柔術の誇りを首技に―― パウロ・チアゴ
6日(土・同)に行なわれたUFC109で、マイク・スウィックを下したパウロ・チアゴ。ジョン・フィッチにこそ敗れてはいるが、ジョシュ・コスチェックに続きAKAの実力者を二人下したことになる。
【写真】打撃系のイメージも強いパウロ・チアゴだが、アタイジ・ジュニオールという名指導者の下、チョークには絶対の自信を持っているファイターだった (C) ZUFFA
着目すべきは、打撃でKOを奪いながら、テイクダウンを仕掛けてきたスウィックにダースチョークを極めてタップを奪った点だ。打撃+レスリング全盛のMMAにあって、パウンドを落とすのではなく、チョークを狙ったチアゴ、15年間も稽古をしてきた柔術への思い入れが込められたフィニッシュだった。
――タイトル戦線にも絡むマイク・スウィックという強豪を下しました。今の気持ちは?
「とても嬉しい、ハッピーだよ。自分の動きにも満足している」
――スタンドでパンチを効かし、ダウンを奪うとパウンドという流れが普通になっているなか、ダースチョークを極めたフィニッシュは、すごく新鮮に感じました。
「僕は元々柔術家だからね。いくら打撃が強くなっても、僕のルーツが変わることはない。スウィックが僕にアナコンダ・チョークを極めるスペースを与えてくれた。なら、仕掛けるまでだよ。どんな締め技、関節技でも相手が仕掛ける隙を見せれば、極めにいくのが僕の戦い方だ」
――セコンドにはアタイジ・ジュニオールの姿が見えました。アタイジはハニ・ヤヒーラの師匠でもあり、ヤヒーラも首系を得意にしています。
「14歳のときから、15年間、アタイジに柔術を習っている。紫帯までは道衣有りの練習をしてきたけど、それからはノーギやMMAに専念している。アタイジの柔術は、他のアカデミーがポジショニングを重視しているのに対し、首系の技に力を入れているんだ。僕はチョーク系のフィニッシュとともに、人生を歩んできたんだ(笑)。柔術は僕の誇りだよ」
――柔術にそれだけ拘りを持っているチアゴだけど、その柔術の象徴ともいえるグレイシー一族のホーレスが、まるで良いところなく敗れてしまいましたが、そのことについて何か思うところはありますか。
「MMAは一つの格闘技をやっているだけじゃ勝てないスポーツだからね。いつだってブラジリアン柔術の技術はMMAに欠かせない。でも、それだけじゃ勝てないことはもう誰もが知っているはずさ。オクタゴンで戦うのは、自分一人だからね。家族や流れる血や、姓名は関係ない。必要なのは、そんなことよりも、どれだけ練習し、しっかりとコンディションを整えてきたかっていうことなんだ」