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【Road to ADCC】えげつないバルボーサの加点殺法でタケットを返り討ち、改めてクレイグ戦呼びかける

【写真】20分間、特にポイントの入る後半10分にこれをやられ続けるとそれは苦しい(C)CLAYTON JONES/ROAD TO ADCC

17日(土・現地時間)にテキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンでRoad to ADCCが開催された。来年開催予定のノーギグラップリングの祭典=ADCC世界大会への前哨戦として位置付けられたワンマッチ大会は、注目の対戦が並んだ。
Text by Isamu Horiuchi

Road to ADCCプレビュー最終回は、クレイグ・ジョーンズとの注目の対戦を負傷欠場で逃したルーカス・バルボーザが、ポイントルールの特徴を生かした足を戻させて、得点加算方式のえげつない試合を代役ウィリアム・タケットにやってのけた一戦を振り返りたい。

<88キロ級/20分1R>
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
Def. 34-0
ウィリアム・タケット(米国)

当初バルボーザと対戦予定だったクレイグ・ジョーンズの手の負傷により、実現したこの試合。昨年バルボーザに抑え込まれ完敗したタケットとしては、進歩を見せてリベンジを果たしたいところだ。開始時から引き込むとペナルティを取られることもあり、まずは両者ともスタンドレスリングで戦う。

アトスの代名詞である、相手の首をつかんで押さえつける動きを多用して前に出るバルボーザは、4分過ぎにダブルレッグに入り豪快にテイクダウンに成功した。クローズドガードを取ったタケットがやがてガードを開くと、バルボーザは低く入ってボディロックへ。

強大な上半身でタケットの腰を固定したまま片足を越えようとするが、距離を作られる。その後もバルボーザは低い体勢からの侵攻を試みるものの、タケットは足を利かせ腕でフレームを作り、または掌で口を塞ぐという手段で守っている。

やがて蹴って距離を取ることに成功したタケットは、再びバルボーザが入ってくるところに、インバーテッドの形から左足を掴んで足を絡めることに成功。ヒールを嫌がって背中を向けたバルボーザのバックを狙うが、反転を許し正対される。

前回の対戦ではバルボーザのボディロックパスを許したタケットだが、ここまでは譲らず渡り合っている。

低く入ったバルボーザは、再びボディロックへ。タケットはラバーガードのロンドンの形で自らの右ヒザ裏を通してグリップを組み、バルボーザの体を押し戻そうとするが、動かざること山の如し。

やがてタケットがグリップを解くと、すかさずバルボーザはその左足を跨いでハーフで胸を合わせたのだった。

最重要ディフェンスラインをついに超えられて動きを封じられたタケットは、足の力を抜いてマットに投げ出してバルボーザのパスを誘う。いったんそれに乗ったバルボーザはサイドに出るが、残り約30秒で加点時間帯ということを悟ってか、タケットの上半身をがっちり固めたまま再びハーフの中に入った。

相手を抑えたら動かさない、自分も無駄な動きはしない。見る者には優しくないが、優れて合理的な戦い方だ。

そして加点時間帯が始まると、バルボーザは絡まれている左足を抜いてサイドに出て3点。胸を合わせられて動けないタケットに、さらにニーオンザベリーの体勢を作って加点する。その後サイドに戻ったバルボーザは、あえて一度ハーフの中に入ってからパスし、マウントへ。

こうして上半身のロックは解かないまま、バルボーザはどんどん点を重ねていった。

17点を失った後、タケットはやっとインバーテッドから距離を作ることに成功。一旦離れたバルボーザだが、再び低く入ってボディロックを作った。

その後は同じことの繰り返し。バルボーザが上半身のプレッシャーでタケットの動きを封じたまま、試合終了までパス、マウント、ニーオンザベリー等で加点を続けていき、実に34-0というスコアで勝利した。

動きたいタケットにそれを許さず完勝したバルボーザは「良い気分だ。クレイグ、俺はいつでもいい、今からやろうぜ。ウィリアムはタフキッドだけど、クレイグと同じ戦い方をするから準備に問題はなかったよ。俺は88キロのほうが速く動けるし、スタミナも全然あるし、よりテクニックを使えるから気に入ったよ。本当はフィニッシュしたくて、ノースサウスチョークやキムラ、ヘッド&アームのカタグルマ(肩固めの間違いか?)を狙ったけど、ウィリアムはすり抜けるのが上手かったんだ」と、欠場したクレイグ・ジョーンズとの対戦を呼びかけた。

見ていてあまり面白いとは言い難いバルボーザの戦い方だが、きわめて強力にして打開が困難な壁を相手にジョーンズはどう動きを作るのか、傷が癒え次第、対照的なスタイルの両者の対戦に期待したい。


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