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【UFC ESPN35】ダビデの星の空手家ナタン・レヴィ「上地流」「沖縄」「極真」「MMA」「型」「組手」

【写真】パリで生まれ2カ月でイスラエルへ。家庭ではフランス語、外ではヘブライ語を使って生活していたという(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)──ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN35「Font vs Vera」でナタン・レヴィがマイク・ブリーデンと戦う。

空手家レヴィが2つの空手で学んだこととは。


――ナタン、インタビューの時間を設けてくれてありがとうございます。

「オハヨウゴザイマス。こちらこそ、ありがとう」

――おお、早速日本語ですね。なぜ、その言葉が出るのかは追い追い話してもらいます。その前にですが、土曜日にマイク・ブリーデン戦が控えていますが、今の気持ちを聞かせてください。

「もう準備はできているよ。とにかくUFC初勝利が欲しい。前回は間違いをおかしてしまったから、僕がどのエリアでも戦えるウェルランディットファイターだと証明したいんだ」

――一本勝ちもしっかりとしているナタンですが、やはり日本の記者として空手との関わり方が非常に興味があります。

「空手は15歳のときに始めた。空手とクンフー。空手は上地流空手を習い、16歳の時に沖縄を訪れたんだ。その時は1カ月間、上地流の稽古をした。

稽古は当然楽しかったよ。何より沖縄の人々が素晴らしかった。何か困っていると、誰もが助けてくれる。1度、バス停で道場に一番近い停留所はどこか女性に尋ねたら、彼女は家が近所だったらしくて、車で僕を道場まで送ってくれたんだ。30分もドライブしてね」

――それは素晴らしい異国での思い出ですね。

「稽古もね、素晴らしかったよ。まずレベルが完全に誓っていたよ。沖縄は最高のマスターがいた。1年後に再び沖縄へ行き、今度は3カ月間稽古をして初段を習得したよ。

ただし、2度目の沖縄での生活は1回目のように楽しいだけのモノではなかった。内弟子制度のような形で滞在したので、とても規律が厳しかったんだ。朝早くから起きて他の弟子と稽古があり、道場でもぶっ通して稽古があった。

僕はお金もないからライスかパスタしか食べていなくて。でも、あの厳しい経験が今の僕を創ってくれたと感謝している。生徒は客じゃない。先生は雇い主じゃない。先生はボスだ。先生と一緒に食事に行っても、僕が何を食べたいか尋ねられることは一度もなかった。出されたモノを食べるんだ。

ヤンチャしている日本の若者は、両親の前で先生に竹刀で打たれていた。でも、それは良い人間になるための教育だと皆が理解していた。

沖縄での日々で技術だけでなく、最高のマナーを身に着けることができたと思っている。沖縄にいた日本人よりも、僕の方が規律のある人間だったと思う(笑)。全ては先生のおかげだよ」

――その空手からMMAに転向したのは?

「イスラエルに戻り、空手道道場を複数開き指導をしていた。充実していたよ。空手家の指導者として充実していた。指導をして生徒は成長するしね。でも、僕自身は下降線を下っているように感じたんだ。そしてインターネットでMMAを視て、すぐに興味を持った。道場を閉め、全てを捨ててラスベガスに移り住み、今こうやって戦っているんだ」

――そのような状況で極真空手の練習をするようになったのは、なぜですか。

「MMAを始めて、何が違った打撃を学びたくなったんだ。その時、友人が川口にある極真空手の道場を紹介してくれてね。2度、極真の稽古で日本を訪れた。そこでアルトゥール・ホヴァニシアン師範と出会い、イスラエルではアルトゥール先生の指導を受け、極真空手のレーニングをしてきた。今、普段はイスラエルに住んでいて極真のトレーニングをしている。ラスベガスに行ったときはMMAに集中しているんだ。

僕が思うに、極真の本分は競技にあると思う。マーシャルアーツは、どうしてもイマジネーションに走り勝ちだよね。でもケージ、リング、畳の上では幻想は通用しない。そこにあるのは圧倒的なリアルだけだから。

極真は伝統的な部分もあるけど、いかに有効な攻撃であるかが追求されている。ウェイトトレで強くなれるのなら、どんどん採り入れる。試合に勝つためのテクニックを貪欲に吸収して、時間を無駄にしない」

――空手といっても上地流と極真はまるで別物かと思います。

「イエス。護身と競技は違う。セルフディフェンスに裏回し蹴りは必要ない。でも競技では相手を驚かせる必要がある。ただし伝統的な規律や道義心は両方のスタイルの根底にあるはずだよ。

僕の場合、上地流では型にフォーカスしている。組手もあるけど、沖縄では型に力が入れられていた。極真は組手とボディコンディショニングが重視されている。スタミナや瞬発力がね。

MMAを戦う時、型が試合を助けてくれることは、まぁない。ただし、自分の体を知る上で型は欠かせない。型をすることで考えとボディがつながる。でも、組手の競技に出るときは組手に専念した練習が必要だよ。

僕は色々な競技を学んでMMAを戦っている。でも、技術だけでなく人格形成に大きくかかわっている空手が凄く大切で、自分のことは空手家だと思っているんだ。引退後はMMAだけでなく空手の指導もしたい」

――ナタンの言葉が説得力を持つのは、やはりMMAで勝った時かと思います。

「とにかくベストを尽くすことだよ。諦めない。このベストを尽くすということが皆に伝われば嬉しい。『勝て』じゃないんだよね。日本の人は『勝て』とはいわない。ガンバッテクダサイと言うよね。

でも土曜日の試合は、僕の手が挙げられるシーンを皆に見てほしい。作戦はあるけど、ケージでは何が起こるか分からない。作戦を軸にグラウンド、スタンド、空中でも使い切って僕が勝つ」

――空中も(笑)。ナタン、今日はMMAから離れてしまったかもしれないですが、とても興味深い話をありがとうございました。

「アリガトウゴザイマス」

■視聴方法(予定)
5月1日(日・日本時間)
午前5時30分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN35計量結果

<バンタム級/5分5R>
ロブ・フォント: 138.5ポンド(62.82キロ)
マルロン・ヴェラ: 136ポンド(61.69キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジェイク・コリアー265 ポンド(120.2キロ)
アンドレイ・オルロフスキー: 246ポンド(111.58キロ)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ: 145.5ポンド(66.0キロ)
ジョアンデウソン・ブリト: 145.5ポンド(66.0キロ)

<ライト級/5分3R>
ジャレッド・ゴードン: 155.5ポンド(70.53キロ)
グラント・ドーソン: 155.5ポンド(70.53キロ)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス: 145.5ポンド(66.0キロ)
トリスタン・コネリー: 146ポンド(66.22キロ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート: 185ポンド(83.91キロ)
クリシュトフ・ヨッコ: 186ポンド(84.37キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクサンドル・ロマノフ: 239.5ポンド(108.63キロ)
チェイス・シャーマン: 247ポンド(112.03キロ)

<フライ級/5分3R>
ダニエル・ダ・シウバ: 125ポンド(56.7キロ)
フランシスコ・フェイゲイレド: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ユアン・リネス: 169ポンド(76.66キロ)
ゲイブ・グリーン: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ライト級/5分3R>
マイク・ブリーデン: 155.5ポンド(70.53キロ)
ナタン・レヴィ: 155ポンド(70.31キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジナ・マザニー: 126ポンド(57.15キロ)
シェイナ・ヤング125.5ポンド(56.92キロ)

<フライ級/5分3R>
平良達郎: 125.5ポンド(56.92キロ)
カーロス・キャンデラリオ: 126ポンド(57.15キロ)

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