【ONE FN06】「打ち合いなさい」MMAへのリードに、佐藤将光が光るアジャスト。キム・ジェウンを下す
<68キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
Def.3-0
キム・ジェウン(韓国)
体格的な差は、見た目ではそれほど感じられない両者。距離、角度を考えて動く佐藤に対し、キム・ジェウンは中を取って戦う。佐藤が出るのを待っているキム・ジェウンが左ロー、佐藤も同時に右ローを蹴る。ボディから左フックを放った佐藤が右を当てるが、キム・ジェウンが右のカウンターを突き刺す。佐藤は右ストレート&カーフを蹴る。
圧を掛け始めた佐藤だが、なぜかアクションの声が掛かる。再開後にすぐ組みを狙いつつ、打撃を放つ佐藤は、シングルレッグをかわされる。これを見せてから左フック、右カーフもキム・ジェウンの距離か。右で飛び込み佐藤がサイドキック、左ローの相打ち続き、キム・ジェウンが左ローを蹴る。自らの右ハイで姿勢を乱した佐藤は、すぐに立ち上がる。真っ直ぐ距離を取ろうとした佐藤は、懸命に攻撃を散らすがキム・ジェウンは、右に右を合わせていく。
左ジャブを当てた佐藤、直後にレフェリーがブレイクを命じる。何と、佐藤とキム・ジェウンの両者にイエローが提示される。もはや、足を止めて打ち合えとばかりの競技運営陣──すぐにタイムとなった。
2R開始前にアグレッシブに攻めるように両者に、言葉が掛けられる。佐藤は斜めへのステップから左ハイや、回転系の動きから右を当てる。イエローと攻めろという指示は、キム・ジェウンの方が悪影響を受けたか。さらに組んだ佐藤は、テイクダウンに拘ることなく離れる。ジャブをからワンツーの佐藤、キム・ジェウンが左ボディから右をヒットさせる。
右の打ち合い、パンチは強いが動きは落ちた感じはあるキム・ジェウンが左ローを蹴る。佐藤はダブルレッグ、切ったキム・ジェウンがヒザ蹴りから離れて右を打ち込む。明らかに近い距離でのパンチの交換という流れで、佐藤が右を伸ばす。キム・ジェウンにとってもリズムが早くなった試合展開、佐藤がカーフを入れテイクダウンを織り交ぜて、右を打ち込む。組みで揺さぶる佐藤は、左から右の返しを受けて一瞬動きが止まる。
それでも右を当てながら前に出た佐藤が、再び右をヒットさせる。蹴りのフェイク、右ローを蹴る。左ローも蹴るキム・ジェウンは、右にカーフを合わせられた。佐藤の右に右で迎え撃ったキム・ジェウン、手応えを感じたような佐藤だがジャッジの判断は分からない接近戦となった。
3R、内回し蹴りを見せた佐藤は右から左、そしてボディを被弾する。キム・ジェウンもこのリズムにアジャストしてきたか、左ミドルをいう攻撃を繰り出す。飛び込みながら右を当てた佐藤は、左ローにシングルを合わせたが倒しきれない。ジャブから右を当てたキム・ジェウン、佐藤も負けじと前に出ると再び右で迎え撃つ。
佐藤は頭からつっこみ、クリンチ。離れたところでもう1度組むが、キム・ジェウンが体を入れ替えワキを潜ってバックに回る。後方から殴って離れたキム・ジェウン。佐藤はワンツーで目に出て左を振るう。足を蹴られ組みついた佐藤、キム・ジェウンの左目尻から大量の流血が見られる。ここでドクターチェックが入り、するに試合が再開された。
残り90秒弱、右オーバーハンドの佐藤。キム・ジェウンがヒザで迎え撃ち、左フックには左を合わせようとする。佐藤は組みから離れて右を打ち、佐藤は左ボディから右を入れて「入れた」とポーズをとる。さらにスピニングバックフィストを見せたキム・ジェウンが、インパクトのある攻撃で佐藤をリードしたように映る試合ではあった……が、ジャッジは3者とも佐藤を支持──「2023年最初の試合、勝つことができました」と佐藤はカメラを通して日本のファンに言葉を送った。
佐藤は大きな勝利を手に入れ、2023年のスタートを切ることができた。その背景にはカウンター狙いで相手を倒してきたキム・ジェウンが『攻めさせる』競技運営に自らのリズムを崩したことも大きい。対して、かつてこの距離、この手数で戦ってきた佐藤がその後のMMAとしての詰将棋を磨いてきた部分を短時間で上手く、しかも気持ちで融合させて勝利を掴んだ。MMAの移り変わりを肌で知り、戦い続けてきた佐藤ならでは判定勝ちだった。