【Bloom FC04】地元福岡でホ・ジュギョン戦、中尾あづき「練習でジュギョン選手に打撃でボッコボコに」
【写真】2戦目、地元で初の国際戦に挑む中尾(C)TAKUMI NAKAMURA
26日(土)福岡県の福岡市立南体育館で開催されるBloom FC04にて、中尾あづきがホ・ジュギョンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
小学2年から大学4年まで柔道を続け、大学卒業と同時に福岡から上京してMMAの道へ進んだ中尾。そのきっかけは大晦日に何気なく家族で見たRIZIN、浜崎朱加と浅倉カンナの試合だったという。
しかも中尾はMMAではAACC、柔術ではカルペディエム三田に所属し、MMAと柔術の二刀流という目標を持って選手活動を続けている。夢は黒帯柔術家としてMMAのチャンピオンになること。地元・福岡でMMA2戦目を控える中尾に話を訊いた。
――取材前に中尾選手のInstagramを拝見したのですが、3月にJBJJFの福岡国際柔術選手権2025に出場したのですか。
「はい。私はMMAと柔術の二刀流を目指しているので、MMAの試合とは別で柔術の試合にも定期的に出場しています」
――しかもスーパーヘビー級の試合に出たんですよね。
「そうですね。トーナメントだったんですけど試合そのものは1試合でしたし、無事に勝つことができたのでMMAの試合に影響はないです」
――今回中尾選手はメディア初登場ということで、これまでのプロフィールから聞かせてください。もともと中尾選手は柔道出身だそうですね。
「小学校2年生から大学4年生まで柔道をやっていました。柔道は先にお兄ちゃんがやっていて、私も楽しそうだなと思って始めた感じです。ただ練習がキツかったので、柔道そのものは楽しくなかったんです。それで始めてすぐ柔道を辞めたいと言ったら、お母さんに怒られちゃって(苦笑)。それで続けることになりました」
――辛かった柔道はいつから楽しくなってきたのですか。
「中学まではなかなか試合でも勝てなかったのですが、少しずつ試合で勝てるようになって、そうなったらやっぱり楽しいじゃないですか。中学の後半くらいから大会でも成績を残せるようになり、そこからは柔道が楽しくなってきましたね」
――試合に勝てるようになったのは何かきっかけがあるのですか。
「それまでは練習をやらされる感じだったのが、自主的に練習したり、トレーニングもやるようになって、それで結果につながるようになったのかなと思います」
――高校には柔道推薦で進学されたのですか。
「そうです。高校は広島の広陵高校に進学しました。幾つか選択肢があったのですが、地元や福岡の高校に入ると家から通えるし、なんかあったらすぐ家に帰られるじゃないですか。そういう甘えをなくしたかったので、県外の学校に進学して寮に入ろうと思いました」
――それだけ真剣に柔道を打ち込もうと思っていたんですね。高校時代はどのぐらいの結果を残されたんですか。
「個人は県で3位止まりだったのですが、団体では全国大会に出ました。高校を卒業してからは福岡工業大学に進学して、大学時代も個人は九州でベスト8が最高位で、団体では大学3年生の時に全国大会で優勝できました」
――では団体戦で全国を経験するという柔道時代だったんですね。そんな中尾選手がなぜMMAの道を志すことになったのですか。
「高校2年生の時、年末に帰省して家族でテレビを見ていて、お姉ちゃんがたまたまチャンネルを回していたらRIZINをやっていたんですよ。それまで格闘技は一切見たことがなかったのですが、人と人が殴り合って観客が湧いている状況が衝撃的すぎて。しかもその大会で浜崎朱加さんと浅倉カンナさんの試合もやっていて、女子の試合があったことにも驚いたんです。その時に柔道を引退したら格闘家になることを決めました」
――それで大学を卒業してから正式に始めることになったのですか。
「はい。先に福岡で軽く柔術をやってから格闘家になるために上京して、柔術はカルペディエム三田、MMAはAACCに入りました」
――AACCを選んだのはやはり女子選手が多いからですか。
「あとは浜崎さんがいるからですね。そこはもうAACC一択で、最初からプロ志望で入会しました」
――初めて浜崎選手に会った時のことは覚えていますか。
「実はAACCに入る前に、福岡であったHOLY SHITのポップアップイベントに浜崎さんも参加していて、私もそのイベントに行っているんですよ」
――完全に浜崎ファンですね(笑)。
「はい(笑)。その時に浜崎さんに『私もいつか上京してMMAをやります』と伝えて、浜崎さんもその時のことを覚えてくれていて。私がAACCに入った時『ああ!あの時のあの子だ!』となっていました(笑)。AACCではテレビで見ていた選手たちと一緒に練習することになったので、はじめは夢の中にいるようでしたね」
――柔道からMMAに転向して、どんなところに難しさを感じましたか。
「最初はみんな通るところだと思いますが、やっぱり打撃が怖かったです。ただ練習しないことには上手くならないし、もう怖いもんは怖いからしょうがないと割り切って練習して、始めた頃に比べれば多少は慣れてきました。グラウンドに関しては柔道時代から寝技が得意だったので、そこはすんなり入ることが出来たと思います」
――そして柔術とMMAを並行してやりたいと思ったのは何か理由があるのですか。
「柔術はやっていてすごく楽しいし、試合でメダルもらえるのが嬉しくて、それでやっています。MMAのための練習でもあるんですけど、柔術という競技が純粋に好きなので、MMAと並行してやっています」
――例えば周りから「MMAに専念しないの?」や「MMAの試合前に柔術の試合に出て大丈夫なの?」と言われませんか。
「めちゃめちゃ言われます。でも自分的には問題ないので、これからも並行してやっていきたいです」
――昨年12月に修斗でプロデビューしていますが、これはどういった経緯で決まったのですか。
「きっかけは去年8月にColorsで修斗のトライアウトの試合に出たことですね。あの時はMMAを始めて4カ月くらいだったのですが、阿部さんに『いけるか?』と言われて『いけます!』と答えて決まったんですよ(笑)。その試合はTKO勝ちして、10月に全日本アマチュア修斗選手権の女子バンタム級で優勝して、12月にプロデビューという流れです」
――デビュー戦は対戦相手が契約体重を約3キロオーバーだったにも拘わらず、中尾選手の希望で契約体重で試合をしてKO勝ちしているんですよね。
「そうですね。柔術では無差別で試合しているし、自分より大きい人とやっても別に問題ないかなと思ってやりました」
――初めて中尾選手に取材させてもらったのですが…豪快な性格ですよね(笑)。
「そうですね(笑)。やると決めたらやる、みたいな。そういうタイプだと思います」
――さて今回はBloom FC参戦が決まり、地元・福岡にMMAファイターとして凱旋することになります。
「自分がずっと周りに福岡で試合がしたいということを言っていたら、知り合いにBloom FCのことを教えてもらったんです。それで阿部さんに相談したらOKが出たので、出ることになりました」
――対戦相手のホ・ジュギョン選手にはどんな印象を持っていますか。
「一度ジュギョン選手がAACCに来たことがあって、一緒に練習しているんですよ。その時はジュギョン選手に打撃でボッコボコにされたんですけど」
――中尾選手はMMAを始めてすぐで、ジュギョン選手は元キックボクサーなので、しょうがない部分もあったかと思います。
「でも練習と試合は違うものだし、今の自分だったらちゃんとやり合えると思って、候補選手が何人かいるなかで、自分でジュギョン選手を選びました」
――練習でボコボコにされた相手と対戦するというのは勇気がいることだと思うのですが、不安よりもワクワクの方が強いですか。
「打撃はちょっとまだ苦手だし、ボギョン選手には練習でやられていますけど、そういう相手にどこまで行けるのか楽しみです。自分的にはワクワクの方が大きいです」
――今後はMMA・柔術でどんなファイターになっていきたいと思っていますか。
「柔術とMMAの二刀流で、どちらもバンバン試合に出て結果を残している女子選手って少ないじゃないですか。私はそれができる選手になりたいし、そうやって他の女子選手から頭1つ抜けたいと思っています。だから私としては柔術とMMAの両方で結果を出すことにこだわりたいです」
――例えばこういう選手と戦いたい、こういうことをやりたいという具体的な目標はありますか。
「MMAでの目標というか、いつかやりたいと思っているのは東よう子選手ですね。これからMMAで実績を積んで、そういう選手と戦えるようになりたいです。柔術に関して黒帯を巻くこと。黒帯柔術家のMMAチャンピオンを目指していきます」
――それでは最後に地元・福岡のお客さんにどのような試合を見せたいですか。
「初めて地元で試合をしますし、しっかり一本かKOで終わらせられるような展開に持っていきたいと思います!」