【Bellator X RIZIN02】パトリッキーと対戦、AJ・マッキー「ライト級の俺は大きくて、速くて、強い」
【写真】しゃべりが上手い。これこそ米国カルチャーだ (C)MMAPLANET
30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナでRIZINとBELLATORのOne day Two event制の大会=「超RIZIN02」が開催される。サークルケージのBellatorとスクエアリングのRIZINのファイトが観られる同大会、Bellatorのとりを飾るのはライト級ワールドGP準々決勝最後の1試合=AJ・マッキー×パトリッキー・フレイレの一戦だ。
今回Bellatorが12日(水・現地時間)と13日(木・同)の両日に、契約配下選手のワン・オン・バン・インタビューを実施し、日本からリモート取材ができた。ここでは日本時間の14日(金)の午前7時半前後にインタビューしたAJ・マッキーの言葉を伝えたい。
日本で戦うことをこよなく愛するAJは、特別仕様でない普段着のサークルケージを舞台にどのような戦いを日本のファンに披露しようといているのか。
──スミマセン、食事中でしたか。
「いや、弟がバーガーを食べていて。それでチョット、フレンチフライをつまみ食いしただけだよ(笑)」
──試合の3週間前にフレンチフライやバーガーを食べるのですね。
「そりゃそうさ。俺は食べたいモノを食べているよ」
──了解しました。ところで月末の試合に向けて、調子は如何ですか。
「最高だよ。今日も6分5Rのスパーリングをやってきたばかりだよ」
──5分でなく、6分なのですか。
「3分毎にフレッシュな相手とスパーするためにね、3分で区切っているんだ。そして俺の頭もリフレッシュする。状況に応じて、臨機応変に戦うためのスパーリングだよ。そういうのってキャンプのなかでも、どちらかというメンタル的にも楽しい部類になるからね」
──6分✖5Rのスパーリングが楽しいと……凄まじい話です。ところで大晦日にサトシ・ソソウザ選手に勝利した時に、また7カ月後に日本で戦うことになると思っていましたか。
「ノー、思いもしなかった。また必ず日本で戦うことになる。そういう気持ちはでいたよ。でも、それは大晦日だろうと思っていた。結果、今回はパトリッキーと日本のファンの前で戦うことになった。世界で最もファイターを尊敬してくれる皆の前でね。
大晦日にサトシと試合をした時、本当に会場が静かでコーナーの声が聞こえた。あのファンの存在があれば、ベストなファイトができる」
──前回はRIZIN×Bellatorの対抗戦というRIZINのイベントでした。今回は1日でBellatorとRIZINの2つのショーを観ることができる大会になります。ファンは家路につきながら、どちらのショーが面白かったのか話すことになるはずです。そういう意味での対決をどのように考えていますか。
「この状況は、よりやる気が出るね。ケージでのMMAと、PRIDEスタイルの試合が一晩で観られるなんて、このスポーツにはなかったことだ。そんな大きなショーのなかで、メインイベントを任されるなんて光栄だよ。なんて言えば分からないぐらい、大きなことだ。面白いファイトになるだろう。その日が来るのを待ち切れない状態だ」
──前回の日本での試合は、AJ自身がRIZINルールで戦うことを楽しんでいたように思いました。何よりサッカーボールキックや四点ヒザは、観客にも伝わりやすい攻撃手段です。対して、今回の試合ではユニファイドルールでの試合で如何にファンにインパクトを与えたいと思っていますか。
「日本で戦うことに、凄くエモーショナルになっていたことは認めるよ。俺はPRIDEルール、日本のカルチャーといえるルールが大好きだから。ただし、俺の戦い方がルールによって制限などされない。ルールに邪魔をされることはないよ。PRIDEルールでもユニファイドでも、根底にあるのはダメージを与えて勝つこと。相手のバックに回り、ホールドして勝とうなんて思っていない。そんなことをしても、どちらが優れたファイターかは分からないじゃないか。
どれだけ相手をコントロールしても、レフェリーが試合を止めることはない。俺はレフェリーが止めに入るよう戦う。それはPRIDEルールでも、ユニファイドでも同じことだ。動きを止められることが嫌なんだ。大晦日にサトシと戦う前には、バックを取られてコントロールされないように対策練習を何度も繰り返した。そして、試合では大きな問題にはならなかった。これからも、同じように問題にならないだろう」
──RIZINルールで戦うことは、ちょっとしたスペシャルギフトかと思うのですが、今回は通常のルールセットでもライト級ワールドGPの準々決勝戦で、とても大切な試合になります。
「そういう試合を日本で、コーナーの声が聞こえる状況……つまりに日本のカルチャーの下でできることが凄く嬉しい。ケージの外が、あんな状態で戦ったことはなかった。父とコーチの声がしっかりと俺の耳に届くのは、まま大切なことだからね。子供の頃から日本に行ってPRIDEルールで戦うことが夢だった。今度はサークルケージで北米のルールで戦うけど、日本の皆に良い試合を見せたいという気持ちは何も変わらない。
ワールドGPはとても大切な戦いだ。日本のファンはトラッシュトークだとか、対戦相手を尊重しない行為を嫌っていることは分かっている。ただ、俺が生きてきたファイトワールドはそういうものなんだ。違いがある。そういうことをして、ヒートアップさせるのが米国流だからね。パトリッキーも、それは分かっている。しっかりとやるべきことやって、最高の試合をしようと思っているはずだよ」
──日本のファンがトラッシュトークを忌み嫌うということはないと思います。嫌うファンもいますが、ケージの中が最高の試合であれば構わない。ファイトをおざなりにして、そういうことばかりをすることが嫌いなコアファンの数は絶対的に他の国よりも多いかとは思いますが、全否定はしないはずです。
「そうかい? なら、そういうこともあると認識して楽しんでほしい」
──AJ、ところで前回のサトシ戦で来日した際に、日本のファイトウィークの過ごし方で気になるようなことはなかったですか。
「やるべきことは同じだよ。体重を落として、計量にパスして体重を戻す。それにリングで戦うこと以上に大きな違いはないからね(笑)。俺のようなレスラーはケージでできることが、リングではできないことがあるから」
──時差のボケなどは?
「ファイトウィークに関しては時差も問題なかったし、ちゃんとそこを考慮して体を創っていたから。1、2日でボディは米国にいるときと同じ状態になる」
──では既にパトリッキーが日本に到着しており、最後の調整を朝倉未来選手たちと行うことは特に彼に有利に働くことではないと?
「そりゃあ、早目に入ればそれだけ体調管理はしやすいだろう。でも、俺がやるべきことはケージに入ってアイツの顔を殴りつけること。日本に早く到着して、最後の調整を行うことでパトリッキーが顔面にパンチを受けても平気でいられるなら、それはアドバンテージになるだろう。とにかく、ケージのドアが閉められて鍵をロックされると、もう逃げ場はない。戦いが始まるってことだよ」
──ではパトリッキーはどのようなMMAファイターだと思っていますか。
「元世界チャンピオンだし、尊敬しているよ。世界ライト級チャンピオンになるという俺の目標を既に成し遂げている。そして戦い方は弟のパトリシオにとても似ている。ガードが固いのはパトリッキーの方で、パトリシオは少しルーズだけどね。ただし、俺がやるべきことはこれまで通り戦うだよ」
──5月にパトリッキーにインタビューをした時、ライト級のAJ・マッキーはフェザー級のAJ・マッキーとは違うと言っていました。
「正しいよ。フェザー級の俺とライト級の俺は違う。ライト級のAJ・マッキーはより大きく、より速く、より強い。フェザー級の時よりも優れている」
──なるほど(笑)。パトリッキーは読み違えていると。
「とにかくケージに入った時、ヤツは俺にフェザー級で戦い続けて欲しかったと思うことになるだろう。ライト級の俺は大きくて、速くて、強い」
──押忍。ではBellatorのイベントが、RIZINのイベントより良い大会になる自信は?
「メーンッ!! それだけは分からない。ただ入場から選手紹介まで、日本ではベストなショーをファンに提供していることは確かだ。大晦日に戦うまで、あんなエントランスは経験したことがなかった。だからこそ、俺らが普段からどういう戦いをしているのかを、日本のファンにRIZINの試合とともに見てもらえる機会が素晴らしいと思っている。
地球の別サイドにあるMMAショーの空気を皆にも味わってもらい、楽しんでほしい。そういうコラボレーションになるよう、俺自身も楽しみにしている」
──AJ、今日はありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いできますか。
「皆の応援に本当に感謝している。7月30日には皆にショーを楽しんでほしい。記憶に残るKO勝ちをするよ」