【UFC87】注目、カポエリスタ、マタドール&柔術セレブ
いよいよ開催が明日に迫った『UFC87 SEEK and DESTROY』。9日(土・現地時間)ミネソタ州ミネアポリスのターゲットセンターで行われる当大会、メインのUFC世界ウェルター級選手権試合ジョルジュ・サンピエール×ジョン・フィッチ戦、ヘビー級ブロック・レスナー×ヒース・ヒーリング戦に続き、カウントダウン最終回は、アンダーカードを取り上げたい。
【写真】2007年IFLのチーム戦で優勝したヘンゾ・グレイシー率いるNYピットブルスの一員だったグスマォン。シーズンを制し、盟友デウソン・ペジシュンボとカポエイラの舞を披露する (C)MMAPLANET
ここ5ヶ月ほど続いた、濃密なプレリミナリー(試合への流れ、前置き)から一転、今大会のラインナップは馴染みのファイターが少ない淡泊なカードになったことは否めない。そんな中、注目したいのは、第3試合に出場するアンドレ・グスマォンだ。
ブラジル、ゴイアス州出身で14歳の時からカポエイラを始め、その後、柔術を学びながらも、カポエイラの指導者として生計を立てていた生粋のカポエリスタ。MMAデビューは2年前で、活動を停止したIFLでヘンゾ・グレイシー率いるNYピットブルスの主力メンバーとして活躍していた。
2007年のチーム戦決勝で、強烈な膝蹴りでパット・ミレティッチがコーチを務めたクワッドシティズ・シルバーバックスのマイク・シエスノレビッチを下し、強いインパクトを残している。試合後のカポエイラ・ムーブは華麗の一言で、オクタゴンで披露することになると、ファンの大喝采を浴びること間違いない。
しかし、MMAデビュー以来5連勝中のグスマォンの対戦相手、ジョン・ジョーンズは、彼をさらに上回る6連勝中のファイター。グスマォンよりも、さらにネームバリューで劣るが、驚くべきはMMAデビューが今年の4月という事実。MMAの練習を開始して僅か10ヶ月程度で、UFCスカウト陣のお眼鏡にかなったのだから、グレコローマンレスリングで鍛えられたフィジカルと爆発力は相当なものだと予想される。群雄割拠のライトヘビー級にあって、この試合の勝者が第一線に躍り出る可能性も十分にある。
PPVファイトの注目は、やはりホームでの戦いとなるロジャー・フエルタ×ケン・フロことケニー・フロリアンのライト級戦。王者BJ・ペンが、ウェルター級王者GSPとの対戦へ狼煙を上げており、この試合の勝者の処遇は不明だが、次期挑戦者を選考するうえで大きな影響を持っている一番であることは間違いない。
エル・マタドール(闘牛士)の異名を取るフエルタは、どちらかというとエル・トロ(闘牛)を思わせるスーパーアグレッシブ・スタイルで人気者となり、昨年はMMAファイターとして米スポーツイラストレーテッド誌の表紙を飾っている。
しかし、その人気者も以前は表沙汰になっていなかったズッファ批判が、遂に表面化。今やズッファにとっての問題児。ラテン系のヒーロー、そして常にエキサイティングな試合をするファイターだけに、ズッファにとっても痛し痒しといったところか。
一方のフロリアンは、TUF一期生で、PPV中継ではインタビュアーや解説者を務める技能派優等生。ブラジリアン柔術黒帯で、ローキックも冴える地味強で、日本の三島☆ド根性ノ助を圧倒、チョークで一本勝ちを収めている。
戦前の予想ではケン・フロ有利という声も高いこの試合、仮に地元でフエルタが敗れた場合には、UFC離脱→日本来日ということも十分に考えられ、そういう意味でも注目が集まる。
また、UFC初登場以来2戦連続一本勝ちを収めてきた柔術セレブ=デミアン・マイアが、いよいよPPVカードに登場。ジェイソン・マクドナルドを相手に、これまで通り仕留めることができるのか。岡見勇信の負傷中にミドル級もどんどん層が厚くなってきている。