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【ONE Unbreakable03】佐藤将光と対戦。誰も知らない、ファブリシオ・アンドラジの事実─01─

【写真】1997年10月10日、ブラジルのフォルタレーザ出身。2018年からアジアに拠点を移している (C)ONE

5日(金・現地時間)にONE116 03「Unbreakable 03」が中継され、同放送でファブリシオ・アンドラジが佐藤将光と戦う。

7月のONE バンコク大会で、コロナ禍契約といっても良い状況でONE出場を決めたアンドラジは、ムエタイと柔術が融合したスタイルでアベラルドを圧倒し、最後はRNCで一本勝ちを収めた。

強烈な印象を残したアンドラジが、ONE2戦目にして佐藤と戦うこととなった。試合の2日前(※1月20日)に、Zoomインタビューでファブシリオ・アンドラジとは何者か──に迫った。

そして──波乱万丈な人生を振り返ってもらう過程で、彼のグラップリングが決して付け焼刃ではないことが分かった。


──世界中のMMAファンが、去年の7月のONEタイ大会でのマーク・アベラルド戦で驚かされたと思います。ただし、日本のMMAファンはまだファブリシオのことをほとんど知りません。最初の格闘技経験は何だったのかを教えてもらえますか。

「13歳の時にムエタイを始めたんだ。子供の頃は当然のようにサッカー選手になりたかった。でも、そんなに上手くなくて。何かスポーツは続けたくて水泳をしたりしていた時、友人の1人がムエタイをやっていて一緒にやらないかと誘ってくれたんだ。練習を見学して凄く面白そうだったから、すぐにジムに通うようになった。

そして1カ月後には試合に出ていたんだ。自分にはこれが向いていると思ったよ」

──ブラジルは柔術やMMAは盛んで、それほど立ち技の人気が高いという印象はなかったです。

「以前はそうだったかもしれないけど、今はなかなか人気があるよ。それに僕が生まれ育ったフォルタレーザでは以前から定期的にムエタイの大会は行われていた。ただし、柔術と比較すると競技人口が少ないのは確かだったよ。柔術には長い歴史があるからね。

そして柔術をやっている者がムエタイを学び、ムエタイを練習している人間が柔術のトレーニングを始めることも少なくなかった。MMAを戦うためにね」

──ムエタイ時代は誰か憧れの選手はいましたか。

「ムエタイを始めた頃、ラモン・デッカーのファンだった。彼のスタイルは最高だったよ」

──どれぐらいムエタイの試合に出ていたのでしょうか。

「28勝1敗、それが僕のムエタイ・レコードさ。13歳でブラジル王者になり、14歳で南米王者になったよ。ユースのアマ・ムエタイでね。体重は50キロから52キロだったかな。16歳でプロになって、それからのレコードが28勝1敗でほとんどは中国で戦ったものだよ。

中国に行く前にブラジルで1度、MMAを戦っているよ。ブラジルにいた頃からムエタイ、柔術、MMAと全ての練習をしていた。

フォルタレーザではONEのようにMMAとキックボクシングの合同大会が開かれていたからね。どっちでも戦えるように準備していたんだ。ただ、本当のところはMMAに専念したかった」

──MMAでもヒーローはいましたか。

「そうだね、アンデウソン・シウバやヴィトー・ベウフォートかな。ジョゼ・アルドも好きだった。でも、フォルタレーザに住んでいては、MMAだけでは生活できない。キックでも十分に戦えるから、キックの試合に出ていたんだ」

──中国へ移ったのは?

「お金を稼ぐためだよ。中国では毎月のように試合に出ることができる。そこでファイトマネーを得ることができるからって誘われたね。そしてジムで寝起きをすれば、家賃も掛からないって。19歳の時だよ、四川(スーチュワン)省の成都(チェンドゥ)へ向かった。

成都の都江堰(ドゥージャンイェン)のジムに住んで練習をして、試合の声が掛かるのを待っていた。でも、そこのマネージャーと折り合いがつかず、もう成都にいるのが嫌になった。お金もなかったけど、とにかくあの街とジムにいるのは耐えきれなかった。

香港在住のブラジリアン、カポラルは2016年のアジアチコで優勝。MMAでもREALに来日するなど、15勝8敗の戦績を残している(MMAPLANET)

中国について半年後、香港でエスパーダ(剣)・ジムをやっているホドリゴ・カポラルが救いの手を差し伸べてくれた。

僕は香港へ向かい、2カ月間ジムにマットを敷いて生活をして、ホドリゴは食事も用意してくれた。

僕は彼に柔術とMMAを習い、ムエタイを指導した。1年間の香港でのトレーニングのおかげで、僕のグラップリングは凄く成長したよ。本当にホドリゴには感謝している。食べて、寝て、練習する。そんな時間を香港では過ごしていたんだ。ただし問題が一つあって……」

──それは何だったのでしょうか。

「香港にいると、試合の機会が全く巡って来なかった。結果、お金を稼ぐことのもハードだった。だからファイターとしてキャリアを積んでいくには、ずっと香港にいるわけにはいかなった。

キックだろうが、ムエタイだろうが、MMAでも誰とでも戦うつもりでいたけど、試合はできなかった。そうこうしている間に中国人のエージェントが、WLF(武林風)でキックの試合ができるようにしてくれたんだ。

WLFで2試合戦ってからプーケットに移った。カポラルのところは柔術アカデミーだったから、キックの練習相手がいなかった。それにタイは生活費が香港よりずっと安く済む。もっと立ち技を磨きたかったから、タイに拠点を置くことに決めたんだ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
2月5日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE Unbreakable 03対戦カード

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)
スタンプ・フェアテックス(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
佐藤将光(日本)
ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ムエタイ(キック)・バンタム級/3分3R>
ハン・ズーハオ(中国)
アダム・ノイ(アルジェリア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>※
ロビン・カタラン(フィリピン)
澤田龍人(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>※
ラウル・ラジュ(インド)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ティオル・タン(米国)
ポール・ルミヒ(インドネシア)

※2020年12月18日に収録

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