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【UFC284】日本通? ジョシュア・クリバオ─01─「日本の市場はUFCが介入しづらい状況が整っている」

【写真】クリバオとブレインバック・コーチ。コーチはシドニー郊外にジムを持つ──ウィーン生まれもオーストリア人 (C)MMAPLANET

12日(日・現地時間)、豪州はパースのRACアリーナでUFC 284「Makhachev vs Volkanovski」が開催される。

2019年10月にメルボルンで行われたUFC243以来の豪州大会には、メインでUFC世界ライト級王者イスラム・マカチェフに挑む世界フェザー級王者アレックス・ヴォルカノフスキーを筆頭に総勢9名ものダウンアンダーUFCファイターが出場する。

その中の1人がフェザー級でメルシック・バダザリアンと対戦するジョシュア・クリバオだ。クリバオはオクタゴン戦績2勝1敗1分、通算戦績10勝1敗1分のファイターだ。殴り合いでなくてもダウンを奪う──そんなMMA IQの高さを駆使しながら、喧嘩上等のファイトもやってのける。

殴り合いもスコアリングもできるクリバオの日本のMMA事情に対する見識の高さの驚いていると、その原因がコーチにあることが分かった。それにしても未知の国への理解力の高さと言語化する力……なぜ、クリバオがあれだけファイトIQの高い試合を実行できるのか、理解できたような気がする。


――ジョシュア、次の日曜日の朝にコロナ後に初めて豪州で開催されるUFCでメルシック・バダザリアンと対戦します。今の気持ちを教えてください。

「いつだってファンの前で、その声援を受けて戦うことは最高さ。そして、ファンが僕らの試合を会場で見ることができるということも本当に嬉しいよ。ファイトが観客の前に戻ってきた。素晴しいことだ」

──豪州は厳しいプロトコルが敷かれていました。その豪州にUFCはPPV大会を持ってきました。

「ここ数年、COVIDでビッグショーが開かれることはなかった。そして、今回のPPV大会が豪州で行われるということで、本当に世の中がノーマルに戻ったと実感できる」

──そして9人の豪州人選手が出場し、さながら豪州✖世界の様相を呈しています。その一員として戦うことをどのように感じていますか。

「豪州代表として、国境を越えてくる相手から自分たちを守らないといけない。この国のMMAの土壌をね。豪州人ファイターは気持ちを一つにして戦う。そのこともショーを盛り上げることになるだろう」

──ところで米国から遠く離れているという点では、豪州も日本も変わりありません。そしてMMAの歴史は日本の方が長く、人々に浸透していました。ただし、UFCファイターの数は豪州の方がはるかに日本より多いです。ジョシュア自身、なぜ豪州人ファイターはこれだけUFCにステップアップできるのか、どのように考えていますか。

「理由はいくつかある。豪州人選手がなぜUFCに進むことができるのかというよりも、日本人ファイターはなぜUFCとなかなか契約しないのか──ということだと思う。まず言葉、ランゲージバリアが存在する。それは凄く大きいことだよ。

そして日本にはRIZINという大きなショーが存在している。ONE Championshipも日本人ファイターと数多く契約した。この2つのプロモーションがあって、トップ選手はそこに流れた。また日本はMMA以外にK-1などキックボクシングのマーケットが開拓されていて、UFCが介入しづらい状況が整っている。結果、日本のUFCファイターは少なくなったんだと考えられる」

──ワォ。日本の事情にそこまで詳しく見識のある意見が聞かれるとは……。驚きです。

「実はコーチのおかげさ(笑)。イゴール(ブレイキンバック)は日本語が話せるんだよ」

──えっ、どういうことですか。

「ちょっと、コーチと代わるよ」

──ブレイキンバック・コーチ、なぜ日本語が話せるのですか。

ブレイキンバック ワカイ・トキニ・トーキョー・デ、3ネン・スンデイマス。1999年から2002年まで東京に住んでいたんだ。キックボクシングと柔術の試合をするために、東京を訪れた。トレーニングはタカマサ・ワタナベ先生のアクシス柔術でやっていたよ。

──明大前のですか。

ブレイキンバック ソーデス。メーダイマエ(笑)。そして魔裟斗のスパーリングパートナーで、高田馬場の正道会館のキャンプの時に一緒に練習していたんだ。でも豪州人のワイフと出会い、結婚してシドニーにやってきた。ここで20年前にジムを開いたんだ。

──20年前にシドニーに移り、まだ日本語が話せるのですか。凄いですね。

ブレイキンバック アハハハハ。チョット、ハナセマス。イツモ・ベンキョー・シタクテ。ミナサン・ハ・イツモ・エイゴ・ヲ・ハナスネ。デモ、ワタシ・ハ・ニホンゴ・ハナスネ。シドニーにいて日本語が使いたくて、日本人の友人にを相手に日本語で話しかけるけど、みな私には英語で話してくるんだよ(笑)。

「このイゴールがいてくれるから、僕は日本のことに詳しくなれるのさ(笑)」

──なるほどぉ。それにしても、そこまでしっかりと状況を整理して日本の事情について言葉にできるとは……。ジョシュアのファイトから、高いMMA IQが感じられた理由が分かったような気がします。

「それもコーチのおかげさ。彼は本当にMMA IQが高いから。イゴールの頭脳こそが、僕の最大の武器なんだよ」

──ところで昨年のシンガポール大会でジョシュアの試合をケージサイドで撮影させてもらったのですが、シンガポールの観客の空気感がONEの時とは違っていました。より米国的というのか、英語の野次や声援が多かったです。

「シンガポールと豪州は近いからね。あの時の観客は、本当に豪州人のファンが多かったと思う。豪州からは4選手が出場していたし。もちろん大半の観客が豪州人だったとは言わないけど、あの時は僕らを応援してくれるために多くのファンがシンガポールを訪れていたはずだ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
2月12日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
正午~PPV
正午~WOWOWライブ

■UFC284対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)

<UFC世界暫定フェザー級王座決定戦/5分5R>
[正規王者] ジャイー・ロドリゲス(メキシコ)
[暫定王者]ジョシュ・エメット(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ジャック・デラ・マダレナ(豪州)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・タファ(豪州)
パーカー・ボーター(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジミー・クルート(豪州)
アロンゾ・メニフィールド(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
タイソン・ペドロ(豪州)
モデスタス・ブカウスカス(リトアニア)

<フェザー級/5分3R>
ジョシュア・クリバオ(豪州)
メルシック・バダザリアン(アルメニア)

<フライ級/5分3R>
クレイジソン・ホドリゲス(ブラジル)
シャノン・ロス(豪州)

<ライト級/5分3R>
ジェイミー・マラーキー(豪州)
フランシスコ・プラド(アルゼンチン)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
ドン・ジェイニス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ローマ・ルックンブンミー(タイ)
イズマエル・ボンフィム(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ブレイク・ビルダー(米国)
シェーン・ヤング(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ズベア・トホゴフ(ロシア)
エイヴェス・ブレネル(ブラジル)

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