【UNRIVALED】「まだ生きているよ」藤野恵実が組み技戦で、天皇杯3位の紫帯・山田海南江と対戦
【写真】がぶっても、これはダメ!! 上攻め重視のアンライバルドで藤野がどのようなMMAグラップリングを見せるか (C)KEISUKE TAKAZAWA
明日22日(土)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるグラップリング大会「UNRIVALED ALTANA」で、藤野恵実が出場しエキスパート59キロ級で山田海南江と対戦する。
MMAは一昨年12月以来、試合機会が巡って来ないQOP藤野は、3月のQuintetに続きグラップリングで戦うことを決めた。エントリー費用を納めて、試合をする──純然たるアマチュア組み技戦への出場に関して、「ひっそり試合がしたかった」と何度も言葉を重ねる藤野が、試合前日にインタビューに応じてくれた。
Unrivaled(アンライバルド)はグラップリングながら、最近流行りのノーポイント&サブオンリーではなく、またIBJJFノーギ柔術とも違う。柔道、サンボ、MMAグラップリング、柔術の技術をスポイルしない総合組み技格闘技を実践するために独自のポイント制を用いている。
テイクダウンは2P、引き込むと-2P、リバーサルで上を取れば2P、さらにマウント、サイド、バックマウントにも各2Pが与えられ、抑え込みとサブミッションからエスケープして立ち上がり、向き合うとエスケープで1Pが入るのも大きな特徴だ(サブミッションに関しては、下からの腕十字や三角、足関節を上の選手が逃げて立ち上がってもポイントとはならない。あくまでも下でサブミッションの態勢に入られたり、バックチョークなどの攻撃を受けている選手が技を解き、立ち上がってエスケープすることで加点される)。
もちろんサブミッションによるフィニッシュ、加えて投げ技でも背中から落とせば一本が認められている。そんなアンライバルドで藤野が対戦する山田海南江は2016年レスリング天皇杯48キロ級3位、社会人選手権でも上位入賞を繰り返したレスラーで、柔術ではTriforceからIglooに籍を移し紫帯を巻く。
柔術に偏らないためのグラップリング=アンライバルド・ルールにもっと適した山田との対戦を翌日に控え、藤野に話を訊いた。
──アンライバルドの対戦カードに藤野選手の名前を見つけて、正直驚かされました。
「ひっそりと出たかったのですが、SNSでプロマッチのように紹介されてしまって(苦笑)。ちょっと待ってよ……と。参加費払って出る試合なのにって」
──ともあれ、このタイミングでグラップリングマッチに出場するというのは?
「MMAの試合がなかなかなくて、相手やタイミングが合わないということで。もう1年半戦っていないですからね。ただケガもあって、ヒザの調子もあってMMAは難しいという時にQuintetの話を頂いて。それを機に出られる試合はどんどん出たいと思うようになりました。
それに立ち技でプロMMA選手がアマチュアの試合に出るというのも難しいのですが、グラップリングはプロやアマチュアという区切りはないので、出てみようと思いました」
──ではヒザの具合は?
「日常生活はできないけど、スパーリングはデキるという感じです」
──どういうことでしょうか(苦笑)、逆じゃないですか。普通は!!
「慣れているので、練習はアドレナリンと気を抜かないでいると大丈夫なんです。でも、日常生活は気を張っていないので……」
──なるほど、そういうことですか。ではアンライバルドですが、組み技といっても柔術家がすぐに座るケースが多いノーポイント&サブオンリーとも、IBJJFのノーギとも一線を画したポイント制を用いています。
「ルールに関しては、そんなこだわりはないです。ただアンライバルドの下重視では組み技ルールというのは、出ようと思ったきっかけにはなっています。あくまでも一番戦いたいのいはMMAですし、アンライバルドのルールだとMMAグラップリングでも戦えると思いました」
──それが……対戦相手はレスリングで実績を残している山田選手になりました。
「ほんと引き込まないだろうし、テイクダウンを取られるかもしれないですし。アンライバルド・ルールの利点が、こっちにない。だからひっそりと試合をしたかったです(苦笑)」
──これまで練習で顔を合わせたことなどは?
「私はIGLOOの女子練習に参加したことがあったのですが、その時には一緒ではなかったです。結局、時間的に合わなかったので、1度しかIGLOOの女子練に参加できていないのですが、あの後に彼女は入会したようです。
でも、このクラスのレスラーと組める機会もないので、これまでやってきたことを出したいです。相手ありきの出場ではないですし、エントリーシートを見て山田選手と戦うことを知りました。それこそ勝って当たり前の試合だと意味がないですし、強い相手で良かった……かな?(笑)」
──アハハハハ。59キロは藤野選手の体重ですよね。
「ハイ。試合が組まれるかどうか、一昨日まで分からなかったです。きっと体重を合わせてくれたのでしょうね。10キロも違いはないでしょうが、私の方が大きいです」
──では上を取ることが重視されたグラップリングで、どのような試合をしたいですか。
「正直な話、プロの試合は結果とチケットを買ってくれた人達のために面白い試合をしないといけないですけど、今回は完全に自分の練習と勉強のため。だから、試合内容はどうだろうが勝つことだけ考えて、自分ができることで一番得意なことをぶつけます」
──この試合をMMAに生かす、その気持ちは?
「もちろんあります。逆にもうMMAがないなら、この試合も出ていないです。まだ生きているよって、見せたいです」