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【DEEP112】古林礼名と対戦=しなしさとこ─02─「これからは最年長一本勝ち記録を目指したいです」

【写真】人生、常にピース──サインとはいかないから、良いのです(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP112で古林礼名と対戦する、しなしさとこインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

プロデビューから20年――変化した面もあれば、変わらないところもある。出産と育児でブランクをつくりながらも、しなしは戦い続けてきた。勝ち続けることに対する執着は無くなった、といっても負けることは絶対に嫌な46歳の現役ファイター。選手としてカドは取れていない。そんな彼女の新しい挑戦が、今回の古林戦から始まる。

<しなしさとこインタビューPart.01はコチラから>


――将来、息子さんが『MMAをやりたい』と言ったら、どうしますか。

「いやぁ、どうなんでしょうね(苦笑)。どんどん体は大きくなるでしょうし……。今はまだ170センチぐらいで」

――中学1年生で170センチは大きなほうだと思います(※13歳男子の平均身長は160センチ前後)。

「そうなんですか!? そうなれば息子の良いお手本になれるよう、私も頑張っていきたいですね。試合の結果だけではなく、一緒に暮らしているなかで試合に臨む過程を見てもらいたいです」

――母として試合に臨む気持ちは理解できました。一方で、いちファイターとしては今後戦い続ける先に何を見ているのでしょうか。

「何でしょうね? 最近は女子も選手が増えてきたけど、RIZINでも海外でも女子44キロって試合がないですよね。だから、そういうところは求めていないです。何だろう――幸せ、かな(笑)」

――意外な答えが返ってきました。しなし選手にとっての幸せとは……。

「心の在り方ですよね。年齢を重ねるにつれて、そう思うようになってきたんです。自分が好きなことをやっていると、気持ちが豊かになるし、穏やかにもなるから。最近は、そういう幸せを求めています」

――……その幸せが格闘技を続けていく先にしかない人生って、素敵なことだと思います。

「私はやりたいようにやらせてもらっているので、今も幸せだなって思います。どうですか? あんまり幸せじゃないですかね(苦笑)」

――人それぞれではないでしょうか。これまで多くのファイターを見てきて、戦うことで幸せを得た選手もいるし、そうではない選手もいたと思います。何より命に関わる怪我を負う可能性がある競技なので、MMAを続けることが良いのか良くないのかは第三者として言えません。ただ、しなし選手を見ていると……楽しそうです。

「アハハハ、楽しいですよ。もちろん練習はキツいです。でも何でも楽しまないと、もったいない気がします。この年齢で格闘技を続けられること自体が幸せだと思うし。特に、46歳で挑戦できること――もう吹っ切れましたよね。吹っ切れたので、今までよりも心が強いと思います」

――何に対して吹っ切れたのでしょうか。

「最初に言ったように、ずっと勝ち続けることばかり追求していました。負けたら終わり。でもそこにこだわり続けると自分が小さくなってしまう気がして。今はそんなこだわりを捨てることができて、私にとっては46歳の新しい挑戦なんですよね。ちなみに、毎年つくっている年賀状も楽しいんですよ」

――毎回新しいコスプレに挑戦している年賀状ですか。

「今年の年賀状も撮影した時点で『次は何をやろうかなぁ』って考えていますから。こうなったら年賀状も、できるだけ続けたい。毎年、お正月から皆さんに笑いを届けたいです」

――えっ、あの年賀状は笑いのためにやっていたのですか! てっきりコスプレの趣味があるのかと思っていました。

「そんなわけないじゃないですか(笑)。『皆さんが少しでも笑顔になってくれれば良いなぁ』という気持ちですよ」

――なるほど。話が逸れすぎてしまいましたが、試合のお話に戻ります(笑)。今回の対戦相手、古林選手の印象を教えてください。

「やりづらそうな相手ですよね。結構しつこく組んでくる選手で、しかもケージ際で振り回してくるじゃないですか。力も強そうで」

――にっせー戦では、しなし選手がケージに押し込みながら100パーセントの状態で組むことはできていませんでした。今回もケージレスリングで苦戦すると思いますか。

「前の試合(にっせー戦)は、前蹴りをもらって効いちゃっていたんですよ。それで力が入らなくて。でも負けるつもりはないし、勝ちに行かせていただきます。今回は2R、10分フルで戦うことになるかもしれないです。相手もサクッと極めさせてくれないでしょうし」

――勝つことへの執着はなくなったとしても、やはりフィニッシュへのこだわりは持ち続けているのでしょうか。

「もちろんです。いろんなパターンをイメージしていて、そのパターンにハマればフィニッシュできると思います。ただ、相手がいる試合ですからね。どうなるかは分からないですけど、必ず仕留めたいです。判定は考えていません。今までMMAの試合で、判定で勝とうなんて一度も思ったことがないですから」

――「勝ち続けることにこだわらない」としながら、そう仰っている表情が、やはりファイターなんだなと思います。

「そうですか(笑)。何て言うんでしょうね。スマックガールに出始めた頃(2001年12月にプロデビュー)って、できることが少なかったんです。極めるしか勝つ方法がなかった。そこから極めないと勝ちじゃないと思うようになりましたね。プラス今は、できることも増えていますから」

――判定勝ちよりもKO負けのほうが良いと思うタイプですか。

「いやいや、それはないです。負けたら、また気持ちが落ちちゃいますから。自分も情けないし、周りの人にも申し訳ないし……。だからKOに関わらず負けと、判定勝ちは同じぐらい悔しいかな。今どういう記録があるか知らないけど、これからは最年長一本勝ち記録を目指したいです」

■視聴方法(予定)
2月11日(土)
午後5時30分~サムライTV
午後5時40分~SPWN PPV
午後5時40分~ニコニコ生放送

■ DEEP112対戦カード

<フライ級GP準決勝/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
本田良介(日本)

<フライ級GP準決勝/5分3R>
福田龍彌(日本)
宇田悠斗(日本)

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
阿部大治(日本)
鈴木槙吾(日本)

<DEEP暫定フェザー級選手権試合/5分3R>
神田コウヤ(日本)
五明宏人(日本)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
高野優樹(日本)

<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
嶋田伊吹(日本)

<女子ミクロ級/5分2R>
しなしさとこ(日本)
古林礼名(日本)

<バンタム級/5分3R>
渡部修斗(日本)
力也(日本)

<バンタム級/5分2R>
山本有人(日本)
KENTA(日本)

<フライ級/5分2R>
高柳京之介(日本)
秋元強真(日本)

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