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【F2W166】オールドスクール? 1周回って、新鮮&最新鋭=ジョシュ・シスネロスがピニェーロにレフ判定勝ち

【写真】パス→バックテイク。逆に新鮮な柔術を使い手シスネロス(C)F2W

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催された。今年7度目となったこの大会、今回もレジェンドからグラップリングの未来を担う超新星まで、北米在住の注目グラップラーが多数登場し、激闘を繰り広げた。
Text by Isamu Horiuchi

今回はダブルガードゲームをしない──現代柔術家=ジョシュ・シスネロスが、日本柔術界軽量級トップ選手のライバル=ルーカス・ピニェーロとの激闘をフィーチャーしたい。

<道着/10分1R>
ジョシュ・シスネロス(米国)
Def. 3-0
ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)

しばしスタンドで襟を取り合った両者。やがてピニェーロが引き込むが、瞬時に反応したシスネロスはすかさず右膝を入れてニースライスの体勢に。そのまま前にプレッシャーをかけたシスネロスは、潜るような形になったピニェーロの左脇を抱えて掬い上げての極め狙いへ。

さらにシスネロスがその左腕をキムラグリップに取ると、危機に陥ったピニェーロはスクランブルを試みる。と、その動きに乗じてシスネロスは素早くバックに。ピニェーロは立ち上がったが、煤ネロスは背後から見事に4の字ロックを完成させてみせた。

ピニェーロは、その4の字ロックを片手で外しながら体を揺さぶる。シスネロスはピニェーロの左足を抱えての締めを狙うが、ピニェーロは頭をずらしてシスネロスを前に落とすことに成功。と、次の瞬間逆襲のバック狙いへ。が、シスネロスは素早く前転し、さらに横回転でスクランブルしてピニェーロのガードの中に入ったのだった。ここまで僅か1分。軽量級の世界的実力者二人による、スピード溢れる見応え十分の攻防だ。

やがてシスネロスがピニェーロを抱えて立ち上がると、ピニェーロはガードを解いて素早く着地し、ルールで許されているスラムを巧みに回避してみせた。

試合は再びスタンドに。ピニェーロは素早いシングルからダブルの連携を見せるが、レスリング経験のあるシスネロスは倒れず。ならばとピニェーロはクローズドガードに引き込んでみせた。右膝を入れるシスネロスは、そのままニースライスを狙うが、ピニェーロのガードは開かない。

やがて自らガードを開けたピニェーロは、シスネロスのラペルを引き出してその右膝の裏に通して掴むと、このグリップを用いて前に崩して上を奪取。が、下になったシスネロスもすぐにピニェーロの体を引き付けると、右膝に乗せて後転してすぐにスイープを返す。が、ピニェーロも動きを止めずにスクランブルで再び上になり立ち上がる。シスネロスは下になりながらも、50/50を作ってみせた。ここまでで試合時間の約半分が経過。上からも下からも強い両者が、積極的に仕掛け守り合う一進一退の展開だ。

ピニェーロは、シスネロスの右足をストレートフットロックのグリップで抱えて、倒れ込む。対するシスネロスは逆にトーホールド狙いに。しばし足関節合戦が続いたが、お互い極めには至らない。

残り2分半ほどのところで、足の絡みを解除して立ち上がる両者。同時にピニェーロはシスネロスの右足を取ってのシングルレッグへ。が、左足一本でそれを堪えたシスネロスは隅返しでピニェーロを舞わせる。ピニェーロもすぐにスクランブルで体勢を立て直すと、シスネロスはそこにすかさず三角狙いへ。これまた見事な仕掛けだったが、ピニェーロもすぐに頭を抜いて危機回避した。

ラッソーを作るシスネロスに対し、ピニェーロは低くプレッシャーをかけながら、右に回ってのパス狙い。が、シスネロスは距離を作ってガードを保つ。ピニェーロは左足を取ってストレートフットロックを狙うと、シスネロスは立つ。残り僅かのところで、シスネロスが逆にトーホールド狙いを見せたところで時間切れとなった。

判定は3-0でシスネロスに。両者が存分に持ち味を発揮した熱闘だったが、シスネロスの序盤のパス狙い&腕狙いからの鮮やかなバックテイク、後半のシングルを切り返しての隅返しと三角狙い等の攻撃を考慮すれば妥当な判定だろう。

多くの軽量級強豪選手のように外回り&内回りを中心に試合を組み立てるのではなく、全方面からダイナミックに仕掛けて極めを狙っていった20歳のシスネロス。その戦いは、確かに軽量級柔術の未来を感じさせるものだった。


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