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【HEAT55 X AFC34】ISKA国際大陸王座戦へ、アビラル「皇治選手のようにHEATでISKAのベルトを獲る」

【写真】これまでの積み重ねがあって、この2カ月の成果が求められる。新しいアビラル、HEATからK-1で結果を残すことができるか(C) ABIRAL GHIMIRE

26日(土)、名古屋市の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT55×AFC34にてアビラル・ヒマラヤン・チーターがアントニー・マルコニとISKA インターコンチネンタルスーパーウェルター級王座決定戦で対戦する。
text by Takumi Nakamura

今年からプーケットのタイガームエタイでの練習をスタートし、4月のHEAT53では平山迅を壮絶な打ち合いの末にマットに沈めたアビラル。今回はタイガームエタイで約2カ月間の長期合宿を行い、この一戦に備えてきた。タイ合宿を終えたタイミングで対戦相手がダミエン・ファブレガーからマルコニに変更されたが「ゲームプランを多少変えるくらいで不安はない」と揺るぎない自信を持っている。


――今回も試合に向けてタイで合宿していたそうですね。

「はい。今回もタイガームエタイに行かせてもらって、期間も今までで1番長くて、約2カ月行ってきました。帰国したのはちょうど試合の一週間前です」

――前回の取材では「名古屋は70キロのスパーリングパートナーが少なくて、タイガ―ムエタイにはスパーリング相手が多い」ということでしたが、今回もスパーリングが一番の目的ですか。

「そうですね。どうしても名古屋には僕と同じぐらいの体格の選手がいないのですが、タイガームエタイにはでっかい海外の選手が多いので、スパーリングパートナーがたくさんいます。タイガームエタイはタイ人選手がほぼいなくて、ヨーロッパ、ロシア、アメリカ…色んな国から色んなスタイルの選手がいるので、勉強になることがたくさんあります。あとは生活環境的にも練習に集中できるので、タイの練習は自分に合ってますね」

――スパーリング以外ではプラス面とは?

「自分は志村道場所属のまま、タイガームエタイのサポート選手という形になっていて、タイガームエタイの所属選手と同じようにトレーナーをつけてもらえるんですね。それで自分に合ったトレーナーにしっかり練習を見てもらったり、ジム内のフィジカルトレーニングもできたり、タイガームエタイ一か所で全部の練習ができるんです。そこが自分的にはすごくいい環境だなと思います」

――では日本から練習しにきた選手というゲスト的な扱いではなく、所属選手に近い形で扱ってもらっているのですね。

「そうなんです。ただタイに練習しに行くみたいな感じじゃなくて、タイガームエタイの一員としてトレーニングキャンプを張るというイメージですね。実際にタイで練習する前と後の試合を見直すと自分でも違いが分かります」

――志村道場でもタイ人の先生に教わっていたと思うのですが、タイで練習するのとは違いますか。

「ミットを持ってもらうという部分では志村道場でもいい練習ができるんですけど、どうしても練習のメインがミットになってしまって、対人練習が少なかったんですよね。でもタイに来るとミットで教わったことを対人練習で試すことができるので、そこで技術が上がるんだと思います」

――日本ではミットで技術を覚えても、スパーリング不足でぶっつけ本番になることが多かったわけですね。

「スパーリング自体は一応やっていたんですけど量が少なかったし、どうしても自分より下の階級の選手が相手なんで、試合に向けて不安になることはありました。でも今回は2カ月間タイでしっかり練習して、格闘技人生で1番追い込んだんじゃないかと思うくらい練習できたので仕上がりが楽しみです」

――練習場所を移動する必要もないので毎日練習漬けの2カ月間でしたか。

「そうですね。月~土まで毎日練習して、日曜日だけオフなんです。1日で3部練~4部練していたので、練習の記憶しかないです(笑)。ただタイの練習は1回の練習が1時間~2時間弱なので、トータルすると1日3~5時間ぐらい、それぞれの練習を集中してやっていました」

――タイガ―ムエタイで練習するようになって、自分に伸びしろがあると感じていますか。

「はい。自分はまだ成長できるというか、分かっていないことや修正しないといけないことがたくさんあると思いました。自分はもう格闘技以外で出来ることはないと思ってるんで、 格闘技で生きていくつもりです。だからこれからも色んなことをも学びながら結果を出していきたいと思っています」

――そして今回ISKA インターコンチネンタルスーパーウェルター級王座決定戦のチャンスが巡ってきました。

「僕が初めてHEATを見に行った大会で皇治選手がISKAのタイトルマッチをやっていたんですよ。だからHEATに出たらHEATのベルトを獲って、次はISKAのベルトを獲ることがずっと目標でした。その目標を達成できるチャンスが来てワクワクしていますね」

――当初はダミエン・ファブレガーと対戦予定でしたが、アントニー・マルコニに変更になりました。マルコニにはどんな印象を持っていますか。

「対戦相手の変更を聞いたのが帰国した日で、タイ修行がすべて終わったあとだったんですよ。それで急いで試合映像をチェックしました。一階級下のウェルター級でISKAのムエタイルールのベルトを持っていて、タイでも試合をしているムエタイスタイルの選手という印象です。ただ階級が下の選手には負けられないですね」

――対策的な部分を作り直さないといけないという不安はないですか。

「ファブレガーがサウスポーだったんで、ずっとタイでサウスポー対策をしていたんですよ。そこが変わるのはちょっと…ですね(苦笑)。ただタイにサウスポーの選手が少なくて、結局、オーソドックスの選手とスパーリングすることが多かったんです。それで『俺、相手がサウスポーなのにオーソドックスとスパーリングしていて大丈夫かな』という不安もあって。だから相手がオーソドックスのマルコニに代わって、逆に今回は絶対いけるなと思っています。ゲームプランを多少変えるくらいで不安はないです」

――キャリア的にもここでISKAのタイトルを獲れば、ここからさらに大きなチャンスにつながっていくと思います。

「僕は最後にHEATで負けたのはプロ3戦目の試合で、それ以降は6年近く負けなしなんですよ。ただ2020年からはK-1にも出ていて、K-1では2勝5敗と結果を出せていないので、今回しっかり勝って強くなった姿を見せて勝って、またK-1に出て結果を残していきたいです」

――アビラル選手はK-1のデビュー戦が木村”フィリップ”ミノル戦で、それ以降は和島大海、ジョムトーン、ジョーダン・ピケオーとチャンピオンクラスの選手と試合が続いていました。練習環境を整えた今の自分でトップ選手たちと戦いたいですか。

「もしランキングがあったらトップ5位にいる選手たちと戦ってきたと思うし、キャリアに差がある試合が多かったと思います。でもあれから練習環境も変えて、タイでトレーニングキャンプしながら試合するという形になったので、今の状況でしっかり結果を出して、またK-1に戻って試合をしていきたいです」

――それでは最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「今回はHEATでISKAのタイトルマッチをやります。今自分は確実に強くなっているので、新しく生まれ変わった自分を見せて、圧勝しようと思います」

■HEAT55 x AFC34 視聴方法(予定)
10月26日(土)
午後3時00分~ Twit Casting LIVE

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