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【Fight&Life & ONE165】若松佑弥&三浦彩佳 「背中で」(三浦)&「アベンジャーズなんです」(若松)

【写真】 実際に凄く仲が良さそうな2人だった(C)MMAPLANET

1月28日に行われたONE165で共に落とせない勝負で勝ち切った若松佑弥と三浦彩佳の対談が23日(金)に発売のFIGHT & LIFE#101に掲載されている。
Text by Manabu Takashima

ダニー・キンガド戦、平田樹戦を乗り越えた若松と三浦が互いの試合前とこれからについて話した対談を終えた──時、若松がさらに言葉を繋げた。誌面の都合上、掲載できなかった両者のメンタルについて、ここで紹介したい。

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──では、色々と葛藤を抱えつつも乗り切ったONE日本大会に関して、色々と内情を話していただきありがとうございました。

三浦 ありがとうございました。

若松 インタビュー、終わっちゃったんですけど──ちょっと良いですか?

──勿論です。

若松 自分、ウ・ソンフンに負けて2連敗になった時からメンタルコーチングを受けるようになったんです。あれまで体力とか気合いとかだけでやってきていて、メンタルが一番ダメだと気付いて。長南さんにも『もう、辞めたい。辞めたい』と言ったこともありましたし。そこで色んなきっかけで(中村)倫也君からメンタルコーチングとかも紹介してもらって。仙三さんにもメンタルっていうことについて、相談したり。自分のメンタルがクソ屑だったんだと分かって……。

引き寄せの法則だったり、イメージすることで、何かここまで変われた。心技体、心はあっても体力はない。体力はあっても心はない。そういうことが多いと思いますが、格闘技はどっちも必要で。

──言ってみると若松選手は、格闘技経験のないところからTRIBEでMMAを始めてすぐに頭角を表した。運動神経は合ったのだと思います。

若松 メンタルは本当に一番大事だと、それは本当にこの2年間で分かったことです。長南さん、堀江(登志幸トレーナー)さん、慶人(メンタルコーチ)さん、仙三さんのお陰で。

──オンオフの大切さのようなモノも含まれているのでしょうか。

若松 メンタルが強い、弱いではなくて。考え方を知っているのか、知らないのか。僕は無知で気合いだけでやっていました。今はイメージトレ―ニングを否定するんじゃなくて、深掘りするようになって、言語化したり。練習で上手くいったこと、いかなかったことをノートに書くようにして。相手の戦略を把握しても、ただ乗りや反応でやっても世界は喰えない。そこを今回の試合を通して伝えたくて。

──具体的にどのようなメンタルでいたのですか。

若松 色々あるんですけど、結果──試合当日は全てを肯定する。『俺はここまでよくやってきた』と肯定し、協力してくれた全員に感謝の気持ちでいる。そして、楽しむ。ここまでやって負けたらしょうがない。相手を称えよう。でも自分のやってきたこと、全てを出す。先のことなんて考えない。でも、絶対勝つんだと。負けても、しょうがない。ここまでやったんだから、でも勝つと」

──試合前にそのように気持ちを創って、いざリングの中に入った時の精神状態は?

若松 正直──自分は全然未熟だったので、心が折れました。でも、メンタルコーチングを受けて毎日イメージトレーニングをしてきたので、勝つことができました。昔のメンタルがゼロだった自分なら、絶対に勝てなかった。本当に皆のお陰です。気合いは大切です。長南さんにはそれを教わりました。

三浦 フフフフフ。

若松 でも僕は気合いだけでは、心ができなかった。色々な人の意見を聞いて、そこが理解できました。

──実は自分の身の持ちようで、人間は変われる。自分自身の肉体は同じでも、それは精神状態で生き方は変わる。気の持ちようですね。そういうことは自分にもありました。

若松 それはどういうことだったのですか。

──簡単にいうと体に深刻なダメージがあるかもしれないということで、検査が何度となく繰り返された。その時はやはり怖かったですし、家族、娘の将来を考えて悲観的になっていました。それがとある人に「だから、なんだ。そうだったら、あんたの家族への想いは変わるのか。そうなった時こそ、あんたの家族愛が試されるときじゃないか」と言われ、ハっとしました。自分の体に深刻なダメージがあっても、自分がやるべきことは変わらないと思うと、強くなれました。本当に。

三浦 素晴らしいですね。

──結果、全ての自分の目に映る光景が変わったのは検査の結果、深刻なモノでないと分かった時ですが(笑)。

若松 ハハハハハハ。

三浦 実際にそうですよね。

若松 でも、現実は同じでも心が変われば、自分は変われますよね。

──試合がある現実は、変わらないわけですから。どこにどう取り組めるのかも気の持ちようで。

若松 体と精神、それを人に指導することができるぐらい、自分も色々と勉強してチームを引っ張っていきたいと今は思っています。だから、今回の試合で負けていたら自分の試みを否定されてしまうというプレッシャーはありました。それでも勝ちを一つ一つ、積み重ねていって自分のやってきていることをTRIBEの皆、後輩に教えていきたいです。

長南さんが自分たちを育てくれて。だから三浦さんもそうだと思うけど、自分たちも後輩たちを育てないといけない。そこで昭和のように「やれ」っていうだけだと……そこはそこで必要なんですけど、絶対に。礼儀もそうだし。と同時に、そこ以外も僕らは見ないといけない。そこを採り入れて、僕も三浦さんも勝って背中を後輩たちに見せていきたいです。それができれば長南さんも安心できると思います。

三浦 今回は日本大会だったので、セコンドにはフルに3人入ってもらうことができました。祐弥君と2人だから、6人がセコンドに就ける。長南さん、堀江さん、仙三さん、残り3人は後輩たちにONEの会場を体験してほしくて。私は男の選手には男女のフィジカルの違いや技術の違いもあって、祐弥君のように技術を教えることはできないです。

なら──背中を見せるということで、私ができるのは普段の海外でやっている雰囲気を知ってもらうこと。ONEや海外の大会って、どういう雰囲気のなかで行われるのか。それを見てもらいたくて、後輩たちにセコンドパスを出してもらって試合の直前まで一緒にいました。言葉とかでなくて、そういうことを見て欲しかった。今回、ONEに日本大会を開いてもらって凄く良かったです。

10代だった祐弥君も29歳になって、もう何年できるか分からない。私、TRIBEの選手のなかで最年長になったんです。

──えぇ、そうなのですか!!

三浦 ハイ(笑)。だから、私たちがONEで戦っている姿を後輩たちに見てもらって……。それと試合前にグチャグチャになって、トチ狂った先輩がいるのかっていう姿も知ってもらう。でも、リングで戦えるんだよって。

若松 なるほどぉ。だから、あんなにメチャクチャになるんですね。辻褄が合いました(笑)。

三浦 迷惑をかけているかもしれないし、試合前の後輩たちも巻き込んでしまっていたかもしれない。でも、口で説明はできないでの見て欲しいというのはありました。色々な選手がいて、工藤(諒司※引退)君とか淡々として変わらず、自分のなかで気持ちを整理して戦える選手がいて。祐弥君みたいな選手がいれば、(石井)逸人君のように自由にやっている選手もいる。そのなかで私は泣いて、わめいて。でもリングに上がって、皆が勝っている。そういう姿を見て欲しいなっていうのがあります。

若松 アベンジャーズっていうことですね(微笑)。

──……。……。……。

三浦 えっ? でもTRIBEには色々な人間がいるので。

若松 でも三浦さんはめっちゃ後輩に厳しいですよ。

三浦 そんなことないっ!!

若松 でも、そういう人も必要で。本当に楽しいです。色々なヤツがいて。以前は練習をしっかりとしない奴は否定していました。でも、今ではそれも肯定できて。(後藤)丈治のような頭脳派がいて、逸人のようにノリでやる──ふざけていても、後輩想い。で、三浦さんみたくメチャクチャ厳しい人もいる(笑)。

三浦 だから、厳しくない(笑)。厳しくないでしょ!!

若松 自分はメチャクチャ優しいから。

三浦 言い過ぎ(笑)。でも黒部(和沙)とか、祐弥君を見るとビシッとしているし。

若松 練習の時はちゃんとやらないと。

三浦 そうやって優しく思われていても、ビシッとさせることができるって良いですよね。

若松 三浦さんは厳しいけど、バカにされているので(笑)。皆に色々と言われていて。余りにも乱れているから。

──メンタルコーチングが必要なぐらいの言いようですね(笑)。

若松 いや、でも今の話を聞いて。そういう三浦さんも必要なんだなって思えました。集団でやっているので、皆でやっていて楽しい。そうなると長南さんも、安心してくれると思います。

──押忍。今のTRIBEの空気の良さ、所属ジムがある強さが感じられました。ありがとうございます。

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