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【LFA124】アフガンからアメリカへ。ハッサンザダがウィルソンを切り裂き、LFA初陣で判定勝ち

【写真】生死に関係する意味でも、人生最大のピンチを成功への一歩としたハッサンザダ(C)LFA

<ライト級/5分3R>
アフマッド・ハッサンザダ(アフガニスタン)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ジェイムス・ウィルソン(米国)

アフガニスタンはカブールの警察署で徒手格闘の指導をしていたハッサンザダは、タリバンの標的となり襲撃を受けて空港へ避難を図った。その際に米国軍兵士に自身の身の上とMMAファイターであることを告げると、撤退する軍用機への搭乗が許され米国へ。チームアルファメールで練習するようになった。

しかし両親は今もアフガニスタンに残っており、ハッサンザダは法的な解決のために必要な資金をMMAで得る決断をし、LFA出場という運びになった。とはいえ技量的に北米に通じるかは、未知数だ。

アフガニスタン・イスラム国の国旗をまとって入場したハッサンザダと対するウィルソンはキャリア4勝0敗、スタンフォード大レスリングクラブ出身でKING MMA所属のファイターだ。ジャブからローを伸ばす両者、ハッサンザダがワンツーで前に出てロングアッパーを伸ばす。ダブルジャブ&アッパーを見せたハッサンザダは、ダブルレッグでテイクダウンを許すとガードを取ってエルボーを放つ。

ウィルソンは腰を上げてパウンド、ハッサンザダが頭を引き寄せる。ハッサンザダの蹴り上げを掻い潜って抑えにかかったウィルソンは、三角絞め狙いからの草刈りスイープにもトップをキープする。ウィルソンは足を一本抜き、ケージにハッサンザダを押し込んでいく。ケージキックもスクランブルに持ち込めないハッサンザダは、下から打撃を続ける。残り1分を切り、引き続き下からエルボーを当て、立ち上がったウィルソンのバランスを崩しになかったハッサンザダだがガードを取ったままで初回を戦い終えた。

2R、ジャブから右を伸ばすハッサンザダが、ワンツーで右を当て、アッパーを打ちこむ。さらに右エルボーを打ち込み、ヒザ蹴り、エルボーで額をカットしたウィルソンに右ストレートを当て、ダブルレッグをスプロールする。シングルに切り替えたウィルソンのボディを殴るハッサンザダは、立ち上がって離れることに成功する。

ここでウィルソンにドクターチェックが入る。試合は続行され、ハッサンザダがジャブから再びエルボーを狙う。ウィルソンも右フックを振るい、右ストレートにシングルを仕掛けテイクダウンを決める。ハッサンザダはここもエルボーを入れ、腰を切って腕十字を狙う。ウィルソンは腕を抜き、ガードの中に収める。

トップにいても足を抜けず、有効なパウンドも落とせないウィルソンが鉄槌を落としていく。ハッサンザダも下からエルボーを見せるも、クローズドを続けている。鉄槌に切り替えたハッサンザダが、エルボーを打ちつけると鈍い音が響く。ウィルソンは胸をつけて抑え、時間に。

最終回、ウィルソンがスーパーマンパンチを振るうが空振りに。ハッサンザダが右ローを蹴り、ジャブから前蹴りを繰り出す。ウィルソンはシングルからハッサンザダを肩に担ぎテイクダウンへ。足首を掴んで防ぐハッサンザダが足を組んで横三角へ。右腕を入れ、絞めを防いだウィルソンは、立ち上がったハッサンザダをケージに押し込む。

ハッサンザダは小手投げから、引き込んでクローズドガードの態勢に。ここはマイナス評価か。ウィルソンもガードの中で動きが少なく、時間は残り1分を切る。このタイミングでレフェリーがブレイクを命じず、ハッサンザダはオープンガードへ。ウィルソンがパウンドを空振りし、ハッサンザダが下からパンチを繰り出してタイムアップに。

2Rは明確にハッサンザダ、初回と3Rはトップで抑えたウィルソンと、下から打撃を見せたハッサンザダの何れが優位と判断されるか。解説を務めたギルバート・メレンデスは、ハッサンザダを支持している。結果、フルマークでハッサンザダが判定勝ちを決め、通訳を務めた人物が、『彼はこう言いたいんだ』と前置きをして「入国を認めてくれた米国政府、米国兵の思い遣りに感謝している。家族が国境を越えて、ここにやってくるための第一歩になった。父、母、アフガニスタンの皆のサポートに感謝している。次は100パーセントの準備をして試合の臨む」と話した。


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