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【F2W164】レスリングの優勢のリオンが、ギロチン・トライのヒバマーにスプリットで敗れる

19日(金・現地時間)テキサス州ダラスにて、プロ柔術大会Fight to Win 164が開催された。

2週連続──今年5度目の開催となる同大会から、カナダのブラジルの新鋭対決=ダンテ・リオン✖マニュエル・ヒバマーの模様をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<ノーギ/7分1R>
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)
Def. 2-1
ダンテ・リオン(カナダ)

2年前のADCC参戦時に比べて明らかに上半身が大きくなったリオンは、気合十分の表情で前に出て素早くシングルへ。が、いかにも頑強な下半身を誇るヒバマーはそれを受け止めて振り飛ばす。

それでも前に出るリオンに対し、ヒバマーはその頭を抱えては足を飛ばす。動じないリオンは、一瞬のアームドラッグのフェイントからダブルで突進すると、豪快にヒバマーをテイクダウン。が、両者場外に出てしまい試合はスタンド再開となった。

その後も緊張感のあるスタンド戦が続く。リオンは積極的に前に出てはテイクダウンを狙うが、ヒバマーは腰を引いて対処。今度はヒバマーの方が飛び込む。これをリオンががぶろうとしたところで、ヒバマーは素早く体を起こして逆にがぶりに。リオンの首をギロチンで固めて圧力をかけるヒバマーだが、リオンは頭を抜くと即座に立ち上がり、逆にアームインギロチンで逆襲。が、体格に勝るヒバマーはそれを振りほどく。

残り3分。安易に下にならず、スタンドで戦い続ける両者。時にヒバマーはリオンの頭を強くはたくようにいなすが、リオンは一切気にせず前に出てスタンド戦を挑む。

残り1分。リオンは引き込むが、ヒバマーが付き合わないと見るや立つ。次にリオンはイマナリロールに。が、ヒバマーはこれも距離を取ってディフェンス。ならばとリオンは再びアームドラッグからのテイクダウンを狙うが、ヒバマーはここも腰を引いてディフェンスした。

残り30秒、またしても引き込んだリオンは、ハーフで右足に絡むと、もぐってヒバマーの左足を狙うが、ヒバマーは立ち上がってステップアウェイ。リオンは迫ってまた引き込み。が、ヒバマー距離を取る。試合終了寸前、ヒバマーが逆にテイクダウン狙いに出るが、リオンはそれをギロチンで切り返す。ヒバマーがそれを引き剥がすように頭を抜いたところで、時間切れ。終わった瞬間、勝利を確信したリオンは咆哮した。

しかし判定は2-1でヒバマーに。すると今度はヒバマーが勝利の咆哮を見せたのだった。露骨に不満な表情を見せたリオンは、ヒバマーが差し出した手を握りはしたものの、ハグに応えることはなかった。

スタンドで大半の時間が費やされ、お互い危ない場面のなかったこの試合。積極性という点では明らかにリオンが上回っていただけに、この判定は意外なものだった。ジャッジのうちの二人が、前半にヒバマーが仕掛けたギロチンを「この試合唯一有効なサブミッション狙い」とカウントした結果だろうか。そしてヒバマーも、そう計算したからこそ後半はほぼ逃げに徹したのかもしれない。

だとしたら、2試合前のホシャ対タザ同様、「(テイクダウンやポジション取りに対する)ポイントシステムがないが故の(サブミッションの形を作るという)ポイントゲーム」が、この大会では残念ながら勝利への有効な手段として機能していることになる。

そして極まらないサブミッションをアグレッシブとするなら、掛け逃げという流れに発展する可能性もある。組み技競技のルールデザインは、かくも難しい──。


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