この星の格闘技を追いかける

【UFC307】一進一退からダムが決壊したかのような猛攻。ポアタンがラウントリーの顔面破壊、4RKO勝ち

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
Def.4R4分32秒by TKO
カリル・ラウントリー(米国)

すぐに前蹴りを繰り出したポアタン。キャッチしたラウントリーだが、テイクダウンにはいかず試合は打撃の間合いに。ラウントリーはワンツーで前に出ると、バックステップのポアタンはローを蹴る。サウスポーの構えから、果敢に踏み込むラウントリーのジャブに王者が右を合わせる。ワンツーを右で止めて、右ハイのポアタンが空間を支配している。制空圏を破ろうとするラウントリーは、右から左を伸ばす。ワンツーを繰り返すラウントリーは、ポアタンのステップインに右を合わせようとする。そして左を伸ばしたラウントリーに対し、ポアタンがジャブを伸ばす。ラウントリーはケージを背負って、右にサークリング。静かな初回が終わった。

2R、左ストレート、右ジャブを伸ばすラウントリー。ポアタンは左ローを蹴り、右ハイ。続く右の蹴りを捌いたラウントリーが、右をヒットさせる。カウンターの右を入れたポアタンは、背中を伸ばした大きな構えで素早いパンチを繰り出す。対して小刻みにステップを踏むラウントリーは右ハイ後に左ストレートも、クリーンヒットはしない。チャンピオンとしては、繰り返されるワンツー&ステップインに何を合わせていくのか。

ジリジリと詰めるポアタンは、ハイキックの空振りの一瞬の間に右フックを打たれる。ポアタンは腰が落ちたが、すぐに臨戦態勢に戻り距離を詰めてジャブを伸ばす。左ストレートをダブルで見せ、2発目を届かせたラウントリーが左ハイ、ポアタンが頭を戻したタイミングで側頭部を捕えた。

3R、ポアタンは2Rを落としたことで、動きが変わるか。やや早めに圧を掛け、距離を詰めるポアタンが右をヒット。直後に素早い回転の左を決めたラウントリーは、下がったポアタンの誘いには乗らない。ポアタンはリードフック、ラウントリーの左ハイをガードする。逆に左ハイを当てたチャンピオンは、間合いを測るファイトに応じる。右を打たれ、右を返したポアタンだが、ラウントリーも負けじと左を振るう。

ラウントリーは右ローから右、ポアタンが左カーフを蹴った。ボディショットを織り交ぜるラウントリー。その頭部を捕え切ることができないポアタンのハイキック。制空圏は王者にもうポアタンになく、互角の攻防が続く。しかし王者が左ヒザを突き上げると、一気に試合の流れが変わる。圧を高めたポアタンが左カーフを蹴り、ジャブ。ラウントリーはケージの前からワンツーで逃れるが、ポアタンがワンツー、ヒザを突き上げてラウンドを締めた。

4R、ラウントリーのローに、左ジャブをクリーンヒットしたポアタン──前のラウンドの後半の流れを維持できるか。1分を経過し、中央で蹴りを出し合うなかで、ポアタンがボディを殴る。効いた感のあるラウントリーはジャブを被弾し、自らのパンチは届かない。ポアタンがジャブを続け、ワンツーフックを入れる。下がったラウントリーに右を当てて、さらにパンチをかわして右、ヒザを突き上げる。冷静にジャブを続け、ガードを固め流血のラウントリーに対し、仕上げに入るようにワンツーから右、アッパーと打ち込むポアタン。思い切りパンチを振り抜くようになると、回るラウントリーを追いかけて右ストレートを2度決めたポアタンが引き続きジャブ、右フックを打ち込む。

ラウントリーが顔面を守っても右を打ち抜き、首相撲の機会を伺う様な動きを見せたポアタンが右ストレート、アッパーとパンチを纏め、そして首相撲&ヒザ──を踏み止まる。きわめて冷静なチャンピオンに対し、完全に動きが止まりながら最後の力を振り絞るように左右のフックを繰り出したラウントリーだったが……右フックからボディを2発、最後は右アッパーで射抜かれるとしゃがみこんで勝敗は決した。

まるで溜まりに溜まった水を、一気に放水──いやダムが決壊したかような猛攻撃を見せたチャンピオンは「この試合はトップの一つの試合で、ラウントリーを本当にクオリティの高いファイターだった。作戦は疲れさせてから、仕留めること。僕のスタミナは問題なかった。ヘビー級転向も良いけど、ライトヘビー級は十分に魅力的で減量も問題ない」と話した。


PR
PR

関連記事

Movie