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【Shooto2022#02】山田崇太郎戦へ、修斗世界ライト級チャンプ西川大和「タイに移り住む予定でした」

【写真】理にかなっている。合理的な西川、その辺りも彼が結果を出し続けている部分に関係しているかのように思われる(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催される『プロフェッショナル修斗公式戦2022 Vol.2』で、修斗世界ライト級王者の西川大和が山田崇太郎と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今回の試合はウェルター契約、西川にとっては初のウェイトとなる。なぜ西川はウェルター級で戦うことを選択したのか。そして昨年11月、菅原和政戦後に表明した海外での練習は――。
その全てに答えてくれた西川の目には、格闘家として生きていくための決意と覚悟が見えた。


――昨年11月のVTJ以来の試合を控えていますが、VTJの菅原戦では勝利したものの、大きく右目を腫らしていました。試合後、右目が腫れた影響は何かありましたか。

「全くないですね。僕って顔が腫れやすかったり、鼻血が出やすい体質なんです。試合後に病院へ行っても特に何もなかったですし、3日後には腫れも全て引きました」

――そうだったのですね。菅原戦の直後には、海外で練習するという旨のコメントがありました。

「実は1年ぐらい前から、プーケットにあるAKAタイランドに行くことを決めていたんです。でも今はコロナ禍の影響で出入国が大変ですし、家で練習しています」

――なぜAKAタイランドに行こうと?

「まず現地は物価が安いこと。そしてトレーナーとして父がついてきても良いということだったので。米国のジムに行くと、各競技のコーチがいるじゃないですか。ただ、MMAの試合って、自分で考えなければいけないところが大きいと思うんです。その中で僕が信じているのは、自分自身であって。その自分自身の考えを実現できる練習環境でありながら、コーチにそこまで深く口を出されずに練習できる。そういう許可をAKAタイランドから頂きました」

――どれくらいの期間、AKAタイランドへ移行と考えていたのでしょうか。

「向こうに住む予定でした」

――えっ、移住するつもりだったのですか!?

「はい。物価も安いし、格闘技以外でも学ぶことは多いと思ったので、向こうで新しい人生を始めるつもりでいました。コロナ禍が明けて楽に出入国ができるようになれば、すぐにでも行きたいです。

日本にいると、余計なストレスが掛かったりすることもありますよね。でも海外のジムには、それぞれ自分の考えと目標を持っている選手が集まっているし、余計なことを考えたり悩んだりすることがない。そういう環境で練習したいと思っていました」

――ということは次の山田戦が、日本では最後の試合となる可能性もあるのでしょうか。

「この1年間で、いろいろ海外のプロモーションとも話をしていました。それで今回が日本では最後の試合になるか、もう1試合やるか……ただ、今年は日本にいようと思っています。まだコロナ禍で出入国にいろいろな条件があるので。あとは日本でもまだ自分の穴を埋めたり、テクニックの向上ができる部分は見つかっていて。1年後には出入国の規制も少なくなっているので、タイへ行くのはそこからですね」

――これまで海外で練習した経験はありますか。

「以前、TOP FCで試合をした時に、KTTで練習させてもらったことがあります」

――その時、日本での練習と海外の練習で、何か違いを感じることはありましたか。

「……特にないですね。日本の選手がよく『海外には強い選手がいるよね』って言うじゃないですか。でも、それって当たり前のことなんですよ。当たり前だと思っているから、海外のジムへ行っても、特別な違いを感じなかったんだと思います」

――当たり前、というのは?

「海外のジムには、自分のバックボーンを生かしてMMAでお金を稼ぎたい、という選手が集まっているじゃないですか。そういう目標を持って集まっている選手が、弱いわけがないんです。むしろ日本では、当たり前のことに対して騒ぎすぎじゃないかなって。僕はそれが普通だと思っているので。

僕の父親が言うのは、今は普通の人がプロになりすぎているんだと。たとえば、最近は格闘DREAMERS出身の選手が凄いって騒がれていますよね。でも僕にとっては、格闘DREAMERSに出ている人たちのように、何かしらのバックボーンがあって強い人たちがプロになる状況のほうが、競技として当たり前だと考えているんですよ」

――……。

「野球だと、甲子園で優勝しているような選手がプロになりますよね。でも日本のMMAは、そうじゃないところがある。それってある意味、格闘技がナメられているんじゃないか、とすら思います」

――だからこそ、そうした同じような目標を持つ選手が集まる海外のジムを選んだわけですね。ただ、タイへ移住する場合、生活面で不安はないですか。特に金銭面など……。

「それはジムからも話は聞いていて、物価も安いし生活費は問題ないです。あと、3カ月のトライアウトみたいな期間を経て、ジムのメンバーとして認められたら、寮費も必要なくなるんです。それなら練習して、試合で勝って、余計なことはしなければいい。それが選手の役割ですし、その役割を果たすために、格闘技に集中できる環境だと思っています」

<この項、続く


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