【RTU ASIA2022Ep05&Ep06】チャン代表の総括「アジアの多様性」&「日本が牽引することを疑わない」
【写真】ファイナルは韓国大会か……という問いに、ケビンの反応は?(C)MMAPLANET
23日(日・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されたROAD TO UFC AISA2022 Episode05。
フェザー級では松嶋こよみがまさかの判定負けを喫し、ライト級では本命視された韓国勢2人がインド人ファイターとインドネシア人選手に敗れる波乱が行った。
そんな準決勝大会を経てUFCアジア代表ケビン・チャン氏に大会を総括してもらった。
──Road to UFCの概要が発表された時、「史上最大の日韓戦」という風に煽りました。しかし今日、準決勝を終えてファイナルには1試合たりとも日韓戦がないという現実を目の当たりにしました。完全に自分にはこのトーナメントを見る目がなかったです。
「だからこそ、このトーナメントの開催に踏み切ったんだよ。アジアのなかで、まだ陽の目を見ていない可能性溢れる選手たちを発掘するために。それでもアジアのMMAのパワーハウスは日本、韓国、中国という東アジアの国にあることは間違いない。
そして今日の大会をもって決勝戦の4カードが決まり、どれだけアジアのMMAが多様性を携えているのか我々も理解できた。3試合を勝てばUFCと契約できる。このフォーマットにより、アジアのMMAは発展する。ただし、まだ第一歩を踏み出したに過ぎない。ファースト・シーズンの過程で、これだけの変化を感じることができたのだから、アジアのMMAはこれから本当に力をつけて行くよ」
──それにしても、です。6月の1回戦後でも、今回のような結果は全く頭になく。Road to UFCが続くなら今は力の差が明白なインドやインドネシアも2年や3年で強くなるとレポートしました。それが、わずか4カ月後です……。
「アハハハハハ。インドやインドネシアのファイター達は練習環境が整っていない場合がある。それでも今回の2人のようにサンディエゴや、国内でもバリMMAでトレーニングを積んだ成果が顕著に表れたね。ジェカ・サラギがキ・ウォンビンに勝ち、アンシュル・ジュビリはキム・ギョンピョを破った。
彼ら2人は今回の経験を国に持ち帰り、他のファイター達に多大な影響を与えるに違いない。それがUFCの狙いでもあり、そうなって初めて我々の計画はスタート時点に立てたことになるんだ」
──ところでイー・チャア戦と松嶋こよみ選手の試合の判定、どのように思われますか。
「凄い接戦だった。ただ、いつも言っているようにジャッジの手に勝敗を委ねると、勝利は絶対に保障されないということ。ホントに接戦だったよ」
──今回、準決勝で敗れた選手はUFCとの契約は勝ち取れないですが、それでもトーナメントを戦ったことで、将来的にUFCで戦うチャンスは広がることがあると考えることはできますか。それとも、これでUFCを目指せなくなるのでしょうか。
「ミック・メイナード、ショーン・シェルビーが彼らの試合を視ている。ダナ(ホワイト)も米国に戻ってチェックする。ファイター達は自分のスキルを見せる機会を得ていたことは確かなんだ。例え試合に負けても、UFCの人間は選手たちの名前を知り、どういう戦いができるかを知った。敗者もこれからアジアで試合経験を積み……名前を挙げることはできないけど、UFCは彼らに注意を払い続けるよ」
──ところで決勝は2月の韓国大会で実施されるという……相当に実現性の高い噂が跳び回っています(笑)。
「アハハハハ。まだ決定したわけじゃないけど、ソウル大会での決勝戦はシナリオの1つであることは確かだ。来年、早いうちにファイナルが組まれることだけは絶対だと伝えておくよ(笑)」
──アジアでの人材発掘、今後もUFCでは続けていく予定でしょうか。
「それが僕らの計画だ。MMAが定着し、盛んになるには時間が必要な国もある。だからこそRoad to UFCを来年も開催し、今後も継続していくことを考えている」
──しかし、アジア全体が強くなると日本の立場もいよいよ危うくなりますね。
「ノー。ノー。そんなことはない。絶対にない。日本には多くの人材がいる。だからこそ、このトーナメントは必要なんだ。そういう選手がUFC関係者の目に留まるために。日本はアジアにおいて、その中心を担う」
──トーナメントは我々の期待通りの結果とはならなかったです。それでも半年前まで、日本人選手はどうすればUFCで戦うのか筋道が見えなかった。それがRoad to UFCがあれば皆も目標を定めることができます。
「その通りだ。Road to UFCはアジア全体を強くするだろう。そのうえで日本人選手達の底上げになると信じている。日本人選手がこのトーナメントを牽引することを信じて疑っていないよ」