【UFC111】GSP、強すぎるが故に消化不良?王座防衛
■第9試合 UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R
[王者]ジョルジュ・サンピエール(カナダ)
Def.5R終了/判定
[挑戦者]ダン・ハーディ(英国)
【写真】この日もまたGSPのテイクダウンショーとなってしまった王座戦。長丁場となった25分間、ハーディには一度も勝機は訪れなかった (C) ZUFFA
ブルース・バッファーのコールに、逐一反応しポーズを決めるハーディ。一方、館内の大声援が起こるなか、コールを受け一礼するジョルジュ・サンピエール(以下、GSP)。試合が始めると、まずは左へ回り、距離を取るハーディに対し、徐々に歩を詰めるGSPがダブルレッグで一気にテイクダウンに成功する。
右側へハーフガードの態勢になったGSPに対し、ハーディはミッションコントロールからパンチを入れる。しかし、足元が疎かになり、ハーフガードからサイドを許してしまう。背中を向け立ち上がろうとしたハーディから、GSPはバックを奪う。両足をフックされたが、向きを入れ換えたハーディ。しかし、GSPはすぐにハーディの左脇を差し上げ、右足をキャッチしてテイクダウンを奪う。
ハーフガードから肩でハーディの顔を押しつけ、プレッシャーを与えると、GSPはマウントを奪取。パウンドを落としてバックマウントへ、前方に乗り過ぎて落ちそうになりながらも脇を差し、足をフックして、グラウンドへ移行してもポジションをキープする。残り30秒ほどになり、GSPは腕十字を仕掛け、ハーディの右腕は完全に伸びきったかのように見えたが、右側に向き直りエスケープに成功する。
2R、初めてハーディの左ジャブがGSPの体に触れるが、王者は構わず左ローを蹴り込む。打撃戦に付き合うことなく、シングルレッグで簡単にテイクダウンしたGSPは、ここでもすぐにパスガードに成功。成すべきことを次々と実行するGSPは、ハーディのボディにエルボーを落とし、ヒザをわき腹に突き刺していく。
ニーインからマウントを狙いつつ、ハーディの動きに合わせてバック、さらに腕十字と流れるように技を仕掛けるGSP。乗り過ぎた王者が、ガードの態勢になるが、ハーディは寝技で攻め手はなくスタンドへ戻る。飛び込んで右を放つハーディだったが、ステップバックしたGSPはローから右ストレートをヒットさせる。と、いきなりスーパーマンパンチを見せたGSPは、ハーディをのけ反らせると、一気にダブルレッグで寝技に持ち込む。クローズドガードで、このラウンドを耐えきったハーディは何とか2Rも戦い抜いた。
3R開始早々、ハーディの右ストレートに合わせてGSPがテイクダウン。クローズドガードを取るハーディに左のヒジを落とす。左のパウンド2発から、右側へハーフの状態となったGSPに対し、ハーディはフルガードに戻すと三角へ。GSPは首を引き抜き、左側にパス。腕を固めて、キムラアームロックの態勢へ。足を首で挟んで耐えようとしたハーディ。力を込めてアームロックをGSPが仕掛けたが、汗で滑ったか、腕を戻されてしまう。それでもサイドをとるGSPに対し、足を戻したハーディが立ち上がるものの、直後にまたも倒される。
テイクダウン→即パスと動き続ける王者が、ここでまたもバックマウントへ。前方に落とされそうになったGSPは、腕十字へ。腕を引き抜いたハーディの足を捉え、ヒールと思いきや、そのままリバーサルの要領でトップを奪う。
完全に試合をコントロールするGSP。ハーディは15分間、一度たりとも攻勢になることなく4Rを迎える。その4Rも開始早々にテイクダウンを決め、マウントを奪ったGSP。そのままバックへ回り、ハーディは右足を抱えて立ち上がるが、トップを取ったのはまたも王者だった。
この試合で何度目になるだろうか――、サイドを奪ったGSPは、ボディにパンチを落としながら、顔面にはエルボーを見舞っていく。頭をまたいでキムラアームロックを仕掛けたGSP。完全に極まったように見えたが、ここでもハーディは驚異的な忍耐力を見せ、耐えきってしまう。
ハーフから脇を差しにきたハーディに、GSPがヒザ十字を仕掛けようとしたところで4Rも終了。試合はついに最終回へ。ディフェンス一辺倒のハーディ、右腕をぶらりとさせ最後の5分間に臨む。思い切り右ローを蹴り込んだGSPが、ハーディがディフェンスを諦めたように見えるほど、当然のようにテイクダウンを奪う。三角、あるいはラバー狙いに反応し、パスから再びアームロックを狙う王者。しかし、ここでは無理をせずシングルを仕掛けてきたハーディからバックを奪った。
GSPは胸を合わせ、グラウンドへ移行し、潜りスイープに足をキャッチして耐えると、ハーフガードからキムラアームロックへ。腕狙いに固執せずサイドを取ったGSPだが、攻め続けても一本が取れずやや動きが雑になる。残り試合時間は1分、GSPはサイドからボディにヒザを落とし、バックを奪うと正面に回りダブルレッグ。何度も見られた勝利への過程を繰り返した王者は、最後の最後までアキレス腱固めで一本勝ちを狙う姿勢を貫くも、ここでタイムアップとなった。
ジャッジの裁定は聞くまでもなく、50-45、50-44、50-43でGSPに。「ハーディの腕はゴムだ(笑)。理解できない。ファンにはフィニッシュできなくて申し訳ないと思っている」と語った王者GSP、強すぎるが故に少し消化不良の一戦となってしまった。