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【Gladiator015】一慶戦へ、藤井章太─02─「海兵隊の中には、レスリングの州王者クラスがいます」

【写真】人間にはガツガツしている時の強さとは別に、ガツガツしなかった時に見につく強さがある。その強さ──気になるマリーンのレスリングのステイツ王者との練習の成果を藤井は見せることができるか (C)MMAPLANET

26日(日)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGladiator015に出場するミドル級王者・藤井章太のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

3年ぶりとなるMMA、それは藤井にとって、どのような意味を持つのか。MMAを指導している生徒たちに試合を見せたい――そう語る藤井に、現在の練習環境と次の試合について聞いた。

藤井から返ってきたのは、ベテラン選手らしい確固たる格闘技観だった。

<藤井章太インタビューPart.01はコチラから>


――藤井選手は現在、山口県岩国市で、どのような練習環境にあるのでしょうか。

「今はレオス柔術アカデミーのMMAクラスで練習相手もいますし――もともと岩国の米軍基地の中で、格闘技を教えているんですよ」

――岩国には、米軍海兵隊の基地がありますね。その中で藤井選手が格闘技を教えているのですか。

「僕が教えることもあるし、反対に教えてもらうこともあるという感じですね。凄いですよ。海兵隊の中には、レスリングの州王者クラスがいたりするので」

――そういった人たちが練習相手になるのですね。

「そうなんです。僕がMMAやキックボクシングなど、トータルな面で教えているんですけど、ディスカッションしながら僕が教わることも多いです。20代のレスリング州王者クラスですからね。体力もあるし、スパーリングもキツいですよ」

――米軍基地には、入ることすら困難なのではないでしょうか。

「大変でしたね。中にいる友人にエスコートして入れてもらい、基地内で指導を始めました(注:基地内に在住している米国人や日本人従業員が、諸条件のもとに外部の人間を基地内に招くことを『エスコート』と呼ぶ。エスコートなしに米軍基地に立ち入ることは、基本的に許されない)。

でもコロナ禍で、基地内に入ることもできなくなりました。すると、去年の12月ぐらいですね。みんなが基地の外にジムをオープンしてくれて、僕もそこで彼らとMMAの練習を行うことができるようになったんです。レオス柔術のMMAクラスにも、そうして知り合った米国人が来てくれています。僕としても、練習環境としては整ってきていると思いますね」

――なるほど。では次の試合についてですが、対戦相手の一慶選手の印象を教えてください。

「ベテランの選手で、体が大きいですね。体が強そうだなと思います。昔の試合を見ると、打撃が中心なのかなというイメージがあります」

――対して、藤井選手はどのように戦いたいですか。

「僕のことを打撃が得意なストライカーだと思っている人も多いんですよね。でも、僕としては何をどうやりたい、というものはないです。打ち合うなら打ち合うし、組み合うなら組み合います」

――今回復帰するにあたって、今後の目標はありますか。

「今後も試合するのは、タイミング次第ですね。今回の試合によるかもしれませんけど」

――……すみません、一ついいですか。

「はい、何でしょう?」

――もしかして、藤井選手の中では今回の試合に対して、復帰という感覚ではないのでしょうか。

「あぁ、そうです。僕には復帰という感覚はないんですよね。試合がない間も、ずっと練習していましたし」

――そうだったのですね。失礼いたしました。

「いえいえ(苦笑)。確かに、昔はどんどん試合をしたかったし、当時これだけ試合間隔が空いていたら、復帰戦と捉えていたかもしれません。でも今は、そんなにガツガツ試合をしたいという感じもなくなってきましたね」

――それは、モチベーションの低下ではないのですか。

「何て言ったらいいのか……コンディションの部分もあるし、あとはメンタル的に試合をしたい時期もあれば、試合したくない時期もあるというか。新しくジムを作ったこともあって、格闘技が趣味程度といったら変ですけど、そこまで試合に出たいと思わなくなっていたのも確かです」

――……。

「もともと空手から格闘技を始めていて、昔から『どうしても試合をしなきゃいけない』という必要性も感じてはいなかったです。だから逆に、これだけ試合間隔が空いても、次の試合に対して不安は一切ないんですよ。それどころか、5年前の自分より今のほうが強いと思っているので」

――5年前より、どのような点が強くなっていると思いますか。

「肉体的な面でもそうですし、パワーもテクニックも以前より上です。そして、精神的にも成長していると思うところもあります。この試合をしていなかった期間は、むしろ自分にとってプラスだったと考えていますね」

――藤井選手もプロデビューは2004年で年齢も現在37歳、ベテランならではの考え方かもしれないですね。

「そうですね……以前は、ONEとか海外の大会に挑戦したいという気持ちがありました。韓国のRoad FCにも出させていただきましたね。今もその気持ちはありますけど――格闘技は格闘技じゃないですか。強くなるということは、今も変わらなくて」

――はい。

「特に生徒さんを指導している以上、自分自身も強くならないといけないし、強くなっている姿を見せないといけないと思っています。だから今度の試合は……圧倒的に勝ちたいです。強くなっているところを見せながら、KOで勝てれば一番いいですね」

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