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【Shooto2023#01】プロ修斗初陣、山本琢也─01─「2部練も良いところと悪いところがある……」

【写真】インタビューで体重が思ったように落とせていないことを露呈してしまった山本。変わらなきゃも変わらなきゃ (C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#01で、山本琢也が修斗初参戦で山本健斗デリカットと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2013年に全日本アマ修斗を制した山本、プロでの活躍の舞台は修斗でなくグラチャンを選択しライト級&フェザー級の2冠王者に輝いた。

試合は基本的に年に1回か2回――家族を養うために仕事をしながらMMAを続ける。それが山本の選択だった。ところが、この2年間で山本の生活環境は大きく変わったという。試合直前、山本に現在の練習環境と、そのモチベーションについて訊いた。


――試合を1週間後に控えた山本琢也選手です(※取材は1月7日に行われた)。山本選手のインタビューといえば、これまで練習環境と体重について触れられることが多かったのですが、それはお仕事の関係でなかなか練習できる状態ではなかったことが要因でした。

「そうでしたね(苦笑)。今は試合が決まって気持ちも入り、練習スケジュールの都合もついたので、パラエストラ松戸と柏に行くことができています。以前と比べたら今は練習できる環境になっていて、門前仲町のネバー・クイットさんでもお世話になっています。あと年末年始はT-ブラッドさんにもお世話になりました」

――それだけ練習できる状態に変わったのは、いつ頃のことなのでしょうか。

「2年前ですね。実は当時働いていた会社を退職して、僕を応援してくれるスポンサーさんの会社に勤めることになったんです。だから仕事が半分、格闘技が半分という生活になりました」

――スポンサーさんの会社に勤務するということは、それだけ練習や試合の際も融通を利いてもらえるのですか。

「普通に会社に勤めているよりは融通が利くと思います。本当にありがたい環境で仕事をさせてもらっているんです。以前は試合が決まってから1カ月~1カ月半の間、有給を使って練習するという感じでした。それが今は、普段から週6で練習できています。それも午前に仕事をして、午後から練習に行かせてもらったりとか。ネバー・クイットさんだと15時から選手の練習がありますから」

――いわゆるプロ練や選手練習は午前中やお昼、つまり夜の一般会員クラスの前に行われることが多くなりましたね。

「そうなんですよ。良い練習ができるのは朝や昼が多くて。その練習を終えたあと、夜はパラエストラ千葉ネットワークに行っています」

――ということは、1日2部練ができる環境になったのですか。

「2部練できる日もあります。ただ、それも良いところと悪いところがありますよね。練習時間が増えた分、それだけ疲労も溜まっていって……。昔よりも怪我が増えたし、ケアしないといけないって実感しています」

――現在はどのようなケアを行っているのでしょうか。

「それが……ケアできていないんです」

――えっ!?

「ちょっと良くないですよね(苦笑)。自分が無口なほうで、コミュニケーションが得意なほうではないので……」

――ではこの機会にアピールしておきましょう。鶴屋浩代表、山本選手はケアの方法を求めています!

「アハハハ、お願いします」

――練習環境が変わった2年前というと、2020年12月にグラチャンで鍵山雄介選手を下し、ライト級に続きフェザー級のベルトを巻いた頃です。翌年10月には希望していたRIZINに出場したものの、白川陸斗選手にKO負けを喫してしまいました。

「やっぱりコンディショニングの問題が大きかったです。練習環境が変わってから大舞台に出ることになり、どうなるんだろうと自分でも考えていました。結果、自分のコンディショニングがヘタクソで……。もっと勉強しないといけないなと思いました。

以前もインタビューで言っていたとおり、ずっと1年に1回体重を落として試合に出る状態でした。体重を落とすための練習というか。それが普段から練習できるようになってから、いろいろ考えるようになったんですね。でも考えすぎて、うまくいかなかったり……。だから、何も考えないほうがうまくいっていたんですかね(苦笑)」

――アハハハ。白川戦で実感したコンディショニングの難しさについては、この1年で改善されていないのですか。

「学習したようで学習していないというか、そのままです(苦笑)。やっぱり難しいですよね。でも、もう試合まで1週間ですし、あとは思いっきりやるしかないかなと思います。もう気持ちは吹っ切れて練習していますね」

――そこで練習環境ともう一つの問題である、現在の体重というのは……。

「エヘヘへ」

――エヘヘへ、ではありません(笑)。

「思ったようには落ちていないです。そこも周りに聞いていかないといけないですね。パラエストラ千葉ネットワークやネバー・クイットには、経験のある先輩方も多いですし」

――それだけ生活が変わり、練習環境も変わりました。以前は家族との生活を最優先にしていた山本選手です。スポンサーさんの会社に就職し、家族との生活を維持しながらMMAを続けたいと思った理由は何だったのでしょうか。

「前回の試合でKO負けした時、それを見て娘が泣いちゃったんですよ。僕は娘が生まれてから負けたことがなくて。娘にとっては父親が負けた姿を見るのは初めてだから、怖くて泣いちゃったんだと思います」

――……。

「娘に父親のカッコ良い姿を見せられるのって、今の時期ぐらいじゃないですか。それとお嫁さんからも『アナタはこんなもんじゃないから。早く次の試合をして、みんなを見返してほしい』って言われたんです」

――とても強い言葉ですし、すごく励みになる言葉ですね。

「MMAをやっているのは自分のためですよ。でも、家族のためっていうところもあります。お嫁さんと娘に、もっと良いところを見せたい。だから、お嫁さんにそう言われると――やるしかないです」

<この項、続く>

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