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【DEEP JEWELS37】須田萌里戦=アトム級王座防衛戦、大島沙緒里―01―「8日は夫も講道館で試合が……」

【写真】夫婦揃って大勝負を迎える大島 (C)SHOJIRO KAMEIKE

8日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP JEWELS37で、アトム級王者の大島沙緒里が須田萌里を挑戦者に迎え、ベルトの初防衛戦を行う。

大島は2021年、DEEP JEWELSアトム級GPを制するなど、4戦して4勝。国内女子MMAの軽量級トップファイターとなった。しかし2022年初戦は3月、HIMEに判定負けを喫している。再起戦がタイトル戦となった大島、実はこの日は夫である柔道家・大島優磨も大切な試合を控えている。MMAファイター、妻、母という立場にある大島が語った葛藤とは――。


――試合を1週間後に控えてのインタビューとなります(※取材は5月1日に行われた)。もう追い込みの練習は終わった頃でしょうか。

「まだやっているところですね。私は試合ギリギリまで練習しているほうだと思います。スケジュールはその時によって違うんですけど、今回は木曜日まで練習して、金曜日は動きを確認する程度で土曜日に計量という感じです」

――大島選手は2021年を4戦4勝という結果で終えました。すでに2022年に入って5カ月が経っていますが、2021年の結果についてはどのように考えていますか。

「去年は全ての試合で勝つことができて、私の中でも世界が変わりました。2020年末、パク・シウ選手に負けてからDEEP JEWELSのアトム級トーナメントに出場することについて、悩んでいたんです。でも出場を決めてからは1戦1戦、全力を注いできました」

――トーナメントで1日2試合を戦ったにせよ、国内女子MMAのトップファイターで年間4試合もこなせるのは、なかなか珍しいですよね。

「そうですね。私も子供がいるなかで、こんなに試合して大丈夫なのかな、と考えることがあるんです。でもオファーを頂いたからには、やるしかないかなと思って」

――「子供がいるなかで、こんなに試合して大丈夫なのかな」とは?

「試合が決まると、あまり子供に時間を割けなくなってしまいますよね。試合の日から逆算して練習やトレーニングのスケジュールを組んでいかないといけないので。すると、どうしても練習のことを配慮して、あまり子供と遊びに行くことができなかったり……。それは子供たちに対して、ちょっと申し訳なく思っています」

――お母さんがMMAの練習や試合で忙しいことについて、お子さんは何と言っているのでしょうか。

「子供はまだ3歳で、まだそんなに喋れないんですけど、どう思っているのか……。あんまりよく分かっていないと思います。でも最初に試合会場へ連れていった時は、泣いていました(笑)。でも今は、私の試合を見ていると、『ママ、ママ』と言ってくれています。

そんななかで、大きくなるにつれて、もっと子供のために時間を割きたいという気持ちが強くなっているんです。それでもプロのファイターとして、そこは割り切ってやっていきたいと思っています」

――母は強し、ですね。

「チャンピオンになって、今年は試合が減るかなと思っていたんですが、むしろ去年よりも多くなりそうですね(苦笑)。プロのファイターとしては、オファーを頂けることは嬉しいです。××とは戦いたくない、と他から避けられて試合が組まれないタイプの選手もいるじゃないですか。そういうタイプの選手と比べたら、私は恵まれているほうだと思っています。いろんな階級で試合をしていることもあって、私と試合したいと言ってくれる選手が多いので。でも対戦したいという選手が多すぎて、これだと試合ばっかりになってしまうなって(苦笑)」

――今回、須田萌里選手とタイトルマッチも、須田選手の挑戦表明から始まりました。他に大島選手との対戦を希望している選手といえば……。

「ミクロ級では村上彩選手が連勝していた時に、私と試合したいと言ってくれていて。にっせー選手もRIZINで勝ったあとのインタビューで、私の名前を出してくれたり。他の選手からもチラホラ聞きますし……」

――DEEPミクロ級とDEEP JEWELSアトム級、2冠王者の宿命ですね。

「結婚してからは夫(大島優磨)をサポートしないといけないのに、私の試合も多くなってしまって」

――ご主人は大島選手が結婚して柔道から離れたあとにMMAを始めて、ここまで試合が多くなっていることについて、何と仰っているのですか。

「全然、大丈夫だよと言ってくれています。でも家事や子育てを夫に任せてしまうと、罪悪感もあって。夫が柔道の現役選手で月に1回、1週間は合宿で家を空けるんですよ。その間は私一人で、子供のごはんとか送り迎えとかをやることになります。でも私の試合も入ってきたら……。コロナ禍で柔道の試合も少なくなっていて、ようやく夫の試合があるという時に、私の試合と被ってしまったので」

――お二人とも勝ち進めば、試合が被ってしまうことは仕方ないでしょうね……。

「実は次の試合、8日は夫も柔道の試合があるんです。しかも私は後楽園ホールで、夫は講道館で試合をします」

――えっ!? 同じ日に後楽園駅を挟んで徒歩圏内で、二人が試合をしているわけですか。

「全日本強化選手選考会といって、2022年度前期の全日本強化選手を選考するための大会が行われるんです。夫は中学生の頃から強化指定選手なんですけど、この大会で勝つかどうかで、引き続き強化選手となれるかどうかが決まります。そんな大事な試合の日に、私の試合が被ってしまって(苦笑)」

――大島選手の試合は昼興行として開催されます。ご主人の試合は……?

「柔道の試合は基本的に昼に行われるので、ほぼ同じ時間帯に試合をしていると思います。ゴールデンウィークで幼稚園もお休みなので、今は夫の実家で子供を預かってもらっています。試合が終わったらすぐ迎えに行きます」

<この項、続く>

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