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【ROMAN01】10/14=時間無制限バーリトゥード=格闘浪漫、渡辺直由─01─「VTはMMAの根源に近いモノ」

【写真】先月の会見の時は過労で、目を傷めていた(?)渡辺氏 (C)MMAPLANET

14日(月・祝)に会場非公開でROMAN01が開催されるROMAN01。ROMANは黒帯柔術家の渡辺直由氏を中心に何でも有り=バーリトゥードの復活、道着MMA、ヒールやスラムが認められた柔術という3つの基本軸=ルールが採用されて行われる。
text by Manabu Takashima

R.O.M.A. Rules (旧バーリトゥード)ルール抜粋─01─
◆試合時間は無制限とし、休憩時間は設けない。ただし、事前の取り決めにより試合時間を制限する場合がある

これだけ進化し、ビジネスとしても世界中で成立している現代MMA界にあって、原点回帰というべき何でも有りに渡辺氏は、何を見ているのか。ルールの制限を無くせば、無くすほど戦いは過激さ、血なまぐさい攻防が増える可能性がある。と同時に、試合時間&ルールによってMMAといえども使うことができない格闘の術は存在している。

9月10日(火)に東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で行われたROMAN株式会社記者会見直前に渡辺氏に話を訊いた。


培ってきたモノを実際の……究極にルールを取っ払った試合で検証してもらいたい

──市ヶ谷での会見。地元で、決意を新たにしようということだったのでしょうか。

「あっ、そこは全然タッチしていなくて。運営の人に任せていると、たまたま地元でやることになった感じです(笑)。でも、運命めいたものを感じますね」

──渡辺さんといいますが、もうK’s Factory在籍時代からの古い仲なのでナオさんと呼ばせていただきます。ナオさんが、これだけ世界に広まったMMAにあって敢えて時間無制限バーリトゥードの復活、そして道着MMAの解禁に動くことになった一番の要因は何なのでしょうか。

「今、バーリトゥードという言葉が世界のどこかの地域によっては差別用語だということを伺ったのですが、ここでは全くそういうことではなく、古くからブラジルで行われていた戦いの名称として使わせていただきます」

──ハイ。三菱のパジェロ、あるいはカルピスが地域によっては使えない。ボボ・ブラジルもブラジルだけになる地方もある。そういうことで、MMAPLANETでもバーリトゥードを固有名詞として使用しています。

「ハイ。バーリトゥードとはMMAの根源に近いモノ。

繰り返しますが、危険で野蛮なことをやろうということではないですし、もちろんストップも早くします。攻防に関しては、凄く地味で動きが少なるかもしれない。いうと、派手な攻防を見たいわけでもない。

(C)Zuffa/UFC

第1回UFCとか。

中井(裕樹)先生の試合を見に行った時と同じで、最後にどっちが立っているのか。そういうシンプルな戦いが見たかった。今のMMAは戦いが洗練されていて、皆がセオリーを知って戦っていますよね?」

──ハイ。洗練されるのも、セオリーが存在するのは今の北米ユニファイドが基軸となったルールがあるからで。

「ハイ。そこはR.O.M.A.Nは相当に違ってきます。ただ、今の選手はもうそのセオリーも技術も知っています。なので、ここでどういう戦いが見たいということではなくて、どういう戦いになるのか──を無責任な発言ですが、見てみたいんです」

R.O.M.A. Rules (旧バーリトゥード)ルール抜粋─02─
【許される行為】
◆あらゆる種類の喉への攻撃、及び/又は気管を掴む行為
◆相手の顔や目に向かって指を伸ばすこと
◆下方向に向けたヒジ打ち
◆股間へのあらゆる種類の攻撃
◆グラウンド状態の相手の頭部へのヒザ蹴り、キック。踏みつけ
◆相手のグローブを掴むこと
◆指やつま先でフェンスやロープを持つ、又は掴むこと
◆マニピュレーション(手足の指)への攻撃
◆相手の体に爪を立てる、つまむ、捻る行為
◆髪を引っ張る行為
◆対戦相手の頭や首をキャンバスに打ち込むスパイキング

──なるほどぉ。いうとホイスの頃はバーリトゥードに対応できるのは柔術家だったわけですし。

「ハイ、これまで培ってきたモノを実際の……究極にルールを取っ払った試合で検証してもらいたい。そこに以前からもそうですし、今も新しい武術や武道は生まれています。このルールで活躍できるか、発揮できるかは分からないですが一緒に追求していかせてほしいという想いもあります」

『ルールが無ければ、こういうことができたのではないか』と考えることもあったのでは

──その通りですね。UFCが始まってから31年が過ぎようとしているなか、MMAでなくても武術も同じ時間を経て研磨されてきていますし。

「ハイ。何というのか、30年前のバーリトゥードの続きが見たいです。最近のMMAも、30年間の積み重ねがあって今があるわけですし。今、2024年のMMAのなかで武道系、武術系の方たちが興味を持ってくれると、どのような戦いになるのか。そういうことを知りたいんです」

──イメージしていたのは若くてフィジカルで押すというよりも、熟練の格闘術が駆使される試合になるのかと。

「多少後付けではありますが、バリバリの現役の選手に勧めることができるルールではないです。ケガをしても構わないというわけではないですが、ある程度の酸いも甘いも経験してきた人が、最後に花道として戦うというルール。

そういう経験値の高い人達なので、色々なルールで戦ってきたと思います。そのなかで『ルールが無ければ、こういうことができたのではないか』と考えることもあったのではないかと。そういう部分を、最後に知恵比べというか……ぶつけあってほしいです」

──ルールが整備されたので、今のMMAの世界的な普及があるのは絶対です。その一方でホイス・グレイシーの活躍によってMMAを知った世代としては、ブレイクが掛からず、立たされることもなく、ずっとクローズドガードを取っている選手に対して、最後はトップの選手が根負けするのではないか……。いや、今のMMAを熟知していれば、R.O.M.A.Nでも北米ユニファイドルールで許された攻撃だけで勝ってしまうだとか。色々と想いを巡らせてしまいますね。

「そこに道着が絡んでいると、どうなるのかとか。だいたいヒクソン・グレイシーとズールにしても、ラウンド制だったらヒクソンは負けていたかもしれない」

──その想いは今からUFC世界チャンピオンになろうと汗を流す環境では持ちえないですよね。

「ハイ。逆に自分たちの世代は、そういう想いをメチャクチャ持っている。道着MMAにしても、当時は……MMAという言葉がなくて総合格闘技と呼んでいて、裸でやっていくのか道着でやっていくのか、それすら分かっていなくて。それが裸になった。道着じゃないんだって言う風になって。あの時、道着MMAが生まれていたかもしれない」

ユニファイドルール制定以前に米国にはホイスでなくても、道着を着て戦うファイターがいた

──道着同士ならともかく、道着があると裸の選手を相手に不利になるシーンが起こってしまいました。

「ああ、キース・ハックニー×ホイス・グレイシーですね(1994年12月にハックニーがキースの道着を掴んで、パンチを打ち込んだ。MMAにおけるダーティーボクシングの走り)。でも、あの頃のUFCって今のMMAとは別モノで。今、見ても発見があります。

豪州でも過去に打撃有りの豪州柔術の大会が行われていた

ただ道着MMAは、バーリトゥードとは別の世界観で考えています。

R.O.M.A.Nルール……バーリトゥードは境がない、開かれた場所です。それこそ神秘系の武術の人が戦いたいなら、戦ってほしい。UFCファイター、MMAファイターが来てくれても構わない。少人数だけで、過激なことをやっている実戦空手の人が来てくれても良い。

そこに辿り着く道としてウチとしては道着MMAと、ヒールやスラムが認められた制限の少ない道着ルールが存在しているという形です」

R.O.M.A. Rules (旧バーリトゥード)ルール抜粋─02─
【反則】
◆あらゆる形の目潰し a. 指、顎、肘による目潰しは不正行為とする。
◆噛みつき 唾を吐く行為
◆フィッシュフッキング
◆脊椎または後頭部への打撃

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
10月14日(月・祝)
午後2 時00分~ROMAN-Roots of Martial Arts Network公式YouTubeチャンネル

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