【DEEP Osaka Impact2023#01】KICK王者からMMA王者へ。平松翔戦へ、谷岡祐樹─01─「今のキックは」
【写真】今のキック論が納得です(C)SHOJIRO KAMEIKE
4月2日(日)、大阪市の住吉区民センター大ホールで行われるDEEP Osaka Impact2023#01のメインイベントで、谷岡祐樹が平松翔と対戦する。
谷岡はキックボクシングのDEEP☆KICK 60キロ級王者から、30歳を手前にして、2021年にMMAへ転向した。ここまでMMA戦績は4勝1敗、現在は2連続KO中だ。そんな谷岡に、まずはキック時代からMMAに至るまでの経緯を訊いた。
――谷岡選手はキックボクシングのDEEP☆KICK60キロ級王者からMMAへ転向しています。最初に始めたのも、キックボクシングや空手など打撃系競技だったのでしょうか。
「子供の頃に寸止め空手(谷派糸東流)をやっていました。小学6年生の時に右足のスネを怪我して、蹴ることができなくなったので空手を辞めたんです。でも、また格闘技への興味がわいた時に1~2カ月ぐらいボクシングをやってみたら、やっぱり楽しくて。格闘技をやりたい――そう考えた時に、知人を通じて紹介していただいたパラエストラ加古川に入門しました。それが18から19歳になるぐらいの時です」
――パラエストラ加古川はキックボクシング専門のジムではなく、MMAや柔術のジムですよね。最初からMMAをやろうとは考えていなかったのですか。
「僕も最初はMMAをやろうと思っていて、ジムからも『MMAやるか?』と言っていただいていました。でも空手をやっていたので、まずキックボクシングから始めようということになって。10年ぐらいキックボクシングをやって、ベルトも獲れたので良い頃かなと思ってMMAに転向しました」
――パラエストラ加古川に入った時に、MMAではなくキックボクシングをやろうと思った理由は何だったのでしょうか。
「当時、K-1は視ていたので、キックボクシングが何かは分かりました。でもPRIDEとかMMAのほうは視ていなくて。何をすれば良いのかイメージもわかず、今からレスリングや柔道をやるのもキツイなと思ったんですね(苦笑)。ただ、ジムにはMMAで活躍されている先輩がいらっしゃいましたし、その先輩方からMMAも教わっていたので、いずれは自分もMMAをやりたいとは思っていました」
――とはいえ、キックボクシングをやるならキック専門のジムに行こうと思わなかったのですか。
「ジムにキックボクシングの先生さんがいたことと、ジム同士の繋がりがあったんですよね。他のキックボクシングジムから出稽古に来られる方がいたり、僕たちも出稽古に行かせてもらったりしていました。あとは何より、パラエストラ加古川にいる方々が好きだったので、自分はパラエストラ加古川でやっていこうと決めました」
――なるほど。そこから10年ほどキックボクシングを続けていたのは、まずキックのベルトを巻いてから……といった気持ちがあったのですか。
「そうですね。キックのベルトは一度、2018年にトーナメントで優勝して獲得していました。そこからMMAをやろうかな……と考えながら、キックの試合が決まったので出る。そういう状態が何年も続いていたんです。でも2019年にベルトを失って、まずはベルトを獲り返すこと。そしてチャンピオンになって一度は防衛することを目標にしていました。
2020年に取り戻したベルトの初防衛に成功する前に、パラエストラ加古川でキックボクシングを指導してくださっていた先生が指導者を引退されることになったんです。自分にとっても区切りの時期かなと考えて、ここでしっかり防衛してMMAに転向することにしました」
――なるほど。30歳手前でMMAに転向するまで、年齢的な部分で焦りはなかったですか。いずれMMAをやるなら、もっと早いうちに始めたほうが良いとか。
「焦りはなかったです。ただ、いま考えるとキックボクシングは若い選手のほうが強いなと思いました。これは僕の偏見ですけど……」
――いえいえ、そう考えた理由をお聞きしたいです。
「スタミナ面、技術面は今も向上しています。でも気持ちの面で――年齢とキャリアを重ねると『やったる! 倒したる!!』という気持ちが薄れていくところがあるんですね。今のキックボクシングのルールだと、そういう気持ちが強いほうが良いと思います。MMAは組み技もあるので、選手寿命も長いじゃないですか。そう考えた時に、30歳になってからもキックボクシングを続けるのは難しいんちゃうかな……と考えていました。
もちろんキックボクシングを続けて、DEEP☆KICKからRISEに出たい、あるいはRIZINに出たいという気持ちもありました。でもちょうどコロナ禍もあって、いろいろと考える時間が増えました。そこでベルトも獲ったし、初防衛もして、30歳になったのでMMAをやろうと決めたんです。ただ、ダラダラとMMAをやるつもりはないです。DEEP☆KICKでベルトを獲ったので、DEEPでもベルト狙っていきたいです」
<この項、続く>