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【Gladiator CS01】組み技=竹内~MMA=元UFC~組み技=竹内。竹本啓哉─01─「ずっとドキドキワクワク」

【写真】尊い。格闘家として、その言葉が一番今回の竹本に合っていると思う(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(金)、配信に特化して開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES01「Bang vs Kawana Ⅱ」で、竹本啓哉が竹内稔とPROGRESSフェザー級王座を賭けて戦う。
Text by Shojiro Kameike

昨年9月、竹本はテムーレン・アルギルマーを下し、GLADIATORバンタム級のベルトを奪還した。2024年初戦はMMAではなくPROGRESSフォークスタイルグラップリングの試合となることが1月25日に発表されている。しかし発表直後、竹本の試合については二転三転した経緯があった。

事の顛末はこうだ。同大会ではチケット発売がない関係で対戦カードの発表に時間をおくという形が用いられていたが、実は元UFCファイターで今回LFAから派遣されるガブリエル・シウバと、上久保周哉がバンタム級で対戦することが決まっていた。

ところが発表前に上久保が負傷し、シウバと戦えない状況に。そこでPROGRESS実行委員会が竹本にシウバとの対戦を打診したところ、竹本は『バンタム級契約ではなくキャッチウェイトなら』と、即快諾。64キロ契約マッチが組まれることが決まったものの──これも発表直前に、今度はなんとシウバが練習中の負傷により来日が不可能となってしまった。その結果、当初の予定どおり竹本×竹内というマッチアップで確定した。グラップリング~MMA~グラップリングという試合変更にも関わらず、竹本は全て合意したのだ。

MMAPLANETでは最初に竹内戦決定の情報を得たあと、1月中旬に名古屋で竹本のインタビューを行っていた。その後、試合が二転三転しながら竹内戦に落ち着いた2月上旬、竹本に再インタビューを依頼。このジェットコースターのような数時間を過ごした竹本からは、まさに誰とでも戦うという格闘技観が見えた。


――対戦カードは当初の発表どおり、竹内稔選手とのPROGRESS王座決定戦に落ちつきました。ただ、そこまでには紆余曲折がありました。まずガブリエル・シウバとの試合について聞いたのが、いつ頃だったのでしょうか(※取材は3日に行われた)。

「今から1週間前——最初の竹内戦の発表直後ですね。ずっとドキドキワクワクしていた1週間でした(笑)」

――対戦相手どころか試合のルール、競技そのものが変わる。にも関わらず「ドキドキワクワクしていた」と笑顔で語ることができるのですか。

「確かに、全部が変わってしまいましたからね(苦笑)。でも僕は今33歳で、どれだけ現役生活を続けられるか分かりません。そのなかで、『今後も元UFCファイターと対戦できる機会があるんだろうか?』と思って。だから契約体重など条件が多少厳しくても、僕は対戦したかったです。MMAを戦う者にとって日本国内で元UFCファイターと対戦できるというのは、それだけの価値がありますから」

――とはいえ、シウバとの対戦に至るまでは、ずっとPROGRESS用の練習をしていたわけですよね。つまり、打撃の練習をしていない。

「はい。逆にグラップリングの練習はしていましたから、急きょ鈴木社長とワタナベ(関羽マサノリ)と打撃の練習について話を詰めたんですよ」

――ちなみにグラップリングの試合前は、一切打撃の練習はしないのでしょうか。

「全く練習しないわけではないですが、考える比重は変わってきますよね。練習するとしても自分が指導しているクラスだったり、練習仲間が参加しているクラスには一緒に参加したりとか。でも自分のための打撃練習はしなくなります。選手練習でも、グラップリング重視の時しか参加していなくて。……だから試合用の打撃練習はゼロ、ということですね」

――そこで急きょ試合用の打撃練習について話を詰めたあと、今度はシウバが欠場という話を聞いた時は……。

「ひっくり返りました。気持ちだけではなく、物理的にひっくり返ったんですよ。そこから1~2分は立ち上がれませんでした」

――……。

「でも、ひとつ安心したことがあるんです。僕がシウバと対戦することになったら、竹内選手の試合はどうなるんだろうかと思っていました。『代わりに誰かとの試合が組まれるのかな?』とか」

――えっ、竹内選手の試合がなくなることを心配していたのですか。

「はい。シウバとの試合に切り替えたのは、僕が直談判したわけではないです。だから竹内選手の試合がなくなっても、僕のせいではないけど――心の中で引っかかっていて。竹内選手は試合がなくなることに対してOKだったのかなぁ、と考えていました」

――優しいのですね。

「いやいや、そういうことじゃないです(苦笑)」

――照れなくてもいいではないですか。

「というより、昔から『相手がどう考えているのだろうか』と気になるタイプでした。『グラップラー刃牙』に天内悠という、人の気持ちを読むことに長けている登場人物がいるんですよ。たとえば相手が薬を欲しいと思ったタイミングで、その薬を出してあげたりとか。

その天内悠のセリフに『格闘技も相手の心を読むことが重要だ』というニュアンスの言葉があって。僕の中で、そのセリフが心に残っていました。だから僕は試合中も相手の表情を読んで、相手が嫌がることをやるようにしています。逆にプライベートでも、『こう言ったほうが相手は喜ぶだろうな』と考えたり。それが完璧にできているわけではないですけど」

――とても大切なことだと思います。すると、もう一度自分が竹内選手と戦うことになった……つまり竹内選手の試合があると分かってホッとしたのではないでしょうか。

「ホッとした――のかなぁ。先日、3月3日にLevel-Gで峯岸零也選手と対戦することが発表されたじゃないですか。『もし2月16日の試合がなくなっても、3月3日に試合ができていたんだろうな。それは良かった』とは思いました」

――一方で竹本選手にとっては、このタイミングであればシウバとの対戦を断ることもあると思います。どれだけ自分自身が調整できるのか。たとえ憧れの試合であったとしても、負けては意味がないと躊躇して当然です。

「そこに躊躇はなかったです。何て言うのかな——最初に言ったように、あとどれくらい現役を続けられるか分からないです。引退する時は必ず来る。自分は引退する時に後悔したくないんですよ。

もし今後、勝ち続けて引退するとしますよね。でも、それでは自分がどれだけ強いのか分からない。なるべく負ける可能性がある相手と対戦して、自分の強さがどんなものか分かって辞めたいです。だから、できるだけ強い選手と、できる時に試合をしておきたい。今回のシウバとの試合を受けたのも、自分の強さを知りたいという理由からでした」

――それは竹中大地選手と上久保周哉選手がグラジに出場した時と同じ気持ちですか。

「そうですね。強い選手が出て来るのは楽しみですし、不安も心配もありません。そこは勝ち負けじゃないから。自分の強さを確認するために――強い人と試合するために、僕はグラジのベルトを取り戻したので。不安があるとすれば、体重のことぐらいですね。引退するまで計量オーバーしないかどうか心配し続けると思います」

――実は、その心配がありました。竹本選手は一度、タイトルマッチで計量オーバーからベルトを剥奪されています。そのベルトを奪還した時に、計量オーバーとベルト剥奪に対する負い目は晴れたとの発言をしていました。しかしこれだけ急な試合変更を受けたのは、竹本選手の中にまだ負い目が残っているのか、と。

「それはないです。単に自分の中で、もう二度と同じ目には遭いたくないと思っているだけで。計量オーバーって、オーバーしたほうも結構シンドイんですよ。試合前から、試合中も、試合が終わった後も……。

僕が試合変更を受け入れたのは、強い選手と対戦したいからです。チャンピオンとして、せっかくグラジが新しいことをやる、その第一弾大会で穴を空けるわけにもいかないですしね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
2月16日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS01対戦カード

<Gladiatorフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]パン・ジェヒョク(韓国)
[挑戦者]河名マスト(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・フェザー級王座決定戦/5分3R>
竹本啓哉(日本)
竹内稔(日本)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
アン・ジェヨン(韓国)

<Progressフォークスタイルグラップリング88キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ(日本)
大嶋聡承(日本)

<Gladiatorフライ級王座決定T準々決勝/5分3R>
和田教良(日本)
チェ・ドンフン(韓国)

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