【UFC87】“王朝”の鬼門ヘビー級、レスナーへの期待大
9日(土・現地時間)にミネソタ州ミネアポリスのターゲットセンターで開催される『UFC87 SEEK and DESTROY』まで、いよいよ残り2日となった。
【写真】アフリクションに遅れをとるUFCヘビー級戦線の核となるか?レスナーにかかる期待は大きい (C)ZUFFA
ヘビー級戦ブロック・レスナー×ヒース・ヒーリング戦について。今大会がミネアポリスで行われる大きな要因となったのが、セミファイナルで行われるヘビー級5分×3Rに出場するブロック・レスナーの存在がある。
レスリング人気の高い中西部のミネソタ大学在学中、レスリング部に所属したレスナーは、4年間で106勝5敗という戦績を残し、NCAAのオールアメリカンに2度選出されたスター選手だった。
ただし、それはあくまでもローカルでの話。彼の知名度が抜群なのは、知っての通り世界最大のプロレス組織WWEでの活躍がある。富と名声を得た後、WWEを離れたレスナーが選んだ道は、NFL。だが、ミネソタ・バイキングスに入団するも、負傷で実際にプレーすることはなかった。
その後、新日本プロレスにも来日するなど、プロレスへの復帰を果たしたレスナーが、続いて選択したのはMMAだった。ミレティッチ・マーシャル・アーツ・システムでトレーニングに励んだ彼は、昨年6月に『K-1 Dynamite!! USA』のリングでキム・ミンスをパウンドで下しMMAデビュー。そして、プロレスとMMAのシンクロを忌み嫌っていたズッファが、ヘビー級戦線のテコ入れか、プロレス時代にこの巨漢でコーナーからバク宙をするだけの運動神経を買って、レスナーと契約を果たした。
今年2月のUFCデビュー戦の相手は、元UFC世界ヘビー級王者フランク・ミアー。WECの解説も務める組み技師は、レスナーのパウンドに圧倒されながらも、ヒザ十字で一本勝ち、ビッグネームのルーキーに勝負の厳しさを見せつけた。
しかし、この敗北でレスナー人気は高まった。元プロレスラーと色眼鏡で見ていたファンも、パウンドでミアーを追い込む姿を見て、そのポテンシャルの高さを認めざる得なかったからだ。
そこで、今大会では、ミネソタ進出の目玉カードとして、マーク・コールマンとの一戦が組まれたが、コールマンの負傷とライトヘビー級転向で消滅。代わって、ヒーリングとの一戦が組まれた格好だが、ここでレスナーに望まれるのは圧倒的な勝利になる。
ホドリゴ・アントニオ・ノゲイラ、ミノタウロがUFC世界ヘビー級王座に就いているが、その周囲を見渡すと、ランディ・クートゥアーとは係争中、アフリクションには、ティム・シルビア、アンドレイ・オルロフスキーを引き抜かれた。
そのアフリクションにはUFCに背を向けた皇帝エメリヤーエンコ・ヒョードル、ジョシュ・バーネットのビッグネームを加え、IFL世界ヘビー級王者ロイ・ネルソン、同じくIFLで活躍したベン・ロズウェルなど、ヘビー級の主だったファイターも集結しつつある。
とはいうものの、コアな格闘技界ファンにとっての人気者と、カジュアル・スターとして一般でも抜群の知名度を誇るレスナーでは違いが大きい。ライト級、ウェルター級、ミドル級、ライトヘビー級と他団体を圧倒する質・量&知名度を誇るUFCだが、ヘビー級では完全にアフリクションに遅れを取っており、ズッファにとっても、知名度抜群のレスナーが実力者となることを強く望んでいるのではないだろうか。