【Bellator272】Bellator本格参戦、世界バンタム級王座挑戦へ。堀口恭司「いつも通り、大丈夫です(笑)」
【写真】2019年6月以来のベラトール参戦。本場での戦いは、やはりワクワクする(C)BELLATOR
12月3日(金・現地時間)、コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナで開催されるBellator272で、堀口恭司がBellator世界バンタム級王者セルジオ・ペティスに挑戦する。
昨年大晦日の朝倉海戦から約10カ月、米国及びBellatorで戦うのは2019年6月のMSG大会=ダリオン・コールド戦以来となる。いつも通りATTで調整中の堀口にリモート・インタビューを行うと、大一番を前にいつも通り──和而不同の堀口恭司がいた。
──お久しぶりです。
「スイマセン、朝早くから」
──全く問題ないです。9月にBellatorとの契約が発表され、その40日後に初戦がBellator世界バンタム級王者セルジオ・ペティスに挑戦することが明らかになりました。今の調子はいかがですか。
「まぁ、いつも通りという感じですかね。いつも通り、大丈夫です(笑)」
──まずはなぜBellatorだったのか、ここでUFCという選択肢はなかったのかを教えていただけますか。
「Bellatorに1試合だけ出場して、バンタム級のベルトを獲り、ケガのために返上しました。それでRIZINでカムバックし、そのままUFCへ行くのは筋が通っていない。次の舞台に行くにしても、ちゃんとベルトを獲り返し、チャンピオンとして仕事をやり切る。その方がスッキリしているじゃないですか。自分の気持ちとしてもBellatorの王者として、やるべきことをしたいと思いました。
きっとRIZINの大晦日で勝って、ベルトを巻いた時点でUFCと契約することはできたはずです。でも、それって何か違う。BellatorがRIZINと提携して、初めて両方の団体のベルトを獲った。そして、両方の団体のベルトを返上した。それでRIZINのベルトを獲り戻し、バイバイというのはちょっと違います。UFCに行くなら行くで、Bellatorのベルトもさっき言ったように獲り返して、仕事をして『ありがとうございました』というのを見せてからですよね」
──その仕事するなかに年に1度、日本で試合をすることが含まれている。それがBellatorを選択した理由の1つになっていますか。
「日本で1試合する云々もBellator次第です。今はBellatorの契約下にあるので。そこは榊原さんとスコットが決めることで、自分は関与きないのが本当のところです」
──なるほど。というのもメジャーのBellatorと契約して、年に1度は日本で戦えるという契約はMMA業界において画期的で、それはBellatorとRIZINの関係があるからこそ可能になったと思います。クロスプロモーション自体、メジャーではほぼあり得ないことでしたし。
「セルジオ・ペティスも自分と戦ってBellatorだけでなくRIZINのチャンピオンにもなりたいと言っているみたいですし、そうやってBellatorとRIZINで交流戦が実現すればファンが喜ぶ試合も増えますよね。本当はBellatorとRIZINだけでなくてUFCや他の団体も、そんな風になっていけばもっとMMAは面白くなる。自分はそういうことを目指しているので、今回Bellatorを選択したのも、その一歩という感じです。
スコット・コーカーと榊原さんが話し合った結果、クロスプロモーションが実現した。そういう意味では、自分には良いタイミングだったと思います」
──堀口恭司という存在だからこそ、それを成しえることができた。そこに続けとばかり、Bellatorを戦いながら年に1度日本で戦うだとか、BellatorとRIZINのパートナーシップにより、日本でBellatorのトップファイターに勝つという気持ちでいても、日本人選手の現状としてそんな甘くはないはずです。Bellatorで勝つこと、Bellatorのトップ選手に勝つことは。
「まぁ、そうですね。だからこそ若い選手に対して、強くなればこういう風に道も開ける。そこを先頭に立って見せたいです」
──その一歩となるセルジオ・ペティス戦。ペティスの印象を教えてください。
「もちろん、強い選手です。大まかに言えばキックボクシング主体で、柔術もできる選手。あまり自分の方からの仕掛けは強力ではなくて、カウンタータイプですね」
──強大な武器、特徴があるわけではない。全てそつなくこなせる。だから、そこまで怖くないと思っていたのですが、だからこそ結果を残せているようにも感じます。
「あぁ、穴が無いからですね。これだって言う抜きんでたモノがなくて、だから怖くないと思っていると、穴の無い強さで勝つ……みたいな。だからバランスが良いですよね。テイクダウンも取られないし、キック独特の体幹の良さもあります。同時にフィジカルに優れているわけでもない。背も自分より、少し高いぐらいで。まぁフィジカルに関しては、デカかろうが、小っちゃかろうが別に関係ないって感じですかね」
──勝負の鍵は、やはり出入りとレベルチェンジでしょうか。
「MMAですし、自分も新しい技術を身に着けています。相手ができないことを仕掛けたり、自分の前のスタイルにないことを見せて意表を突く……突くことができれば良いですね」
──昨年の大晦日から11カ月、ATTでどこを伸ばしてきましたか。
「全体的に伸びています。打撃でもフェイントだったり、小細工ができるようになりました。ただ打撃だ、レスリングだ、寝技だという風に個々の部分ではなくてMMAとしての使い方。そういう部分ですかね、やってきたことは。選択肢は他の選手より、全然多いと思います」
──組みが受けも攻撃も強くなっているのは、ここ数年顕著でした。その部分でも攻めることができるようになっています。
「まぁどんなポジションでも、そこが危険な場所であっても対処方法が分かっているので、変にスタミナを失くすこともないです。『アッ、ヤバい』と思うことがそんなにないので」
──4年半の間はリングが主流でしたが、ケージでも強いという戦い振りでした。
「まぁ戦ううえで、場所がどうのこうのというつもりもないですけど、自分はケージの方が戦いやすいです。リングはパンパン、外に出てしまうので……あれはどうしようもないですよね。戦い辛いといえば、戦い辛いです」
──それだけケージ際のクリンチの攻防に自信があると。
「う~ん、まぁ日本にいた時よりは上手くなっています」
──打撃だとサークルよりも、四角いリングはコーナーに追い込める。逆にケージだと、対戦相手も足を使って回りやすい部分はあるかと思いますが。
「いや、ケージの方が追い詰めるのは簡単ですよ。相手が回ろうが、足は自分の方が速いので。足の使い方は自分の方が上手いから、問題なく捕まえることができます」
──セルジオ・ペティス戦に向けて、今回はどのようなメンバーと調整してきましたか。
「ペドロ・ムニョス、アドリアーノ・モライシュ、パウロ・サントス、柔術ができてキックボクシング系のブラジリアンと結構やってきましたね。パウロは試合ではバンタム級なんですけど、普段は160ポンドとかあってデカいんですよ。そういう選手ともやってきたので力負けをすることもないという感じですかね」
──堀口恭司が戦うことで、Bellatorに興味を持つファンも多いと思われます。そんなファンにバンタム級戦線で気になっているファイターの名前を挙げてもらえないでしょうか。
「まぁ、強い選手はいますよね。名前は良く分からないですけど(笑)」
──出たぁ(笑)。
「あのレスラーとか……」
「あっ、そうそうそう。そいつです(笑)。そのスタッツが勝ったロシア人……」
──マゴメド・マゴメドフですね(笑)。
──ダニー・サバテーロ、Bellatorでも同門に強豪がいますね。
「それが嫌なんですよね。まだ花開いていない感じじゃないですか」
──だからこそ、チームメイトだろうが食ってやろうという風になりそうです。
「上を食ってやろうとはしていますよね。嫌ですけど、やるとなったら自分もやるしかないです」
──以前からチームメイトと戦うのはタイトルマッチだけという風に堀口選手は言っていましたが、サバテーロと戦うのも当然ベルトを賭けた場合ということですね。
「Bellatorは自分がチャンピオンになったら、タイトルマッチしか組まないでしょうし。だから、逆にそこしかやる道はないですよね」
──では最後に日本でU-NEXTを視聴して、堀口選手を応援してくれるファンに一言お願いします。
「海外でも日本人が熱くなる、日本人は強いんだぞっていうのを見せたいと思うので応援よろしくお願いします」
■視聴方法(予定)
12月4日(土)
午前9時00分~ U-NEXT