この星の格闘技を追いかける

【UFC170】ロンダに挑戦サラ・マクマン 「ロンダとは違う」

Sara McMann

【写真】MMAデビューは2011年5月、日本の赤野仁美やシェイナ・ベイズラー、UFCではシーラ・ガフに勝利しているサラ・マクマン(C)DAVE MANDEL

22日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターで開催されるUFC170「Rousey vs McMann」。同大会ではイベント名にある通り、メインでUFC世界女子バンタム級王者ロンダ・ラウジーにサラ・マクマンが挑む一戦が組まれている。

ロンダが2008年北京五輪女子柔道70キロ級銅メダリストなら、サラは2004年アテネ五輪女子レスリング63キロ級銀メダリスト。MMAでも7勝0敗のママさんスーパーアスリートだ。良くも悪くも(多分に良い方向で注目されいている)エキセントリックなロンダとは対照的に、控え目という評判のサラに、ロンダ戦について話を聞いた。
Text by Keith Mills

――UFC170でロンダ・ラウジーと戦うサラ、この機会を得てどんな気持ちだい?

「とてもエキサイトしているわ。オファーを受けた時、色々なことが私の身の回りに起きていて、ロンダと対戦するなんて全く期待していなかった。そんな時、突然の連絡があったの。本当に楽しみだわ」

──UFC2戦目で世界挑戦。MMAファンなら、サラがUFCに入る以前は堅実な選択をしてきたことを知っているけど、今回の対戦を承諾したのはそれだけの価値を見出したってことかな?

「私は浮かれたバカ騒ぎをするような人間ではないわ。ただ、言えることは……私はレスリングからMMAを通じて、19年もずっと戦い続けてきたの。そのうち、17年は全米レベルで競い合ってきた。オリンピック、世界選手権、ワールドカップを何度も経験し、全米、国際大会で戦って来たわ。そして、今、私が戦うスポーツで、最大のオファーがあった。いつ、MMAという世界で最高の場所で戦うのか、それだけが以前は問題だったの(※サラ・マクマンは以前、ストライクフォースのオファーを固辞し、ローカルプロモーションでキャリアを積むという選択をしていた)。

──オリンピック後は、以前とは違う環境にいたけど、UFC初戦は神経質になったり、プレッシャーを感じることはなかったかい?

「ジ・オクタゴン・ジッターズについては、たくさんの質問を受けたわ。でも、UFCで戦うことは、私が以前に経験したことのない何かを経験をすることだったと思うの。私は何事にも用心することに越したことは無いという性格だから、メディアが増えて物事が悪い方に進むとことにも適応しないといけないと、自分に言い聞かせていたわ。

でも、何もかもぶっ飛んだの(笑)。全ての経験が素晴らしいものだった。試合の1週間前から、ウォーミングアップの時も、試合中もとても楽しかったのよ」

──なるほど。ところで次の試合はタイトルが掛かっているけど、何かいつも違う感じはするのだろうか。

「そんなことないわ。実際に試合が始まってから、そんな風に感じないように自分の限界までトレーニングを積んできたから。試合になっても、練習してきたように動くこと。これまで繰り返し行なってきたことを、またするだけよ。トップレベルの戦いは、全て同じ、何も変わらないわ」

──対戦相手として、ラウジーの評価は?

「素晴らしい競技者よ。正確な年数は知らないけど、ずっと長い間そうだった。もちろん、ベースは柔道よね。米国女子柔道で初めての五輪銅メダリスト。どれだけメダルを取るまで時間が掛かったのは分からないけど、それは印象に残っているわ。彼の女はずっと柔道に専念してきた。私はレスリング。人生を掛けてきたアスリートが戦う。良い顔合わせよね」

──ミーシャ戦はどんな印象を?

「グレートファイト。しっかりと準備し、凄い戦いだったわ。女子MMAを代表して、激しいスクランブルを見せてくれた」

──何度もヒップトスで投げられたミーシャは、スタンドにいることが難しかった。ミーシャは3Rまで寝技での危機を凌いでいたけど、投げられ続けていたね。レスリングがベースのファイターにあれだけ投げが決まるということが分かり、スタイルを変化させる良い機会になったのでは?

「ノー。私は自分のスタイルは、何も変えないわよ。ミーシャも私もレスリングがベースになっているけど、レスラーといって一括りにはできない。ミーシャのレスリングは、いわばロンダの柔道に対してハイスクールレベルでしかないの。ミーシャは彼女のレスリングをしっかりとMMAに生かしているわ。でもね、ハイスクールレベルのレスリングと、全米、そしてインターナショナル・レベルで17年もやってきた人間とはレベルは違うのよ」

──つまり、レスリングでロンダと戦う?

「何をする時でも、可能な限りハードに戦うようにしたい。この試合は5R、自分が思ったような展開にならない時にすぐにアジャストしなければならない。ハイペースで動き続けること、タイトルマッチってそんなものよね?」

──UFCのランキングでサラは4位。アレクシス・デイビスとキャット・ジンガーノの印象は?

「2人も良い選手で、ハードワーカーよね。しっかりMMAに対応しているし。彼女たちもれっきとしたタイトルコンテンダーよ」

──UFCやメディアは、異質の人間性と哲学のぶつかり合いと定義付けている。この辺りの事に関してはどう思う?

「人それぞれよ。強い性格の持ち主がいれば、静かな人もいるわ。有名になりたくて、MMAの頂点に上りつめようと思う人、頂点に立っても表にでようとしない人もいる。みんな、同じじゃないのだから、同じにならなくていい。私はロンダでも、キャットでもアレクシスでもない。ただし、ロンダがどういう人かは明白よね」

──チャンピオンだから、目立っているのかな?

「知名度は確かにあるわよね。でも他の人が彼女のように注目されても、あんな風になるとは思わないけど」

──サラはトップファイターだけど、とても控え目だよね。

「私は自分がベストだと思っていないから。ジミー・ファウラーとの練習でも、そう思わざるをえない状況に置かれているわ。皆、彼の事を知らないけど、本当にタフなの。必死でやっても、その上を行くわ。速くて危ない。もっと練習しないといけないと思い知らされていると、簡単にハンブルになれるわ。なんでもそう、可能な限りベストになりたい」

──今日はありがとう。最後に何か一言あるかい?

「コーチと一緒に練習してくる皆に感謝している。彼らは私のファミリーよ」

■ UFC170 対戦カード

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者]サラ・マクマン(米国/4位)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダニエル・コーミエー(米国/4位※1)
パトリック・カミンズ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ローリー・マクドナルド(カナダ/4位)
デミアン・マイア(ブラジル/6位)

<ウェルター級/5分3R>
マイク・パイル(米国/15位)
TJ・ウォルドバーガー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ロバート・ワイッタカー(豪州)
スティーブン・トンプソン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アレクシス・デイヴィス(カナダ/3位)
ジェシカ・アイ(米国/5位)

<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル/3位)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
コディ・ギブソン(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<フライ級/5分3R>
ザック・マコウスキー(米国/10位)
ジョシュ・サンポ(米国)

<ライト級/5分3R>
ラフェーロ・オリヴェイラ(ブラジル)
エリック・コク(米国/12位※2)

<ライト級/5分3R>
アーネスト・チャベス(米国)
ヨスデニ・セデーニョ(キューバ)

※1 ヘビー級
※2 フェザー級

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie