【GRACHAN66】田中智也戦へ、伊藤空也「強くなるために何かを変えることに怖さはない」
【写真】5連勝として来年に繋げることができるか(C)NAKAMURA TAKUMI
17日(日)に東京都江東区にあるTFTホール500で開催されるGRACHAN 66で、伊藤空也が田中智也と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
10月の15周年大会では高須将大にKO勝ちし、4連勝を飾った伊藤。そのレコードもさることながら、シュートボクシングへのチャレンジや練習環境をマイナーチェンジして、進化と変化を遂げながら結果を残してきた。2023年を締める田中戦、そしてその先に見据える目標を伊藤に訊いた。
──今大会では田中智也選手と対戦が決まりました。この試合が決まった時の心境はいかがでしたか。
「10月の15周年大会で田中選手とやるかもしれないという話があって、そこで田中選手のことは意識しました。色々と調整があって改めて今回決まった感じなんですけど、田中選手とやる覚悟はしていたし、いつかは絶対にやるだろうなと思っていたので、そんなに驚くこともなく冷静でした」
──ファイトスタイルを含めて、田中選手の印象は?
「完全に寝技師ですよね。ウェルラウンダーとは聞いているんですけど、打撃の展開はほぼほぼなく、徹底的に1Rから寝技でガンガン来る、しっかり極めに来る選手だと思います。ストライカーはみんな嫌がる、今成(正和)さん的な感じですね」
──特徴がはっきりしている分、対策も立てやすいタイプだと思うのですが、どういったことを意識して練習してきましたか。
「前の試合はボクシングジムにも行って、打撃を中心にやっていたんですけど、今回は相手が相手なのであまり打撃をガツガツやってもしょうがないなと。レスリングよりも柔術やピュアグラップリングに力を入れてきました」
──Braveには色んなタイプの選手がいるので、スパーリング相手も含めて寝技対策は順調ですか。
「そうですね。今はMMAで下から狙う技術、下から潜る技術や足関を狙うという技術はタブーではないですけど、そこに特化した選手は少ないじゃないですか。だからこそピュア柔術家の方とも練習したり、僕らの師匠の宮田(和幸)代表もガードからの技術がすごいので、そういう人たちと練習させてもらっています」
──なるほど。ちなみに柔術の道場で練習しているのですか。
「BRAVEジムはJTT(トライフォース赤坂)と連携していて、トライフォース赤坂から柔術の先生が週2でBraveに練習に来てくれているんですよ。それで僕も1年半~2年前から柔術クラスに出ていて、そこで培ったものを活かすような練習もしていますし、なおさら今回は組み技に比重をおいて練習させてもらっているので、練習環境的には助かっています」
──伊藤選手は4連勝中ですが、ご自身で連勝の要因はなんだと思っていますか。
「Braveで基礎的な部分を創って、Brave以外の練習にも力に入れるようになったことが大きいと思います。例えば今までだったらBraveのプロ練に出てレスリングを軸にやっていたんですけど、試合によっては今回のように柔術に力を入れたり、ボクシングのワタナベボクシングジムに行ったり、RIZIN初出場の際にはウィラサクレックジムでムエタイを習ったり。そういうところで自分の戦い方に深みが出てきたんだと思います。自分はもともと空手出身なんですけど、それ以外にも色々と技が増えたというか、そういうところが連勝の要因だと思います」
──色々なエッセンスを取り入れて、どんな変化がありましたか。
「例えばムエタイだったら、体に軸ができるんで、打撃の見合いの中で余裕ができるというか、ディフェンス力が高くなりました。あとは首相撲も前回の試合で出せた部分です。ボクシングだったら、しっかり足を使って当てること。とにかくボクシングは足を使うんで、パンチにしっかりと回転がついたし、不思議とボクシングをやることによって、パウンドを打つ時の点で当てる力がつくんで、そういう面ではどの競技もMMに共通していると思いました」
──6月にはSBにも挑戦して、そこでも得たものもありますよね。
「はい。芦田崇宏さんと2人で出たんですけど、MMAグローブの立ち技ルールだったので、キックボクシングとは全く違う距離で。そういう打撃に特化した練習と試合をやって、自分を試すこともできたし『なるほど!』とい分かったこともたくさんありました、当然、勝てればよかったのですが、SBに出たことは大きな経験でした」
──練習環境の変化や新しいルールへのチャレンジでMMAファイターとしての幅が広がっているようですね。
「自分では意識してないんですけど、周りからは落ち着いて試合できるようになったと言われます。20代前半の頃なんかは、若さと勢いだけじゃないですけど、勢いでバッチバチの試合をやっていたんですけど、キャリアも中盤になってきて、わりと落ち着いてやるべきことをやるというか、自分がこうすれば絶対に勝てるというプランも冷静に考えることができています」
──とりあえず全力&フルパワーで行って、スタミナが切れるまで頑張るという試合は卒業だ、と。
「いわゆるゾンビファイトだけではトップどころや外国人選手には通用しない部分もありますし、2年前に手塚基伸選手に一本負けした時はスタミナ勝負に持っていく作戦だったんですけど、それだけでは勝つことができなくて。それできっかけで柔術に力を入れたんですよね」
──なるほど。そういった弱点や苦手な部分から逃げずに向き合ってきたわけですね。頭では分かっていても出来ない選手が多いと思いますが、伊藤選手はそこにちゃんと向き合ってきたわけですね。
「自分がやってきたことを信じている人は新しいことに取り組むのは辛いだろうし、行動に移すことも難しくなると思います。でも自分の場合は元々地方で格闘技をやっていて、その環境を捨ててBraveに来て、そういうプライドも捨てているというか。強くなるために何かを変えることに怖さはないです」
──Grachan公式サイトではこの一戦について「このふたりの戦いは、バンタム級のパワーバランスに新しい動きをもたらす」というコメントもありました。伊藤選手がこの試合の先に見据えているモノは?
「今回勝てば自分がベルト挑戦に絡む形になると思うので、やっぱり手塚選手にリベンジを果たしたいですよね。そうじゃないと自分の中でも示しがつかないというか、片付けておかなきゃいけないことなので、田中選手に勝って、手塚選手にタイトルマッチでリベンジする。そしてベルトを防衛するなり、強い名のある選手と試合をして、勝ち星を獲りたいと思います」
――1年を締める試合で、どのようなファイトを見せたいと思っていますか。
「本当に自分の印象が変わるんじゃないかというような試合になると思うので、まずそこを見てもらいたいです。それを見せつつ、応援してくれる人たちには僕を信じて良かった、応援していて良かったと思ってもらえる試合を見せたいです」
■視聴方法(予定)
12月17日(日)
午後1時30分~Grachan放送局
■Grachn66対戦カード
<GRACHANライト級暫定王者決定戦/5分3R>
岸本篤史(日本)
林”RICE”陽太(日本)
<バンタム級/5分2R+Ex1R>
伊藤空也(日本)
田中智也(日本)
<無差別級/5分2R+Ex1R>
ハシモト・ブランドン(ペルー)
MAC(サモア)
<フェザー級/5分2R+Ex1R>
松田征也(日本)
伊藤類(日本)
<フェザー級/5分2R+Ex1R>
中村京一郎(日本)
村田俊(日本)
<フライ級/5分2R+Ex1R>
金井一将(日本)
長野将大(日本)
<無差別級/5分2R+Ex1R>
ダンカン・ヒロ(台湾)
ステファン・スマッシュ(フランス)
<無差別級/5分2R+Ex1R>
ラデック・ヘルボーイ(チェコ)
瓜田幸造(日本)
<ライト級/5分2R+Ex1R>
草訳駿介(日本)
水杉泰誠(日本)
<フライ級/5分2R+Ex1R>
後藤浩希(日本)
平野紘希(日本)
<GRACHANchallenge 63㎏以下契約/3分2R>
西嶋珀(日本)
天坂匡孝(日本)