【Pancrase325】12月12日、雑賀ヤン坊達也と王座統一戦、久米鷹介「怖くて、リスペクトできる相手」
【写真】マスクがsmArtなのは、『ALIVEがマクスを創らないから(汗)』だそうだ (C)MMAPLANET
12月12日(日)に東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるPancrase325=スタジオコースト・フィナーレで、久米鷹介と雑賀ヤン坊達也の間でライト級KOP王座統一戦が組まれている。
パンクラス参戦は2年8カ月振りの正規王者・久米は、RIZINに挑み長い間留守にしたホーム凱旋に何を想うのか。
そして暫定王者=KOアーチストの雑賀に対する印象、変わりゆく自身の目に映る周囲──など、10月26日に行われた調印式直後に行った久米インタビューをお届けしたい。
──12月12日、ヤン坊選手との王座統一戦。パンクラスは随分とご無沙汰していました。
「ハイ、(※2019年4月の)トム・サントス戦が最後だったので2年8カ月振りになります」
──修斗王者との対戦で勝ち、しかしONE参戦がなく。それでもずっとチャンピオンベルトを巻き続けることは許されていました。
「ベルトに関しては、パンクラスさんとも話し合いをさせてもらったこともありました。自分が持ち続けて良いのかと。それでもチャンピオンのままで、RIZINにも挑戦させてもらって……。そこで統一戦を戦ってほしいと言ってもらえたので、ベルトを持ち続けていました。
それなのに武田光司選手に負けてしまった。そこは本当にパンクラスには申し訳ないとは違うのですが、何といって良いのか複雑な気持ちでした。DEEPのチャンピオンに負けた形に戻って来る形になってしまったことも」
──その武田戦からも9カ月のインターバルが空いたことになります。
「この間、しっかりと自分を見つめ直してきました。ヤン坊選手の事情も分からないのですけど、自分がRIZINでチャレンジしていた間、待たしてしまった形になっています。そこに関しても、同じファイターとして気に掛かってはいました。
先ほども言いましたが、DEEP王者に負けた自分に統一戦を戦う機会を与えてもらえ、感謝しています。統一戦は自分のなかで、戦っておきたいという試合だったので。その統一戦というものがあるなかで、負けて戻って来るリスクをパンクラスも持って送り出してくれたので、やはり勝たないといけなかったです。
正直、負けて戻ってきて防衛するというのは恥ずかしいことです。それでもパンクラスが待ってくれた。そこには自分も報いたいという気持ちです」
──MMAです。勝ち負けは当然ついて回ります。申し訳ないなんて絶対に口にする必要がないと思いますし、でもそこに近い感情を持つことも、久米選手らしいです。
「そうですね、申し訳ないのとは違うんです。ただし、この感情のなかに感謝の気持ちは絶対にあります。結果的に万全の状態で戦えるタイミングで、組んでもらった形になり……そうですね、感謝しています」
──そしてヤン坊選手です。NEXUS時代に1敗こそしていますが、強烈なKOレコードを持っています。そして、未知数な部分もあります。それにしてもあの勝ちっぷりを見て、恐怖心を感じることはないですか。
「それはあります。あそこでしっかりと倒す……底は見せていないですが、あの倒し方を見ていると怖さを感じます」
──この試合、テイクダウンの攻防が一つのキーになりそうです。
「ヤン坊選手は長岡(弘樹)選手と練習しているので、テイクダウンディフェンスは相当なモノに違いないです。それにヤン坊選手が相手でなくても、MMA自体が打撃から入る戦いで、テイクダウンディフェンス能力は皆が上がっています。組んで倒すだけっていうのは、通用しないです。そこがあったうえで打撃もやって、日々MMAに取り組んできました。
試合が決まってから正式発表まで間が空きましたが、この期間もヤン坊選手対策よりもいつも通り、自分を高める練習を中心にやってきています。そうやって自分の力を上げておいて、試合が近づいてきたら対戦相手にフォーカスした練習に切り替える。それは今回の試合も同じです」
──MMAのプロ練習はどのようなメンバーで行っているのですか。
「今は(日沖)発さん、竹本(啓哉)君、春日井(たけし)君、(村元)友太郎とか。トッキー(透暉鷹)とは、違う曜日にグラップリングの練習をしています。ただトッキーは発さんのプライベートを受けているので、前回の試合前とかも一緒にしていました。どうしでも組みが多いですけど、週に2回はやっていますね」
──練習仲間の名前を聞いていると日沖選手はともかく、ほとんど年長者になってしまったのですね。
「あぁ、そうですねぇ……。年齢的には、そうですね」
──日沖選手もジムを開き、春日井選手は引退。久米選手の目に映る光景も相当に変わってきたと思います。
「練習環境としては、発さんは『指導が増えて、体重が落ちた』とは言っていますけど、今も普通に一緒に連取をしているし、変わらず強いです。凄くしぼれていますよ。僕自身も色々なトレーニングに挑戦して、進化し続けることができています。それと今は米国に行っていますが、ANIMAL☆KOJI選手が帰国したら、また一緒に練習することになると思います。僕の1週間後にKrushで試合があるので。ジムをオープンして回数は減っていますが、加藤(久輝)さんもとも、またやっていくことになるはずです。でも、そうやって考えると発さん、加藤さんも自分のジムを持っているので、確かに変わってきていますね」
──久米選手も将来を考えることが増えてきたのではないでしょうか。
「いやぁ、どうしますかね。アハハハハハ」
──アハハではないですよ。
「う~ん、そうですねぇ。将来のことは……」
──ピッカリさんの後を継ぎますか。
「いや、それだけは!! それ以外であれば、何でもやります。でも、そうですね。春日井君も引退したし……まぁ、考えないことはないです。でも、まだ強くなりたいという気持ちが上回っています。やれるところまで、やり切りたいです」
──では統一戦後の青写真も描けていますか。
「オファーが来たらということですが、強さを求めてやっていきたい部分……その時に自分が戦うことができる一番強い選手と戦っていきたいです。今まで支えてくれたり、お世話になってきた人達に恩返しじゃないですが、そういう想いを持って戦っている部分は少なからずあります。
だから戦う舞台とか以上に、自分のモチベーションが高く持てる相手に対して、自分がしっかりと創って挑む姿を……残り何戦か分からないですが、見せていきたい。そこに繋がる舞台で戦いたいというのは、常に思っていることですね。
そういうなかでヤン坊選手は、怖くて、リスペクトできる相手です。リスペクトできる相手と戦いたい、それもずっと思ってきました。リスペクトできるから恐怖を乗り越えるために全力で挑める。良い日々を今も送っています」