蹴りで距離を取るマクドナルド。ネイトは両手を広げ、再び挑発行為。距離を詰めたマクドナルドが、ケージにネイトを押し込み、離れ際にローを見せた。
残り45秒となりシングルレッグから、ハイクラウチとテイクダウンを試みたネイトだが、マクドナルドはケージを背にして耐えきり、初回が終了した。マクドナルドに声をかけ、挑発するネイトだが、21歳のカナディアンは相手にせず、観客にポーズをとりアピールを行い気の強さを見せた。
2R開始早々、一瞬の打撃の交錯からマクドナルドが組みついてケージにネイトを押し込む。自ら距離を取ったマクドナルドは、前蹴りを掴まれるも、スタンドをキープ。ネイトが組みついてきても、足首をコントロールし、テイクダウンを奪う。
兄のニック同様、亀の状態でヒザをついて前に出てきたネイトにパンチを落とし、立ち上がってきたところでマクドナルドは、差し合いから再度テイクダウンを奪取。試合はすぐにスタンドに戻ると、ネイトの右がヒットする。
マクドナルドのシングルレッグを凌ぎ、ケージに押し込むと、ネイトは一瞬の投げでヒザをつかせる。直後にアッパーを見せ、ペースを譲らないマクドナルドは、フライングニー、ダブルレッグからのネイトの反応に合わせキムラを狙うなど、アグレッシブな姿勢を貫く。
最終回、微妙な1R、2Rはマクドナルドが取ったか。いずれにせよ、このラウンドは両者ともに落せない。右ハイを見せるマクドナルド。なかなかパンチの精度が上がらないネイトは、ここでも組みつかれてケージに押し込まれる。ネイトのシングルを潰し、がぶってニーからバックに回り込んだマクドナルドが、2度に渡り後方へ大きな投げを見せる。
ジャッジに好印象を与えたマクドナルドは、寝技に付き合わずネイトが立ち上がってくるところにパウンドを落とす。思わず背を付けたネイトにパウンドを落し、起き上がったところでバックを奪い、またも大きく後方に投げ捨てたマクドナルド。
完全にペースを握ったマクドナルドは、残り1分でテイクダウンに成功し、エルボーを落す。足を捌きつつパウンドをボディと顔面に打ち分けるマクドナルドは、さらにエルボーを顔面に集中させる。
もはや一方的な展開といっていいほど、ネイトを攻め込んだマクドナルドは、試合終了と同時にケージに駆け上がり、5万5000人の観客に勝利をアピールする。
ジャッジの裁定は30-27が一人、他の二人は30-26という大差をつけ、マクドナルドが判定勝ち。3度に渡りバックスローを成功させ、パウンドを的確に落としたマクドナルド。何よりもネイトのパンチを完封し、ガードからの仕掛けも封じこんだ試合は、一本、KO勝ち以上に価値ある圧勝劇だった。