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【Grachan65】初出場で現王者の手塚基伸とノンタイトル戦――TSUNE―01―「もっとベルトが欲しくなった」

【写真】笑顔の陰にパンクラスのベルトを巻けなかった悔しさと、新しい戦いへの希望を見せていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15th Anniv」で、TSUNEがバンタム級王者の手塚基伸とノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月、プロデビューから11年の集大成としてパンクラスのバンタム級暫定王座決定戦に臨んだTSUNE。しかし田嶋涼を相手にKO負けを喫し、念願のベルトを巻くことはできなかった。あの敗戦から10カ月――グラチャン初参戦を控えたTSUNEが、MMAとベルトに対するモチベーションを語ってくれた。


――TSUNE選手とは昨年12月のパンクラス暫定王座決定戦の1カ月後にお会いしましたが、試合後とあって体重も増えていたと思います。その時と比べると、当然のことながら絞れてきていますね。

「久々のMMAの試合で、頑張っていますよ!」

――今年に入ってお会いした時は、しばらく休養を取るとお話していました。暫定王座決定戦のあとは、どれくらいの期間休養していたのでしょうか。

「丸々1カ月は休みました。そのあと山﨑(剛Me.We代表)さんから『そろそろ練習に参加してみようか』という連絡が来て。まずは減量もなく太っていましたし(笑)、まずは練習を再開して柔術の試合に出たんですよ。でも柔術の試合で、ちょっと負傷してしまいまして……」

――えっ!? せっかく復帰したのに。

「だからMMAの試合は復帰が遠のいてしまって。やっぱり練習を再開したばかりで試合に出るのは良くないですね(苦笑)」

――その負傷がなければ、もっと早くMMAに復帰するつもりでしたか。

「これからMMAの試合に向けて練習を再開しようと思っていたところだったので、『またかぁ……』と思いました。それでMMAの練習を再開したら、別の箇所を負傷して。今まで大きな怪我はなかったんですけど、急に連続で出てきましたよ。今年に入ってから、いくつか試合のオファーも頂いていました。でも怪我があって満足に練習できない状態だったんですよ」

――MMAを戦っているかぎり100パーセントの状態はないと思いますが、それでも試合ができる状態にはなってきたのですね。

「はい。もう年齢も年齢なので、どうやって怪我と付き合っていくかも考えていかないといけませんね」

――昨年12月の試合はハードファイトになりましたが、その直後にダメージはなかったのですか。

「試合のダメージはなかったです。試合中の記憶もありますし。何か一発が効いて倒れたというより蓄積で倒れたので、脳はハッキリしていました。最後にタオルが投入された時まで覚えています」

――蓄積で倒れるということは、それだけ打たれながらも立ち向かっていた証拠ではあります。試合を視ながら「なぜここまで出来るのか……」と思うほどでした。

「ベルトが欲しい。その執念だけですね」

――……。

「勝ちたい、負けたくないっていうより、とにかくベルトを巻きたかったです。あれだけ打撃をもらっていたら、普通は倒れているかもしれません。でも自分としては引き下がれませんでした。序盤に自分の打撃が当たって、少しベルトが見えてしまったのが逆に良くなかったのかもしれないけど……。思っていたよりも僕のパンチが当たって、いつもとは違い距離で戦ってしまったんですよね」

――結果、大激闘の末に敗れました。それでも試合としては大きな盛り上がりを見せたことは良かったと思えるのか。やはり、どのような試合内容でもベルトを巻きたかったのか……。

「試合内容が泥臭いものになっても、ベルトを巻く。その気持ちしかなかったです。確かに大激闘にはなりました。でも自分の中では『負けパターンに入っているなぁ』と思っていましたね。何よりも試合中に『これは打撃で勝てる』と考えてしまったことは、僕の驕りでしかないんですよ。もっともっと泥臭くいかないといけなかったです」

――なるほど。手が届きそうで届かなかった暫定王座を獲得した田嶋選手が、次に正規王者の中島太一選手と王座統一戦を行いました。あの試合を、どのように見ていましたか。

「まぁ、僕が勝っていたら自分が出ていたであろう試合ですからね。でも、それが僕と田嶋選手の差だし、自分がベルトを獲れなかった理由だと思うんです」

――というと?

「よく負けたあとに『再戦したら勝てる』という選手もいるじゃないですか。でも、あの日あの時に勝てなかったのが、僕の実力であって。あの日あの時に、あのチャンスをモノにしたのが田嶋選手の強さであり、僕との差なんです。Me,Weにはチャンピオンが多くて、彼らを見ていると、その差がよく分かります。『持っている』という表現は、運とかそんなものじゃなく――あのチャンスをモノにすることが強さなんですよ。

自分としてはMMAを続けるかぎり、『あのタイトルマッチがあったから――』と言えるようにしたいです。やっぱりベルトを巻くことができずに、人生で経験したことのない悔しさがあって」

――その悔しさの先に、絶望や引退という2文字は浮かびませんでしたか。

「ありましたよ。『もう自分には無理なのかな……』とか思いました。でもベルトを巻くことができなかった分、もっとベルトが欲しいという気持ちが強くなったんです。そこで今回、グラチャンから良いオファーを頂いて。手塚さんは現役のチャンピオンじゃないですか。ノンタイトル戦で勝ったら、次はタイトルマッチですよね。ここで勝って、必ず次に繋げたい。そういうモチベーションは高まりました」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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