【Pancrase333】笹晋久と対戦、田中路教─02─「話しても、試合で示さないと何もならない」
【写真】昨年8月以来の実戦、何がどう戻ったのかが明らかになるのか……(C)MMAPLANET
30日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase333で笹晋久と対戦する田中路教インタビュー後編。
2016年1月以降、自身のパフォーマンスは落ちているという言葉が田中から聞かれた。では現状はどうなのか──を尋ねた。
<田中路教インタビューPart.01はコチラから>
──では今はどうなのか。そこが、一番の問題だと思います。
「ヤヒーラ戦から落ちたと感じるようになったのは、最近、凄く調子が良くて。自分のなかで動きが戻ったからなんです。20代前半の時の体、感覚に戻りました。この感覚がいつまであったかを探ると、ジョー・ソト戦までだったんです。ジョー・ソト戦のダメージが大きすぎた。そこから自分の動きが落ちたと思います」
──相手のレベルが高くなったからではないのでしょうか。
「違います。実はこの感覚が戻ってきたので、ここ数年間に積み上げてきた動きができない状態になっているんです。構えからして、変わってきました。だから創り直している最中で、実は大変でもあります(笑)。また振り出しに戻った……いやジョー・ソト戦の時まで戻った感じなんです。
結果、新しいモノを創らないといけない。そこが大変になっています。でも、動きはめちゃくちゃ変わりました。これは明確です。今は練習量も若い頃に戻りり、疲れも残らない。本当に以前のようになっていて、練習していても楽しくてしょうがないです」
──アルファメールの練習仲間からも『変わったな』と言われることがありますか。
「それはないです(笑)。ユライアも『子供ができたから、タナカは変わった』という考えの人なんです。ただ、今回は安心して見てくれているような感じです。以前のようなダメ出しがなくなってきているので」
──動きが良くなったことで、以前のように圧が掛けられるようになりましたか。
「いや、そこも……ないです。それはなぜかというと体が動いている時から、僕はプレッシャー負けをしていたので(笑)。当時は打撃が全くできなかったこともるし、プレッシャー負けをしてしまう構えをしていました。だから、そこを改善するように取り組んでいます。しっかりと改善できるかは分からないですけど、この試合で試します」
──田中選手は組みの圧があるのに、そこが打撃を意識して使うことで落ちる。そんな風に見えてきました。
「でも相手のレベルが上がると、組みのプレッシャーだけで圧し返すことは難しいです。それは厳しい。まぁ、そういうところも含めて、構えから改善して次の試合に挑みます」
──ところで、何がきっかけで動きが戻った……変わったのですか。
「そこの話しを記事にするのは、試合後でも良いでしょうか。試合で結果を残してから、〇〇のおかげなんですって話したくて。今ここで話しても、試合で示さないと何もならないですし」
──分かりました。では、試合後にそれを話せるためには勝利が不可欠ということですね。対戦相手の笹選手に関して、どのような印象を持っていますか。
「色々な団体に出ていて、見た感じはどっちかといえばストライカー。スイッチもできるし、器用に戦える。かつ倒す勢いがある選手です」
──そんな笹選手に生まれ変わった田中選手は、何を見せたいですか。
「試合で見せたいこと……やらないといけないこと……そういうものはないです。ただただ集中して、勝てるところで勝つだけです。何を試合でやるのかとかは、特に考えないです。それがあると良くも悪くも試合に影響が出てしまう。試合が始まり、相手が目の前に来る。そこで感じたまま戦っていければと思っています」
──これまでも何度かありましたが、下手をすれば……いや上手く行けば日本で最後の試合になるかもしれないです。
「毎回、最後だって言っていますけど(笑)」
──アハハハハ。ただ今回、田中選手の状況もありますし、良い試合をすれば国内からオファーがあるのではないでしょうか。
「いや、もうないですよ(笑)。それは、もうない」
──そうですかねぇ。ところでこのタイミングで今更なのですが、Road to UFCに関しては田中選手はどのようなスタンスでいたのですか。
「僕は断られました。ユライアがかなり前に話してくれていて、そこで『元UFCファイターは厳しい』という返答があって」
──そこもまま聞かれるUFCの判断基準ですが、去年のバンタム級に出場したウリジブレンは元UFCファイターだったので。
「それはUFCにとって、その国に持つ価値基準が関係してくるでしょうし。もう仕方ないです。それに最後の試合で負けているのもネックなので、そこを指摘されると僕は何もいえないですから」
──返答待ちという選手が多い中で、「NO」という言葉がある分、田中選手は動け出せたというのはありますね。
「まぁ、出られないのであれば早く教えてもらった方が良いのは確かです。とにかく、これからの僕には連勝とフィニッシュが必要で。あと僕の場合ですが、ユライアからはUFCの意向として年齢に関して言われたことはないです」
──謎の32歳規定もないと。
「僕は年齢のことは言われていません。だから必要なのは連勝とフィニッシュ。ユライアと話しても、そこが大切になってくると思います」
──なるほどです。では次の試合に向けて帰国はいつ頃に?
「試合のある週に戻ります。ファイトキャンプは全部、こっちで終えて帰国する予定です。それからはビザが取れるまで日本にいます。子育てもありますしね」
──田中選手も父親になり、よりシビアにキャリアを考える必要があるなか、今回の試合も笹選手の今後のキャリアが懸かった試合になります。相当に気合が入っているに違いないです。
「UFC出場だけでなく試合に懸けている気持ちは皆、同じで。僕はやるべきことを試合までやるだけだと思っています。本当に良いコンディションで試合に出て、勝てるよう頑張ります」