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【Pancrase334】ウェルター級王座決定戦=村山暁洋戦へ、林源平─01─「熱くなるよりも冷静になる」

【写真】初のタイトル奪取へ、確かな自信が伺えた林 (C)SHOJIRO KAMEIKE

4日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase334で、林源平が村山暁洋と空位のウェルター級KOPを争う。
Text by Shojiro Kameike

林といえば打撃中心のスタイルで、試合では打ち合いになり危うい場面になることも少なくない。2022年にライト級からウェルター級に転向し、9月の中村勇太では1Rにパンチを食らいながら、2Rと3Rにダウンを奪って判定勝ち。続く12月の押忍マン洸太戦も打撃でケージに詰められながら右ストレートを決めてのKO勝ちだ。そんな林にウェルター級転向と打撃戦について訊くと、この1年間での成長が明らかになった。


──――MMAPLANETでは初のインタビューとなります。よろしくお願いいたします。

「はい、よろしくお願いします!」

――今回の試合が2度目のパンクラス王座挑戦となります。

「そうですね。前回(2020年9月、雑賀ヤン坊達也と暫定ライト級KOPを争い、KO負け)は暫定タイトルマッチでしたが、今回は正規のベルトということで」

――暫定と正規では気持ちも違ってきますか。

「ベルトが懸かっているという意味では変わりません。ただ、前回とは自分の中の自信が全然違いますね。今の自分なら絶対にベルトを獲れる、そういう自信があります」

――それだけ自信がついてきた要因は何なのでしょうか。

「とにかく打撃が進化したことと、階級の変更ですね。ライト級からウェルター級に上げて、この階級が自分に合っているというのは大きいです」

――2021年12月の金田一孝介戦までライト級で戦い、昨年からウェルター級に上げて以降は2連勝中です。ウェルター級に転向した理由を教えてください。

「ライト級時代は、普段のコンディションが良くなかったですね。通常体重は摂生して83キロぐらいでした。そこから試合の時は70.3キロまで落とすので、ライト級の中でもかなりやせ細っていたと思います。GENで一緒に練習している仲間からも『階級を上げてみても良いんじゃない?』と言われていて。実際に階級を上げたら、普段の練習からコンディションが良いと言われるようになりました」

――林選手の身長が181センチ、さらにライト級の中ではリーチも長いですね。その体格だと体重を落とすのもキツかっただろうと思います。しかしウェルター級に上げても体格は劣っていないどころか、相手より勝っていたのではないですか。

「力でも負けているとは感じなかったので、この階級が合っているんだと思います。今はライト級時代ほど摂生する必要はないし、練習でも毎日元気よく動くことができていますね」

――元気よく! それは良かったです。もともと静岡県のイギーハンズ・ジム所属である林選手が、東京のGENに練習拠点を移したのは、いつ頃なのでしょうか。

「今からちょうど4年前ですね。最初は『どうせ行くなら海外へ行っちゃおう』と思っていて。でも周りの方に相談したところ『海外へ行く前に、まずは東京で練習環境を整えてみれば?』と言われて、GENへ見学に行かせてもらったんです。そこでGENの練習を見て、まだまだ自分でもやれることがあるなって感じました」

――当時のGENといえば、どちらかというと重量級ファイターが多い印象でした。

「ライト級の選手も何人かはいましたね。でも平均でウェルター級ぐらいだったのは間違いないです(笑)。そもそもイギーハンズ・ジムはすごく良い環境ですし、強い選手もたくさんいます。だから、どうせ行くなら――もっとデカくて強い人たちと練習したいと考えていたので、GEN以外の選択肢はなかったですね」

――そのGENで練習をし始めた当初はいかがでしたか。

「いやぁ、恐ろしかったです(笑)。あそこで生き残った人間がトップに行けるんだな、って思いました。最初に安西昌信さんとスパーさせてもらった時、本当に全然ダメで。岡見勇信さんとスパーさせてもらうと、全く歯が立たなかったです。そのおかげで、『自分はココで強くなるんだ!』という気持ちにさせてもらいました。

最初はスパーでも組まれて、潰されてからどうするかという毎日でした。打撃で攻めたい、でも組まれて何もできない――その繰り返しで。ライト級だと当時は徳留一樹さんがGENに来ていて、最初はやられ続けていました。だんだん食らいついていくことはできるようになってきたかな、と思ったのがGENに入って1年ぐらい経ってからです」

――もう一つ「打撃が進化した」とのことですが、林選手といえば打撃、というイメージが強いです。しかし、どうしても打ち合いになりがちで、見ていて怖い面はあります。

「アハハハ、そうですね。殴って勝つことしか考えていないもので(笑)。でも打ち合うことの恐怖よりも、試合に勝ちたいっていう気持ちのほうが強いんです」

――なるほど。打撃戦に持ち込むことこそが、自身にとって勝つための術であると。

「そこが自分の一番得意なところですからね。別に打ち合おうと思っているわけではないけど、相手の打撃をもらってから自分のスイッチが入るところはあります。『100倍にして返してやろう』って(笑)。でも、そこで熱くなるよりも冷静になっているんです。たとえば押忍マン洸太戦って、いきなりヤバイと思われるような展開になったじゃないですか」

――はい。正直、『押忍マン洸太選手のKO勝ちか』と思いました。

「皆さん、そう思っていたはずなんです。でも改めて試合を見返してみると、ケージに詰められてからは押忍マン選手のパンチをもらっていなくて。しっかり相手を見ながら、自分の右を当てることができました。それはGENで打撃を指導してくださっている、田牧一寿さんのおかげです。田牧さんからは『毎日しっかりシャドーボクシングをやること』と、『試合では常に相手のことを見てパンチを出しなさい』と言われています。

だから毎日シャドーを欠かさず、練習でも試合でも常に相手のことを冷静に見るようにして――その結果が出たのが、ウェルター級の2試合だと思います。もしかしたら、田牧さんに会う前の自分だったら、もっと被弾して負けていたかもしれないです。田牧さんのおかげで、冷静に自分のパンチを当てられるようになったことが一番大きいですね」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
2023年6月4日(日)
午後2時00分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、TIGET, ABEMA PPV ONLINE LIVE、U-NEXT

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