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【Gladiator029】新ライト級王者 小森真誉「『ロータスは強い』と八隅さんに言ってあげたかった」

【写真】日々指導してくれる八隅への想い、日々練習しているロータス世田谷への信頼感が小森にベルトを巻かせた(C)MMAPLANET

12日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR029のメインで田中有をパウンドアウトし、ライト級のベルトを巻いた小森真誉。
Text Manabu Takashima

八隅孝平に師事し、大道塾吉祥寺支部の飯村健一に手ほどきを受けたムエタイを消化したことで飛躍が期待されながら勝ち切れない。そのポテンシャルが試合で発揮できずに周囲をやきもきさせてきた小森が、ベルトを巻いた。しかしながら、スクランブルでの代役出場は普段戦う階級より1クラス重いモノ。

そのうえ前回の試合で敗れており、この挑戦は興行有りきのタイトル戦に必要なピースという見方をされていた。そして絶対的なアンダードッグと見られていた現実を跳ね返し、チャンピオンとなった小森にイベント終了直後に話を訊いた。


『なんでやねん』と普通に思いますよね

――タイトル奪取、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──MMAPLANETでは代役でタイトルマッチが決定した際、前回の試合はフェザー級で敗れている選手がベルトを掛けて戦うことに疑問を抱き、小森選手に事前取材をすることをせず申し訳ありませんでした。

「いや、分かります(笑)。というか、もう選手も含め格闘技関係者全員がそうだったと思います。田中選手のための試合で、相手を探しているということだとも理解していました。田中選手も本当にベルトが欲しいんだなって」

──私が個人的に耳にした話では、田中選手はデマルケス・ジャクソン戦がなくなり、相当に落胆しタイトルマッチでなくても……という気持ちだったと。いずれにせよ、このオファーがあり、勝算があるなら小森選手陣営は受けて当然だと思います。ただ、この試合をタイトルマッチとしたプロモーションサイドの決定に我々は首を傾げていました。

「そうなのですか……」

──これは個人的な話ですが、ロータス世田谷に取材にいくといつも練習をしている小森選手の姿を見させてもらっていました。そしてある基準を設けているMMAPLANETの取材対象になるところまで上がってきて欲しいと、勝手ながら思っていました。ですので、この形でないタイトル戦。あるいはノンタイトルなら、小森選手を試合前にインタビューしたかったです。

「そうですね……それはそうです。不本意という言い方は違うかもしれないですが、『なんでやねん』と普通に思いますよね。僕が他の選手がそういう風に挑戦しているなら、『意味が分からない』と感じただろうし。タイトルマッチに行くまでが難しいのに、この挑戦はそういう経緯が無かったことは確かです。ここで勝てば良いだけっていう……」

──そういう状況だったからこそ勝たないと本当に何でもない、ただ使われた選手になってしまっていました。この状況だからこそ、負けられないというプレッシャーはなかったですか。

「それはありました。負けて失うモノはないとは思ってはいましたけど、負けて良いと思って戦っているとは思われたくなくなかったです。『ライト級でなんで挑戦できるねん』とバカにされることもあったので、絶対に見返してやろうと。ライト級だからとか、言い訳が残る試合には絶対にしたくなかったです。

もちろん練習でやってきたことは自信があります。結果は出せていなかったですが、自分はもっと上の選手と練習をしているので……。一緒に練習をしている人は、自分のことを評価してくれて、『勝てる』と言ってくれていました。八隅(孝平ロータス世田谷代表)さんも、そう信じていつも送り出してくれていたのですが……。その期待に応えられず、結果を出せてこなかったです。なので、このチャンスが巡ってきたのだから、絶対に結果を残してやるという気持ちでした」

──ロータス世田谷勢、八隅さんの指導を受けている選手が12月に河名マスト選手、平田直樹選手、矢地祐介選手と魔の3連敗を喫しました。

「八隅さん、コーチ業を引退するとか考えていたみたいで……。今日の試合に勝って、『ロータスは強い』と八隅さんに言ってあげたかったです。それぐらいチームも落ちていて……。矢地さんはメチャクチャ強いです。それは練習をしている人は知っています。金原(正徳)さんも強さを認めています。平田君も練習通りにできていれば……」

──練習で強い人同士が、戦うのが試合だと思います。

「ハイ。そういう選手はたくさんいると思います。試合で結果を出さないと意味がないです。そうでないなら、練習をして楽しんで生活すれば良くて。結果を出さないと、興行にも呼ばれない。自分もいつの間にか練習の方が強いという風になってしまっていて……。

負けが続くと『八隅はダメだ』とか『ロータスって組み技は上手いかもしれないけど、MMAは実際どうなんだ。あの戦い方はどうなんだ』とか聞いたりしてて」

──本来は、『何言っているんだ?』って思いますよね。ただ結果がついてこないと……。

「別に八隅さんが悪いんじゃない。負けた選手の責任なんです」

──ずっと八隅さんの話になってしまっていますね。

「八隅さんの技術、やられているようでやられていない。その部分で時間を使ってダメだったこともありましたが、今回は……いや、もうちょっと早く切り返せればよかったです」

組手は通じると、最初に組んだ時に思いました

──初回は下になってポイント的には劣勢だったかと思います。それを2Rから挽回し、3Rはバックを制してパウンドアウトしました。

「1Rもテイクダウンされましたが、自分のなかでは『抑え込まれていない。もっと来い』という気持ちでした。逆にいうと田中選手は攻めている気持ちがしていなかったかもしれないです」

──バックに回らせなかった。そして、バックに回ろうという動きを使って逆にリバーサルができていました。

「組手は通じると、最初に組んだ時に思いました。フィニッシュしに来てくれれば、切り返す自信はありました。

八隅さんや岩本(健汰)君の技なんですけど。今回は自分よりデカい相手からトップを取るには、バックエスケープ。バックを攻めさせて落とすとか、そういう際の攻防が大切だと思っていました。それに首相撲で削ることができる。倒されても、動けば良い。実際に自分のなかで攻められたから、休むという場面はなかったです」

──半身から真後ろへ。その動きが完成する前に田中選手が、首を取りに来た時などは狙い目だったと?

「そうですね。八隅さんが『肩を入れろ』という指示をくれたのですが、あそこからハイクロッチで上を取り返すのは定番というか……。それにライト級でもこの組手は通じる。むしろ大きな相手の方が通じるのかと感じました」

──十分にライト級の大きさに見えました。

「そうですか? 実はこれまで3度、緊急オファーでライト級で戦っているのですが、一応全部勝てています。練習の方が強いから、減量しないでライト級で戦った方が良いと言ってくれる人も確かにいました。けど、けっこうビビっていました(笑)」

もうチョイ強いというのを見せていきたいです

──ライト級王者として、今後に関してはどのように考えていますか。団体潰しという声もありますが(笑)。

「アハハハハ。団体潰し……(笑)。せっかくベルトを取れたので、もう1回ライト級でやろうと思っています。もう1回というか……返上したら、意味不明になってしまうので。Gladiatorがどのような選手を指名してくれるのか、ですね」

──フェザー級王者パン・ジェヒョクから「過去にNEXUSで戦っている選手のベルトを狙いたい」という対戦表明がありました。

「なるほどスね。それはもう……パン・ジェヒョクが僕のライト級王座に挑戦したいということですね。そうしたら、僕もフェザー級王座が欲しいって言います(笑)。本当に強いことは分かっています。でも、強い選手が来ても戦えるように準備を続けたいと思います。もうチョイ強いというのを見せていきたいです」

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